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アパート経営を始めて10年後に起こりやすい問題は?気を付けるポイント

公開日: 2024.03.12

最終更新日: 2024.03.12

アパート経営も10年目を迎えた辺りで、建物や設備の老朽化が目立つようになることがあります。
場合によっては屋上防水や外壁塗装、給排水管更新などの修繕も必要になるため、修繕費が大きく増加するでしょう。

また、周辺環境の変化によって、競合物件が増えたり、ターゲットとなる入居者のニーズが変わったりすることも考えられます。

安定した収益を上げていくためには、問題を早期に発見して適切に対処することが重要です。

そこで本記事ではアパート経営10年後に起こりやすい問題と、それらの問題への対策について詳しく解説します。

 

1.アパート経営を始めて10年後から起こりやすい問題は?

アパート経営開始から10年程度が経過すると、経営を始めたときとは異なる課題が表面化してきます。
ここでは実際に起こりやすい問題を3つ紹介します。

 

1-1.設備の老朽化


建築してから10年が経過すると、アパートの設備の劣化が始まり、故障や不具合が起こりやすくなります。

設備の故障や不具合は突発的に発生することも多く、想定以上の出費が必要になるケースもあるでしょう。

一定規模以上の物件では、大規模修繕をほぼ確実に行いますが、実施時期は13年~17年が目安です。

大規模修繕は大掛かりな工事が多く、工事金額も大きいため、アパート経営の状態によっては資金繰りに影響するかもしれません。

1-2.築年数による空室リスクの増加


入居者からは新築や築浅の物件が好まれる傾向があります。

アパートの綺麗さや設備の充実さを重視する人が一定数おり、新築・築浅物件は建物が真新しく最新の設備が整っているケースが多いためです。

一般的に完成から10年が経つと、築浅物件とはみなされづらくなるので、築浅物件の綺麗さや設備の充実さを重視する人はその他の条件が良かった場合でも、入居対象から外してしまうでしょう。

実際、新築時は綺麗だった箇所も、時間の経過に伴って汚れやくすみが目立つようになります。

汚れが目立つようになれば、建物の美観が損なわれ、賃貸物件としての魅力低下につながります。
その土地や物件の条件によっては、新たな入居者を集めにくくなり、入居希望者が減少し、収支が悪化するなどの経営リスクが考えられます。

 

1-3.物件の周辺環境の変化


周辺環境の変化に伴って、入居者のニーズが変化することもあります。

具体的には「再開発が行われた」「周辺に新しい駅ができた」「学校が移転してきた」などのケースが考えられます。

周辺環境の変化は所有する物件にとってプラスに働くときとマイナスに働くときがあります。
新たな需要が誕生する可能性がある一方で、所有している物件と新たな需要がマッチしないことも考えられます。設備投資の考え方や賃料設定の方向性も変化するので、周囲の変化に合わせなければ経営が難しくなっていくでしょう。

建築当初は好立地だった場所も、年数の経過や周囲の変化によって悪化する可能性もあります。

 

2.アパート経営で10年経過した頃から起きがちな失敗例


アパートを建ててしばらくは経営が順調だとしても、その後常に同じ状態が続くとは限りません。
アパート経営で10年が経過した頃によく起こる失敗例を2つ紹介します。

2-1.物件のメンテナンス不足による失敗例


物件の見た目は入居者の集まりやすさに影響します。

賃貸経営を開始してから数年は問題なく運営できていても、適切な管理が行われていない場合、10年経つ頃から建物の美観が低下し、空室率が上がり始める可能性があります。

特に物件のメンテナンス不足により、築年数の割に建物の外壁や外構、キッチンや風呂などの汚れが目立っている状態だと、内見者の印象が悪く、契約につながりにくい要因となります。

中には不動産管理会社から外壁清掃や、エントランス、廊下といった共用部の定期清掃提案されていながら、オーナー自らの判断で不要と判断していたため、10年経った頃から美観が著しく低下し、空室率が上昇してしまったというケースもあります。

 

2-2.物件の周辺環境の変化による失敗例


人口増加が見込めるエリアは、その後アパートのような賃貸住宅の需要も増えていくといえるでしょう。
反対に人口が減少しそうなエリアは、賃貸物件建築時や購入時よりも入居者希望者が減ることが予想されます。
物件周辺の人口が現象するケースですが、例えば周囲に建っていた大規模工場が撤退して、そこで働く人が別の場所に移ってしまった、といったことがあります。
その地域に住む人が少なくなればアパートに入居する可能性のある人も少なくなりますので、アパート経営は難しくなります。

そのほか日本は少子高齢化が進んでおり、都市部であっても安泰とは限らないので、アパート経営をするときは、そのエリアの人口動態をよく調査したうえで判断することが重要です。

 

また、経営開始後の数年は満室を維持できても、同じエリア内に別の新築アパートが建つなどの、競合物件の増加です。

競合の賃貸住宅のほうが家賃が安かったり、物件のグレードが高かったりすると、人気を奪われてしまい、入居者募集しても集まらない状態が続き、不動産経営が赤字化することも考えられます。

