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土地活用でデイサービスが向いているケースは?メリットやデメリット

公開日: 2025.03.27

最終更新日: 2025.03.31

高齢化が進む中、土地活用の選択肢としてデイサービスの開設が注目されています。適切な立地や条件を満たせば、地域の福祉施設としての役割を果たしつつ、安定した運営が期待できます。
しかし、介護施設を運営するには、介護事業者との契約や施設の建築費、法的要件など、さまざまな要素を考慮する必要があります。

本記事では、デイサービス向けの土地活用が適しているケースを整理し、メリットやデメリットを詳しく解説します。

目次

1. デイサービスとは?他の高齢者向け施設との違い

1-1. デイサービスとは

1-2. デイサービスと老人ホームの違い

1-3. デイサービスの需要予測

2. 土地活用でデイサービスを選ぶメリット・デメリット

2-1. 土地活用でデイサービスを選ぶメリット

2-2. 土地活用でデイサービスを選ぶデメリット

3. 土地活用でデイサービスを行う主な方法

3-1. 自ら事業者として運営する方法

3-2. 建物を貸す方法

3-3. 土地を貸す方法

3-4. フランチャイズに加盟する方法

4. 土地活用でデイサービスが向いているケース

4-1. 中規模の土地を活用したい場合

4-2. 住宅街に位置する土地を活用したい場合

4-3. 長期的な安定収入を求める場合

4-4. 管理の手間を抑えたい場合

5. 土地活用としてのデイサービス、判断のポイントとは?

1. デイサービスとは?他の高齢者向け施設との違い


デイサービスは日中のみ利用できる介護施設で、食事や機能訓練を提供します。他の高齢者向け施設と異なり、通所型の支援が特徴で、自宅での生活を維持しながら利用できます。

1-1. デイサービスとは

デイサービスは、要介護認定を受けた高齢者が日帰りで利用できる介護サービスです
自宅での生活を維持しながら支援を受けられ、自立支援や孤立感の解消、心身機能の維持、家族の介護負担軽減を目的としています。
利用対象者は要介護1〜5の高齢者で、日常生活に支援が必要な方が利用します。
要支援の方は、介護予防サービスの利用は可能ですがデイサービスは利用できません。

デイサービスでは、自宅と施設間の送迎、栄養バランスの取れた食事、入浴支援、機能訓練、レクリエーションなどが主なサービスとして提供されます。
特に、身体機能の維持や向上を目的としたリハビリや、体操・ゲームなどを通じた心身の活性化が重要な役割を果たします。

利用料金は要介護度や利用時間によって異なり、介護保険が適用されます。
基本料金は要介護度に応じた費用がかかり、利用者は1〜3割を自己負担します。
食事代やレクリエーション費用は介護保険の適用外となり、別途負担が必要です。

1-2. デイサービスと老人ホームの違い

デイサービスは、日中のみ利用できる介護サービスで、自宅での生活を基本としながら必要な支援を受ける形態です。
送迎サービスを利用し、施設で食事や機能訓練、入浴支援、レクリエーションを受けた後、自宅へ戻ります。
利用者の心身機能の維持や家族の介護負担軽減を目的としており、要介護認定を受けた高齢者が対象です。

一方、老人ホームや特別養護老人ホームは、高齢者が入居し、長期間生活することを前提とした施設です。
食事や入浴、排せつなどの介護が常時提供され、自宅での生活が困難な方や要介護度の高い方が利用するケースが多くなっています。

1-3. デイサービスの需要予測

内閣府から発表された調査結果によると、日本の65歳以上の人口は3,623万人です。
日本の総人口に占める割合(高齢化率)は29.1%に達しています。
この高齢化率は年々上昇していて、今後も上昇していくと推察されます。

高齢化が進むにつれ、デイサービスの利用者も増加しています
要介護認定を受ける高齢者が増えることで、在宅介護を支援し、家族の負担を軽減する役割がより重要になっています

今後も、高齢者が住み慣れた自宅で生活を続けられるよう支えるサービスとして、デイサービスの需要はさらに高まると考えられます。

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>>関連記事:【出典】「令和6年版高齢社会白書 第1節 高齢化の状況」(内閣府)

