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アパート経営って需要あるの?~実際の賃貸ニーズに応じた新規供給が今後も必要

公開日: 2022.10.28

最終更新日: 2023.12.25

公開日:2021.09.09

土地活用の方法として、アパート経営を勧められたけれども、供給過多ではないか?と考える方もいらっしゃるでしょう。

人口減少が予測される今日、既にアパートやマンションがたくさん存在しています。
新しくアパートを建てるには多額の費用も必要になり、アパート経営をするほどの賃貸ニーズがあるのかどうかという疑問をもつのは自然なことかもしれません。

この記事では、土地活用を考える方に向けて、客観的なデータを基に、今後の賃貸ニーズの有無やアパート経営の将来性についてご説明いたします。

>>関連記事:「アパート経営完全ガイド|建築プラン立てから完成後の業務まで」

この記事のポイント
  • 人口減のなか、世帯数は2023年まで増加傾向。特に単身世帯はその後も増加傾向は継続
  • 借家の住宅総数に占める割合は、35.6%と前回調査より上昇。コロナ禍における新たな賃貸ニーズも
  • 新規供給の裏側で、毎年約10万戸の建物が老朽化などにより滅失
  • 賃貸住宅の安定経営には、綿密な市場調査に基づく賃貸ニーズに沿った計画的な物件供給が必要
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人口推移と世帯数の推移を見てみよう


総務省統計局が公表している人口推計(平成27年国勢調査を基準とする推計値)から、今後の人口推移予測を確認することができます。

その内容をまとめた下記グラフをご覧いただければ一目瞭然ですが、日本の人口は、減少の一途をたどっています。
日本の人口減少予測は、以前からさまざまなメディアで取り上げられているため、ご存知の方も多いでしょう。




この人口推計のみをご覧になると、やはりアパート経営の将来性は望めないと結論付ける方も多いかもしれません。しかし、人口減少が予測される一方で、世帯数は増加予測になっていることをご存じでしょうか。

国立社会保障・人口問題研究所では、「 日本の世帯数の将来推計(全国推計)」を5年ごとに行っています。

2018年推計によると、世帯数全体を見ると2015 年の5,333 万世帯から2023 年まで増加を続けて、その後は減少に転じるとされています。

さらに、推計を詳しく見てみると、単身世帯では2032年まで増加を続けて、その後は微減傾向になります。それでも、単身世帯数は2040年の方が2015年の世帯数より多いと推計されています。






世帯数全体としては減少に転じるものの、単身世帯の増加傾向が継続する背景には、以下のような理由をはじめとして、さまざまな理由が考えられます。
>>関連記事:資産を受け継ぐあなたへ? 相続と新たな土地活用


未婚率の増加


ライフスタイルの変化、および将来不安などさまざまな理由で結婚をしない人が増えています。
今後もその傾向は継続すると考えられています。

特に、65 歳以上の未婚率は,2015 年には男性5.9%,女性4.5%であるのに対し,2040 年には男性14.9%,女性9.9%まで大幅に上昇すると予測されています。

離婚率の増加


離婚率は、比較的高い水準で推移しています。近年微減傾向にありますが、コロナ禍により「社会全体が活動を自粛しており、落ち着いてから手続きしようと考える夫婦も多いのではないか」との推測もされています。

離婚前に仮に、自宅を所有していても、夫婦のいずれかはその自宅を離れることになります。親世代と近居および別居するというケースが増えているという状況も考慮すると、離婚後、賃貸住宅で新しい生活をスタートするケースが考えられます。

また、近年、ライフスタイルの違いや、人間関係の気遣いをしたくないなどの理由から、親世代と子世代が、近居および別居するというケースも増えています。今後もこの傾向は継続するものと考えられます。

このように人口減少が予測される今日においても、アパートなどの賃貸住宅を必要とする世帯は今後も増加傾向にあります。人口減少予測だけで、アパート経営の将来性を判断するのではなく、さまざまな視点から総合的に考えてみてはいかがでしょうか。


持ち家と賃貸世帯の比率を見てみよう


単身世帯が増えても、その世帯が持ち家を所有するかもしれないという懸念もあるかと思います。その懸念が事実かどうか、総務省統計局が公表する「平成30年住宅・土地統計調査」で確認してみましょう。

「平成30年住宅・土地統計調査」によると、住宅を所有の関係別でみると、持ち家が3,280.2万戸で、住宅総数に占める割合は 61.2%となっており、2013年度と比べて0.5ポイント低下しており、過去10年およそ60%で推移をしています。

一方、借家は約1,906.5万戸で、住宅総数に占める割合は 35.6%と2013年度と比べて、0.1ポイント上昇しており、過去10年およそ35%で推移をしています。