こうした失敗を防ぐためには、自分が所有するアパートは、新築物件と比べどんな点が劣っているのか、分析することが大切です。

たとえば宅配ボックス、高速回線のインターネットを新たに導入する、キッチン、トイレを最新のタイプに更新する、部屋の間取りを広くするなど、設備の増強やリフォーム・リノベーションも入居率を上げるための対策の一つになります。
ただし、一定の効果を出せても、事前調査を怠ったために計画時点で想定していなかった額の支出が発生してしまったなど、失敗するケースもあります。

多くの初期費用はかかっても、数年後にはかかったコストを回収し、きちんと黒字化できるように、費用対効果などを確認したうえで導入することが重要です。



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3.アパート建築から10年後に困らないために常に気を付けるべきこと

前述したような失敗を防ぐためには、アパート建築から10年を迎える前にさまざまな対策を講じておくことが大切です。

アパート建築から10年が経過しても困らないように気をつけたいポイントを4つ紹介します。

 

3-1.点検や清掃は積極的に行う


定期的に特別清掃や設備点検を行う必要があります。

建物の汚れや設備の不具合などが見つかった際は、すぐに問題にならないケースでも、放置せず対応することが重要です。

特に設備の不具合は、些細な問題であっても将来的に重大な事故を起こす原因となるケースもあります。

早めに対処すればすぐに解決しやすく、重大事故の防止につながるほか、かかる費用も最小にできる場合があるので、結果的にコストを抑える手段にもなります。

また、共用部の維持は入居者の使い方も関係してきます。
一部の人のマナーが悪いなど、改善が求められる場合は、共用部に使用ルールの徹底をお願いする張り紙を設置することも重要です。

 

3-2.大規模修繕に備える


大規模修繕はこまめに行うメンテナンスと違い、多額の工事費用がかかります。

短期間で多くの資金に用意するのは困難なので、大規修繕工事に備え、前もって修繕費を積み立てておくのが基本的な方法です。

大規模修繕のタイミングは物件の規模や構造などによって異なりますが、アパートの場合、建築から10年以上が経過すると必要になってくるケースがあります。

大規模修繕の例としては、経年劣化した外壁塗装の修繕、防水工事、給排水管の更新などがあり、数週間、数ヶ月程度の長い工事期間を要します。

こうした工事は居住部分の快適さを保つほか、物件の安全性を確保する目的もあるので、地震、台風などの自然災害対策としても有効です。

 

3-3.アパート経営の計画を定期的に見直す


いくつかの要因が重なった結果、アパート経営開始時に立てた経営計画の通りに進まないこともあります。

ただし、アパート経営は必ずしもスタート段階の計画通りに進める必要はないので、リスク回避のためにも柔軟に見直しながら進めると良いでしょう。

また、アパートを建築・購入するときは、自己資金のみでは困難なケースが多く、金融機関から融資を受けるのが一般的です。

その場合、月々のローン返済額を常に意識しつつ、将来のローン返済計画についても、金利上昇リスクなども踏まえ、定期的な見直しが必要といえます。

なお、現在は日銀のマイナス金利政策により、住宅ローンもアパートローンも低金利の状態が続いているため、変動金利でローンを組む方が多い傾向にありますが、今後の政策金利の動向によっては、固定金利への変更も視野に入れるようにしましょう。

オーナー自身の知識だけでは判断が難しい場合、アパート経営状況を相談できる専門家にアドバイスを求めるのもおすすめです。

 

3-4.周辺物件の状況を把握しておく


周辺の賃貸物件の条件や、入居者が求めるニーズを把握することが重要です。

需要の高い設備の取り付けを行うことも検討する必要があります。

また、敷金・礼金を無しにする、ペット飼育可能物件にするなど、入居者が求めるニーズに合わせて、賃貸条件を変更することも視野に入れると良いでしょう。

 

4.アパート経営の長期的な計画はプロに相談を

アパート経営は安定的な収入を得やすく、相続税などの税金対策にもなるため、土地活用や不動産投資の手法として人気があります。

ただし、長期的な投資方法なので、建築・物件購入直後だけでなく、何年も先まで予測して収支計画を入念に考えることが大切です。

特に10年目を迎えると建物の劣化が進行し、入居者が利用する設備機器の故障・不具合が頻発したり、美観が低下したり、災害による被害を受けやすくなったり、さまざまな問題やトラブルが起こり始めます。

メンテナンスや修繕を定期的に行うことで、美観の維持や設備の故障などを防げるので、怠らずに実施するようにしましょう。

大規模修繕への備えとして、毎月少しずつ修繕費を積み立てておくことも重要です。

また、最初に立てた事業計画やシミュレーションにこだわらず、周辺の物件の状況、環境の変化なども見ながら、臨機応変に経営していく必要があります。

もし不安なことやわからないことがあれば、不動産会社、建築会社、ハウスメーカーなどアパート経営のプロ複数社へ相談するようにしましょう。

■監修者プロフィール

宅地建物取引士/FP2級
伊野 文明

宅地建物取引士・FP2級の知識を活かし、不動産専門ライターとして活動。賃貸経営・土地活用に関する記事執筆・監修を多数手掛けている。ビル管理会社で長期の勤務経験があるため、建物の設備・清掃に関する知識も豊富。

【保有資格】
・宅地建物取引士
・FP2級
・建築物環境衛生管理技術者