2. 土地活用でデイサービスを選ぶメリット・デメリット


土地活用の選択肢としてデイサービスを開設する方法があります。
しかし、どの活用方法にも利点だけではなく、課題もあるため、事前の検討が欠かせません。

ここでは、デイサービスを選ぶ際のメリットとデメリットについて整理します。

2-1. 土地活用でデイサービスを選ぶメリット

高齢化が進む中、デイサービスは安定した需要が見込める土地活用の選択肢です
。要介護者の増加により、サービスの必要性が高まり、長期的な運営が期待できます。
また、地域の福祉向上にも貢献できるということは大きな利点です。空き地や遊休地を活用し、高齢者が安心して利用できる環境を整えることで、社会的な価値も生まれます。

さらに、立地の柔軟性が高いのも特徴です。
駅近や繁華街といった商業向けの立地でなくても運営可能なため、住宅地や郊外でも活用しやすく、土地の条件を選ばずに計画しやすい点が強みです。
加えて、国や自治体の介護保険制度の支援を受けやすいため、他の事業と比べて資金面での負担を軽減しやすいこともメリットの一つです

デイサービスは、以下の点からその他の介護サービスと比較し比較的参入しやすい事業と考えられるケースもあります。

・開業に必要な初期投資が比較的抑えられる

・人員配置基準が比較的緩やか

・介護保険制度による安定した収益

・物件の選択肢が多い

2-2. 土地活用でデイサービスを選ぶデメリット

ただし、デイサービスの新規開設が増えれば競争が激しくなり、利用者の確保が課題となる可能性があります。
特に同じエリアに複数の施設があると競争が激しくなるため、サービスの差別化が求められるでしょう。

また、運営面での負担も無視できません。
介護サービスの質を維持するには、十分なスタッフの確保や教育が必要です。人材不足が続く中、経験豊富な職員の確保が難しくなることも考えられます。

さらに、開設には行政手続きが必要で、事業開始までに時間がかかる点もデメリットです。設備や人員の基準を満たし、自治体の許可を得るまでに一定の期間を要するため、スムーズに運営を開始するには計画的な準備が必要です。

加えて、介護保険制度の変更や法規制の影響を受ける可能性があるため、制度改正への対応も求められます。
これらの点を踏まえ、デイサービスの開設には慎重な検討が欠かせません。

3. 土地活用でデイサービスを行う主な方法

デイサービスを目的とした土地活用にはさまざまな方法があります。
運営形態や契約方式によって、初期投資や管理の負担が大きく変わるため、事前の検討が重要です。
ここでは、代表的な活用方法を紹介します。

3-1. 自ら事業者として運営する方法

土地所有者が法人を設立し、自らデイサービスを運営する方法です。
施設の設計や設備投資、スタッフの採用まで一貫して行うため、自由度が高く、利益を直接得られる点が特徴です。

しかし、運営ノウハウや人材の確保が不可欠であり、経験がない場合は専門家のサポートが必要になることもあります。
また、運営に関するリスクをすべて負うため、収支計画や経営戦略をしっかりと立てることが求められます。事業が軌道に乗るまでの資金計画も慎重に考慮する必要があります。

3-2. 建物を貸す方法

建物をデイサービス事業者に賃貸し、賃料収入を得る方法です。建物を土地所有者が建設し、事業者に貸し出すケースも多く、安定した賃貸収入が見込める点が魅力です。
この方法では、運営リスクを事業者側が負うため、経営の負担を避けながら土地を有効活用できます。

しかし、事業が上手くいかず撤退した場合、建物は土地所有者の資産として残るため、新たな活用方法を考える必要が出てきます。

特に、デイサービス施設は建物の転用が難しいため、他の用途に変更しにくい点がデメリットとなることもあります。
契約時には長期的な視点での計画が重要です。

3-3. 土地を貸す方法

土地をデイサービス事業者に貸し出し、地代収入を得る方法です。
事業者に貸す場合、多くのケースでは事業用定期借地契約が利用されます。
この契約を結んで土地を貸し出した場合、デイサービスの建物建築や運営はすべて事業者が担当します。
したがって土地所有者が大規模な設備投資をする必要はない点がメリットです。

事業用定期借地契約では、契約満了時に原則として建物を解体し更地に戻すことが求められるため、次の活用計画を立てやすいのが特徴です。
ただし、契約内容によっては例外もあるため、事前に十分な確認が必要です。

