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土地活用におすすめ?保育施設・高齢者施設の特徴

公開日: 2022.10.28

最終更新日: 2023.11.28

最終更新日:2022年6月17



不動産の有効活用にはさまざまな方法があります。

例を挙げると、アパート(マンション)経営・戸建賃貸(シェアハウス)経営・トランクルーム経営・太陽光発電経営などですが、

どの形態での賃貸経営を選択するのかを検討するうえでは、それぞれの事業特性などから今後の需要がどのように推移していくのか予測することもとても重要な要素となります。

今回は、「保育施設・高齢者施設」について説明していきます。

>>関連記事:「土地活用の方法16選|運用を行うメリットや実際の進め方

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1.保育施設・高齢者施設の社会的役割とは

保育施設・高齢者施設は非常に重要な役割があります。

共働き世帯の増加により、安心して子どもを預けられる施設の需要が高まっており、これを担うのが保育施設になります。

また、高齢化も進んでいることから、食事や介護、家事や健康管理を行う施設の需要も高まってきています。これを担うのが高齢者施設です。
共働き世帯の増加、少子高齢化という日本が抱える問題から見ても、これらの施設は社会的にも重要な役割を担っています。

2.保育施設とは

保育施設とは、保育の必要な子ども(乳幼児)を適切な環境のもとで,健康・安全で安定感をもって活動できるように養護するとともに,その心身を健全に発達させるように、保育、教育するために設置された施設のことです。

保育園、幼稚園、認定こども園、地域型保育園、託児所などたくさんの種類の施設があり、
どの保育施設においても、就学前の子どもを施設に預けることに違いはありません。

保育施設経営を考えるにあたり、認可施設認可外施設(無認可施設)があります。その違いを保育園を例にして、見ていきたいと思います。

2-1 認可施設と認可外施設とは

認可施設とは、保育園は児童福祉法の基準(幼稚園は学校教育法の基準)を満たし、都道府県知事に認可された施設で、これ以外は認可外施設(無認可施設)です。

国の基準を満たしていないとはいえ、市区町村が定めた基準に基づいた施設です。

認可施設と認可外施設の違いを、以下に一部記載します。

認可保育園の場合は、


① 国や市区町村から建設費用などのための助成金をもらうことができる。
② 運営のための補助金を受けることができる。
③ 固定資産税の減免措置のケースもある。


一方、認可外保育園の場合は、


① 保育料など自由に設定できる。
② 種類によっては、固定資産税の減免措置のケースもある。

2-2 保育園を経営するのに資格は必要?

結論は、保育士などの資格は必要ありません。保育業界での実務経験も不問のため、保育園の開業・経営は未経験でも可能です。

ただし、経営者自ら、保育を行うのであれば、保育士の資格は必要です。
また、運営においては、人員配置基準に基づく一定数以上の資格保有者(保育士・看護師等)は必要になります。

2-3 保育園の運営方式

設置者自らが直接運営をする「自主運営方式」「外部委託方式」があります。

「自主運営方式」は会社経営と同様で、すべてを自らが行い、収益を見込みます。

「外部委託方式」は大きくわけると2つの方式があります。

① 「土地を貸して」運営事業者に施設を建設してもらい、「地代」を受け取る方式
② 施設を自ら建設して「土地と建物」を運営事業者に貸して、「賃料」を受け取る方式

2-4 保育施設の現状・今後

待機児童数の問題、保育料無償化もあって、保育所等数のニーズは高まっています。

しかしながら、厚生労働省によると、令和3年4月1日の待機児童数は5,634人で、前年度より6,805人の減少となっており、減少要因は保育の受け皿の拡大、コロナウイルス感染症を背景とした利用控えと考えられています。

また、コロナウイルス感染症の終息後を見据え、「新子育て安心プラン」に基づいて、令和6年度末までに14万人分の保育の受け皿を整備し、待機児童解消のための取り組みが進められています。
そうなれば、保育施設に余裕ができ、より良い子育ての環境の実現が期待されます。

土地活用の観点からいうと、待機児童の解消のために助成金や補助金が支給されているので、待機児童が解消されれば、地域によっては新たな保育施設の建設や運営が難しくなる可能性も出てきます。

厚生労働省の令和3年8月公表資料を参照ください。

一方、アパートやマンション経営との違いは、建物階高は平屋ないし2階建てがほとんどで、廊下の片側のみに面している部屋といった造りが多く見受けられます。
退去後の転用を考えると、高齢者施設や福祉施設などが考えられますが、用途としては、ごく限定的になります。

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3.高齢者施設とは

高齢者施設は、具体的には、介護付老人ホーム、特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、ケアハウスなどがあります。

また、高齢者施設には、老人福祉法に基づく有料老人ホーム、老人福祉法と介護保険法に基づく特別養護老人ホーム、高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者すまい法)に基づくサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などに大別され、いくつかの法律が絡み合っています。

この中で、特別養護老人ホーム(特養)とサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を例に挙げ、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を中心に説明していきます。

3-1 特別養護老人ホームとは

公的に運営されている介護保険施設で「特養」と呼ばれており、介護保険が適用され安価に利用ができる施設で、国の施策として都市部の高齢化に対応するために、都市部での民間土地の利用も可能にしたことで、施設数は増加しています。

しかしその一方で、2014年までは、要支援者も含めた入所申込者が多い施設でしたが、2015年の法改正により現在では、原則65歳以上の高齢者で要介護3以上の方が対象と、入所要件が厳しくなり、厚生労働省によれば、入所申込者数は、2014年は345,233人、2016年は295,237人、2019年は292,487人となっています。

