土地活用でビルを経営するメリットは?経営に向いている土地の特徴
公開日: 2023.12.19
最終更新日: 2023.12.19
ビル経営は土地活用の手段の一つに該当しますが、ビルといってもさまざまな種類があります。
たとえば企業の事務所として使うオフィスビル、消費者向けに商品・サービスを提供する施設が入る商業ビルなどが代表的なビルの種類です。
また、商業ビルは入居するテナントの種類によって、飲食店、メディカルビル、ファッションビルなど名称が分かれる特徴があります。
ビルの種類によって、向いている土地や経営方法が異なるので、それぞれの違いや特徴を把握しておくことが大切です。
本記事では土地活用でビルを経営するメリットや、向いている土地の特徴について解説します。
>>関連記事:「土地活用の方法16選|運用を行うメリットや実際の進め方」
目次
1.【ビルの種類別】経営に向いている土地
はじめにビル経営に向いている土地の特徴を種類別に紹介します。
ビル経営を考えている方は、まずは土地に関する基礎知識をつけておきましょう。
1-1.商業ビルに向いている土地
商業ビルの場合、人通りの多い土地が向いています。
人通りの多い場所であれば集客面で有利になるので、飲食店などの店舗を運営するテナントを呼び込みやすいでしょう。
ただし、ビルに入るテナントによっては向いている土地は少し変わります。
たとえば飲食店ビルの場合、周囲にオフィスが多くあるとランチや飲み会などでの利用が見込めるので、オフィスの多い土地が適しています。
一方、ファッションビルは休日になると多くの人で賑わう都心部や繁華街、メディカルビルは周囲に住宅が点在している駅の周囲が適しています。ビルの周辺環境を見て、どんなテナントを募集すべきか考えることが大切です。
1-2.オフィスビルに向いている土地
オフィスビルの場合、駅からの距離が近い土地が向いています。
駅から距離が近ければ会社へ通勤しやすく、多くのオフィスワーカーに好まれるためです。
また、取引先や営業先が近くにあればビジネス活動がしやすくなるため、周囲にオフィスが点在している土地も向いているといえるでしょう。
オフィスビルは商業ビルと違い、人通りが少なかったり大通りから離れていたりしても、企業によっては従業員が集中できるよう静かな環境を好む傾向もあるため、経営に向いているケースもあります。
2.ビルの経営と賃貸住宅の経営は何が異なるのか
次に賃貸ビル経営と賃貸住宅経営の違いを解説します。
2-1.経営に適した立地の特性
ビルの賃貸需要はやや限定的です。
安定して収益を得るためにも、賃貸ビルとして需要があるかどうかの見極めがポイントになります。
一方、賃貸住宅の需要は比較的広いエリアに存在しています。
単身世帯、ファミリー世帯など入居者の層によって建物の規模を検討する必要はありますが、ビルよりも広い範囲で考えられるでしょう。
2-2.階数と賃料の関係性
ビルの賃料の高さは階数と比例するとは限りません。
集客性が重視されるので、高層階よりむしろ低層階や中層階のほうが高い賃料が設定されやすい傾向にあります。
多くの人が出入りして賑わう1階は、特に賃料を高く設定できるでしょう。
一方、賃貸マンションの場合、部屋からの眺望や日当たりが重視されるため、上層階のほうが金額を高く設定するのが一般的です。
3.ビル経営のメリット
ビル経営の具体的なメリットを2つ紹介します。
3-1.高い利回りが期待できる
法人と契約を結ぶことが多く、賃料を高めに設定できるので、収益性が大きく高利回りが期待できます。
同じ賃貸面積で比べた場合、賃貸住宅よりビルを建てたほうが家賃収入の額が大きく、ビルオーナーの収益は多くなりやすいでしょう。
特に賃貸需要が多い場所にビルを建てれば、大きな家賃収入を期待できます。
3-2.建物への制約が少ない
建物を建築する場合、都市計画法や建築基準法などでいくつかの制限を受けますが、ビルはアパートやマンションと比較して、制限が少ない傾向にあります。
住宅用の建物は、建築可能な用途地域にさまざまな規制が定められているケースが多く、広い土地であっても建築要件を満たさない場合があるので注意してください。
たとえば住宅が建築可能な用途地域である第一種・第二種低層住居専用地域や第一種・第二種中高層住居専用地域では、日影規制や北側斜線制限による規制を受けるため、住宅の高さや面積が制限されます。
一方、オフィスビルや商業ビルが建築可能な用途地域である商業地域などは、日影規制や北側斜線制限の対象外になっているケースも多いので、比較的自由に建築が可能です。
賃貸物件の経営が難しい土地でもビル経営なら実現可能なケースもあるでしょう。
4.ビル経営のデメリットやリスク
ビル経営にはデメリットやリスクも存在します。
代表的なものを3つ紹介します。
4-1.初期費用が多くかかる
多くの土地活用方法と比較してもビル建築にかかる費用は高額です。
ビルは他の建物を建設する土地活用よりも建物の規模が大きく、建設費が高額になるためです。
また、エレベーターやエスカレーター、電気、給排水、空調などの設備もデザイン性や機能性が優れたものや特殊なものを購入・設置する場合が多いことが要因として挙げられます。
高額な初期費用を回収して経営を黒字化していくためには、入念な建築プラン、資金シミュレーションを立てることが重要です。
また、共用部の設備点検、清掃などの管理業務は不動産管理会社へ委託するのが一般的ですが、毎月管理委託費が発生することも考慮しておきましょう。
4-2.景気の影響を受ける
企業と賃貸契約を取り交わすため、賃貸住宅と比較して賃料相場は景気に左右されやすい特徴があります。
好景気のときは需要が増えるので賃料も上げやすい一方、景気が悪化すれば空室が増える可能性が高まるため、賃料の見直しも考えなければなりません。
一方、賃貸住宅は衣食住に関わるインフラの一つなので、景気の影響を受けづらい特徴があります。
入居テナントの業種によっては、不景気が続くと撤退をするテナントが増えることも予想されるでしょう。
4-3.空室が生じたときのリスクが大きい
ビルに賃貸経営はテナントが退去し、空室が生じたときのリスクが大きいデメリットがあります。
マンション経営やアパート経営と比べて、1契約あたりに占める建物の面積が広く、1度空室が生じたときの賃料収入が大きく減少するためです。
空室を増やさないためには、ビルの機能性を損なわないことや美観を維持することが大切です。
ビル管理会社が対応するメンテナンスや清掃・修繕状況を適時チェックしたり見直したりすることも、有効な空室対策になります。
また、一定の築年数が経過したビルは、リフォームやリノベーションを実施して付加価値を高めればより集客しやすくなるでしょう。
5.ビル経営で成功するには土地の特徴の理解が大切
ビル経営は初期費用が大きいため、事前に建築費がどの程度かかるか計算し、長期的な視点で収支シミュレーションを立てることが大切です。
難易度の高い投資方法ですが、成功すれば高い収益を安定的に確保できるメリットがありますので、ビル経営に向いている土地を所有している方は、検討してみることをおすすめします。
また、商業ビル、オフィスビルなどビルの種類によって向いている土地が異なるので、所有している土地の特徴を理解したうえで、どんなビルにすべきか考えることが大切です。
自分で判断するのが困難な方や、不動産投資の経験・知識の少ないオーナーの方は、実績・ノウハウの豊富な不動産会社や建築会社、ハウスメーカーなどへ相談し、アドバイスやサポートを受けることをおすすめします。
■監修者プロフィール
有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一
関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。
【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者
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