3-4. フランチャイズに加盟する方法

土地所有者がフランチャイズに加盟し、本部のサポートを受けながらデイサービスを運営する方法です。
ブランド力や運営ノウハウを活用できるため、未経験でも比較的スムーズに事業を始められる点が魅力です。 本部から研修や経営指導、業務システムの提供を受けられるため、独自に立ち上げるよりも負担が軽減されます。

ただし、加盟金やロイヤリティの支払いが必要となるため、初期費用や継続的なコストを考慮した事業計画が欠かせません。

4. 土地活用でデイサービスが向いているケース

デイサービスの開設は、すべての土地に適しているわけではありません。
立地や周辺環境によって、運営のしやすさや利用者の確保に大きな影響が出ます。
ここでは、デイサービスに適した土地の条件や活用しやすいケースを紹介します。

4-1. 中規模の土地を活用したい場合

デイサービスは、入居型施設と異なり居住スペースが不要なため、比較的狭い土地でも運営が可能です。
一般的に、デイサービスセンターの建設には100~150坪程度の土地があれば十分とされており、大規模な施設を建設する必要がない点が特徴です。
そのため、中規模な遊休地を有効活用したい場合に適しており、他の用途と比べて比較的柔軟な立地選定が可能です。

4-2. 住宅街に位置する土地を活用したい場合

デイサービスは一般的な住宅街でも需要が高く、立地の影響を受けにくいのが特徴です。
利用者は近隣の高齢者が中心となるため、地域に根ざした施設として運営しやすくなります。

また、送迎サービスがあるため、駅から離れた土地でも活用が可能です。商業施設や公共交通機関へのアクセスが不便なエリアでも開設しやすく、住宅街にある遊休地の活用策として適しています。

4-3. 長期的な安定収入を求める場合

デイサービス施設を運営事業者に一棟貸しする賃貸型の活用方法では、長期契約が多く、安定した賃料収入が見込める点が魅力です。
一般の賃貸住宅と異なり、入居者の入れ替わりがなく、契約中は空室リスクを抑えやすいため、安定した土地活用を求める場合に適しています。
ただし、事業者に賃貸する形式やフランチャイズ形式の場合は、契約期間や事業者の経営状況を考慮し、慎重に契約内容を検討することが重要です。

4-4. 管理の手間を抑えたい場合

デイサービス向けに建物・土地を貸す場合、施設の運営は事業者が行うため、土地所有者の管理負担は大幅に軽減されます。
賃貸契約を結ぶことで、日々の運営や利用者対応を事業者に任せられるため、管理の手間を抑えながら安定した収益を得ることが可能です。
他の土地活用方法と比べても、維持管理の負担が少ないため、手間をかけずに運用したい場合に適した選択肢といえます。

デイサービスによる土地活用は、立地や活用方法によって適性が異なります。長期的な収益や管理負担を考慮し、事業計画を慎重に立てることが重要です。
具体的な判断には専門家のアドバイスを受けることで、より適切な活用方法を見極めやすくなります。

>>関連記事:【2025年版】土地活用の方法19選|運用を行うメリットや実際の進め方

5. 土地活用としてのデイサービス、判断のポイントとは?


デイサービスは高齢化による需要が見込める土地活用の選択肢ですが、すべての土地に適しているわけではありません。
立地条件や事業形態によって収益性や管理負担が大きく変わるため、慎重な検討が必要です。
賃貸型で安定収入を狙うのか、自ら運営するのかによって必要な準備も異なります。

また、デイサービス施設は転用が難しいため、万が一別の活用を考える場合のリスクも把握しておくべきです。
土地活用を検討する際は、デイサービスが最適かどうかにこだわらず、所有する土地の特性や市場ニーズを調査し、適した活用方法を選ぶことが重要です。

判断に迷った場合は、専門家のアドバイスを活用しながら慎重に検討しましょう。

■監修者プロフィール

ここりんくす株式会社 代表取締役
小泉寿洋

ここりんくす株式会社代表取締役。上場グループに属する賃貸不動産会社で賃貸仲介、賃貸管理部門に14年半ほど従事。その後、不動産仲介・建築工事・終活サポートの会社経営を経て、現在は賃貸経営・賃貸管理・終活に関するコンサルティング、WEBセミナー講師、不動産・FP系ライターなど各方面で活動中。不動産業界歴は約23年。 

 

【保有資格】 

宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、AFP、2級ファイナンシャルプランニング技能士、相続診断士、終活カウンセラー1級、終活ガイド1級、遺品整理士他