また、そこに従事する介護職員の人員を確保できないという極めて重大な課題は解決していないままです。

出典:厚生労働省 令和2年社会福祉施設等調査の概況・
介護サービス施設・事業所調査の概況より抜粋



毎年わずかながらも施設数は増加してはおり、以上のことから、「特養」での土地活用は、土地を選ぶという点や介護職員不足という深刻な問題(経営の安定性)など、条件や課題が多いと言えます。

3-2 サービス付き高齢者向け住宅とは

多くは自立の方を対象とした施設のひとつで、2011年に制度が開始となり、戸数は年々、増加しています。

基本的に自立した生活ができ、施設には介護職員による見守りや生活相談などのサービスがついている賃貸住宅で「サ高住」と呼ばれており、60歳以上の高齢者、要支援を受けている単身の方、夫婦世帯が入所できます。
割合は少なくなりますが、介護を必要とする方の入所を受け入れている施設もあります。

サービス内容は施設によって変わります。自立の方を対象としているため、特養とは違い、人員基準は法的にはありません。


高齢化が進んでいる中高齢の単身者や夫婦のみの世帯が増加しており、高齢者の居住の安定確保を目的に、介護・医療と連携して支援サービスを提供する住宅の供給が求められており、普及のためにも補助金制度が用意されています。


また、住生活基本計画(令和3年3月19日閣議決定)によれば、高齢者人口に対する高齢者向け住宅の割合を2.5%(2018年)から4.0%(2030年)の成果指標としています。

加えて、2.5%を90万戸・4.0%を148万戸としていることと、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の占める割合も27%とすると、39万戸が必要と算出されます。

つまり、2021年12月末で27万戸なので、今後8年間で12万戸(1.5万戸/年)の供給が必要と推測できます。


補助金制度があるとは言えども、高齢者向け住宅のため、一般の集住と居室面積は同程度であっても、バリアフリー構造の必要や緊急通報装置の設置や支援サービスの目的や内容からすれば、共用廊下は内部になるでしょうし、その他にも耐火性・耐震性も求められるなどの厳格な基準があり、「このように作りなさい」という国の指針に基づくため、一般的な賃貸住宅の建築より投資額は多くなります。


補助金制度ですが、国土交通省と都道府県(交付をしている行政に限る)の2つから交付を受けることが出来ます。
新築工事だけではなく、改修工事も対象となっています。

国の補助金で新築の場合は、最大で建築費の10分の1、改修の場合は、最大で建築費の3分の1の補助金を受け取ることが出来ます。

都道府県の補助金は行政により異なっていますので確認が必要です。また、国と都道府県ともに、交付には条件・制限がありますので、こちらも確認が必要です。

もうひとつ、固定資産税・不動産取得税の税制優遇もあります。

このことより、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が増加している理由のひとつになっているようです。

出典:サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム

3-3 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の立地とは

入所者は高齢者・要支援を受けている方なので、自分で車の運転をすることは少ないと思いますので、一般の賃貸住宅と同様に駅周辺が良いように感じます。

しかしながら、スタッフが入居者に必要な物の買い出しをする、あるいは来訪者の車移動などを考慮すると、駐車スペースの確保は必要になりますので、その場合には必要な土地面積も大きくなります。
このような土地を活用できるのであれば、最有効のひとつになるでしょう。

一方で、目的からすれば、駅からの距離を考えるのでなく、医療機関からの距離を重視した立地が求められます。

3-4 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の運営方式とは

保育園と同様に、特別な資格はいりません。運営は2つに分けることができます。

① 一括借り上げ方式

建物を建設して、すべてを運営事業者に任せ、賃料を受け取る方式

② テナント方式

建物を建設して、介護のサービスのみを外部に委託する方式(募集・契約などは自分で)
言い換えると、入居者からの賃料と外部委託者(テナント)からの賃料を受け取れます。


収益面においては、①<②となります。


土地オーナー自らが運営する方式もありますが、こちらも特別養護老人ホームと同様に介護サービスを行う人材の確保には、かなりの高いハードルが予想されます。

厚生労働省の「介護労働の現状について」より抜粋したグラフからもわかるように、有効求人倍率が高い(=人が足りていない)ことが読み取れます。

4.まとめ

保育施設・高齢者施設は、非常に重要な役割があり、長期間にわたり、運営できることが社会的にも望まれます。
このことより、地域における利用者の人口動態によっても、施設の必要性が求められているか否かも考慮する必要があります。

保育施設・高齢者施設はそれぞれ、サービス内容などにより、数多くの種類があります。特に、保育施設の多くは新年度である4月の開設が求められるので、計画性が重要になります。

認可保育施設とサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に関しては、アパートやマンション経営にはない補助金制度や税制優遇がありますので、土地活用としての魅力を感じると思います。

それ故に、設置・運営に関しては、行政や専門家に相談することから、土地活用を始めることをお勧めします。

執筆者プロフィール
【三晃トラスト株式会社 専務取締役 上井 邦裕】

マイアドバイザー®
大学卒業後、建設分野で20年携わり、その後不動産・相続分野で10年以上携わっている。
(一社)神奈川県ファイナンシャル・プランナーズ連合会にも所属

【保有資格】

AFP/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/相続アドバイザー協議会認定会員

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■監修者プロフィール

株式会社優益FPオフィス 代表取締役
佐藤 益弘

マイアドバイザー®
Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFP®として活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。
【保有資格】CFP®/FP技能士(1級)/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)