さらに、借家の内訳を見ると、民営借家の住宅総数に占める割合は28.5%と上昇傾向にあり、社宅や公務員住宅などの給与住宅は5.7%で、減少傾向にあります。

「平成30年住宅・土地統計調査」

■持ち家

 戸数:約3,280.2万戸

 住宅総数に占める割合:61.2% ※0.5ポイント低下


■借家

 戸数:約1,906.5万戸

 住宅総数に占める割合:35.6% ※0.1ポイント上昇

 ※うち、民営借家の住宅総数に占める割合:28.5%  給与住宅(社宅や公務員住宅など):5.7%


また、財団法人労務行政研究所の調べによると、2000 年以降、独身寮や社宅を保有していた企業のうち「統合・廃止した」企業は5割近くに上ります。また、調査時現在、社宅を保有している企業のうちの3割が今後減少・廃止する意向を示しており、社宅はますます減少の一途をたどるものと見られると、調査結果をまとめています。


つまり、住宅総数に占める持ち家、借家の割合が一定割合で推移しているということは、社宅などが「統合・廃止」された後、民営借家に移行している可能性が高いということになります。
今後も、この傾向は続くと考えられるため、新たな民営借家のニーズが生まれる可能性も否めません。



もちろん、希望を詰め込んだ自宅を所有することに憧れるという方もいると思います。しかし、コロナ禍において、今後の雇用や収入について不安を感じた方は少なくないでしょう。

そのため、コロナ禍が落ち着いた後も、長期間に渡る住宅ローンを組むことを避けようとする動きが出てくる可能性もあります。


また、近年、災害が多発しており、住宅の倒壊を目の当たりする機会も増えました。確かに自宅は資産ですが、所有するのにもリスクがあります。

将来不安を感じることが多い中で、リスクをできる限り少なくしたいと考え、賃貸住宅を選択する方が増えているのかもしれません。



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建物の滅失数と新規供給戸数を見てみよう


最後に、新規供給される建物の戸数と建物の滅失数という視点から、賃貸ニーズについて考察します。

新規供給される建物の戸数


国土交通省のまとめた「新設住宅着工戸数 令和 2年計」によると、令和2年の新設住宅着工戸数はおよそ81万戸、そのうち貸家はおよそ30万戸新設されていますが、減少傾向にあります。

建物の滅失数


国土交通省のまとめた「建築物滅失統計調査」によると、令和2年に滅失した建物はおよそ10万戸となっています。過去10年遡っても、毎年10万戸近くの建物が滅失しています。

既存のアパート、マンションなど賃貸住宅は沢山ありますが、どのような建物でも、未来永劫、新築であり続けることはできません。最終的には取り壊され、滅失することになります。

また、滅失には至らないものの管理ができず空き家となってしまった賃貸物件を含めると、実質的な滅失件数はさらに多いでしょう。


建物の老朽化に伴い、新築物件にばかり賃貸ニーズが生まれるのではと、不安を持つ方もいるでしょう。しかし、それはあくまでも一般論です。築年数を経ても満室経営を継続している賃貸住宅があるのも事実です。

老朽化を感じさせないように計画的にリフォームを行ったり、管理会社と連携しながら共有部分の管理を怠らないようにしたり、入居者ニーズに合わせて新しい設備を導入したりするなど、アパート所有者の工夫や努力によって、築年数を経ても物件価値を維持向上できる余地はあります。


今後、賃貸ニーズの高まりが予想される中、もし、新しい建物の供給がないまま、毎年10万戸近くの建物が滅失したり、老朽化が目立つ物件ばかりが増えたりということになれば、入居検討者のニーズを満たす賃貸住宅の供給不足が生じてしまう可能性が大いにあります。



また、総務省の「住宅・土地統計調査」によれば、2018年時点で、旧耐震基準である1980年以前に建築された建物は全体の約28.9%の約149万戸であり、安心・安全な住宅を必要量維持するために、新陳代謝がさらに進んでいくものと考えられます。


カタチあるものには、必ず寿命があるからこそ、新しい建物の供給は必要なのです。



まとめ



アパート経営は、初期投資に大きな費用を必要とする投資方法です。そのため、将来性を見通して慎重に実行可否を判断する姿勢は望ましいと考えます。


しかし、アパート経営の将来性を見極める際には、漠然とした印象だけで検討するのではなく、賃貸経営に精通した専門家によるサポートのもと、さまざまな角度から考えてみるという姿勢はとても大切です。

人口動態、世帯数推移などのデータをマクロ視点で確認したうえで、所有する土地が立地するエリアの個別具体的な特性やニーズを検証するなど、総合的な観点からアパート経営の是非を検討することをお勧めします。


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