自分で土地を査定する3つの方法|査定結果に影響する要素とは?
公開日: 2023.10.17
最終更新日: 2023.10.18
「土地を活用するか、売るほうがいいのか迷っている」、「相続する土地がある」などの理由から、「まずは自分の土地がいくらなのか知りたい」と考える方も多いのではないでしょうか。土地を査定する方法によっては、同じ1つの土地でも大きく金額が変わることがありますし、初めてのことでどうしたらいいのか、不安に思うこともあるでしょう。
本記事では、土地の査定をどうしたらいいのか悩まれている方に向けて、自分でも簡単にできる「土地を査定する方法」について詳しく解説しています。査定価格に影響する重要なポイントも合わせて紹介していますので、ぜひ確認してみてください。
目次
1.土地の査定が必要なタイミング
土地の査定が必要なときと言えば、「土地の売却」と「土地の相続」が代表的なタイミングです。
目的が違えば、おすすめの査定方法や価格も変わりますので、それぞれ解説します。
1-1.土地を売却するとき
土地を売却する場合、売買価格を決めるために、必ずと言っていいほど査定がおこなわれます。
もちろん、希望価格で売りに出すことも可能ですが、土地の相場と大きくかけ離れている価格であれば、買い手に見つかりづらくなるリスクも高まります。
そのため売却の際には、不動産会社などに依頼して、周辺の取引状況や長年の実績などから、査定額を出してもらうのが一般的です。ただし不動産会社によって、扱う顧客の数やエリアの広さ、査定するポイントの評価が違うこともあります。
大きなエリアから多数の人を集客できる企業型の会社や、地域密着型で近くの保育施設や小学校の有無をプラスポイントで評価してくれる地元の不動産業者など、さまざまな会社が存在します。複数社に査定を依頼すれば、より適切な価格で売り出せるでしょう。
相続税対策として子供に土地を安く譲るつもりだから、査定額は関係ないと考えている方もいるのではないでしょうか。
しかし、売値を相場よりあまりにも安くし過ぎると、「低廉譲渡」として贈与税の対象になってしまう場合があり、注意が必要です。
「低廉譲渡」とは、通常取引される土地の時価よりも、著しく安い金額で譲渡することです。
この場合、土地の時価と売値の差額を贈与したとみなされ、買った人には贈与税がかかります。
故意にやっていなくても、場合によっては税務署の調査が入ったり、追徴課税されたりすることもあります。
トラブルを回避するためにも、不動産会社に査定を依頼しましょう。
低廉譲渡の課税関係
売主 |
買主 |
売主 |
買主 |
個人 |
個人 |
所得税が課税 |
贈与税が課税 |
個人 |
法人 |
みなし譲渡所得が課税 |
法人税が課税 |
法人 |
個人 |
法人税が課税 |
所得税が課税 |
法人 |
法人 |
法人税が課税 |
法人税が課税 |
1-2.土地を相続するとき
相続財産に土地がある場合も、適正な査定を行うことは非常に重要です。
特に複数の相続人がいるケースでは、争いに発展することもあるため、厳密な査定結果が求められます。
非常に揉めやすくなる例として、相続財産が実家の一戸建て住宅と土地のみといったケースがあります。
相続財産に占める不動産の割合が高い場合、相続人の一人が不動産を相続すると公平な遺産分割とは言えません。
そのような場合には、不動産を相続する相続人の一人が、他の相続人に現金などで差額分を補う必要があります。
土地の査定が高ければ、代わりに支払う金額も高くなりますし、逆に査定が低ければ、支払う金額も安くなります。
土地の代わりに現金を受け取る相続人からすると、あまり安く査定されてしまえば納得がいかず、揉めてしまう原因になるでしょう。
こういったケースでは、相続人同士の不公平感をなくすためにも、厳密に価格を算出する必要があり、不動産鑑定士へ鑑定を依頼するのがおすすめです。
不動産鑑定士とは、国が定めた不動産鑑定基準に基づき、鑑定評価を算定する専門家です。
そのため、路線価や固定資産税評価額に基づいて算出された相続税評価額と違い、法的な効力を備えており、その評価は裁判になった場合の証拠書類にも使われます。
ただし、無料で査定を行ってくれる不動産会社とは違い、不動産鑑定には費用がかかる点に注意してください。
鑑定費用は、不動産の種類や鑑定評価額によって金額が変わりますが、鑑定料はそれぞれの不動産鑑定士が自由に設定できるため、最低20万円〜50万円と幅があります。
2.土地査定に影響する要素
土地の価格は、同じエリア内であっても、同じ坪単価になるとは限りません。
土地が持つ個別の条件や法律上の制限など、さまざまな要素を考慮して土地の価格が決められることになります。
では土地を査定する際には、どんなポイントが重要視されるのでしょうか。
ここからは、土地の査定額を左右する重要な9つの要素を解説します。
2-1.用途地域
「用途地域」とは、住居系、商業系、工業系など、地域ごとに土地の用途を13種類に区分し、それぞれの生活や利便性に配慮した都市計画上の定めのことです。
例えば住居専用地域では、住環境を守るため、大型商業施設や工場は建てられません。
逆に工業専用地域では、工場以外の住宅やお店、学校、病院などは建設できません。
このように、用途地域は、利用方法や建てられる建物の種類、建築ルールなどが細かく定められています。
また用途地域ごとに、建てられる建物が違うため、建設できる建物が幅広く選択できる地域は、土地の評価が高くなるのが一般的です。
例えば、低層の住宅しか建てられない地域より、銀行やデパート、飲食店など幅広く建築可能な商業地域の方が評価額は高くなります。
他にも条件次第ではありますが、建物を建てる際に自由度の高い*容積率(敷地面積に対する延べ床面積の割合)が高い地域の方が、土地の査定価格は上がりやすい傾向があります。
例えばテナントビルやタワーマンションなど高層階の建物が建てられる地域では、容積率が1000%を超える場合もあり、こういったケースでは土地の需要が高く、査定は高額になります。
なお、指定容積率は商業地域の1300%が最大値となっています。
反対に、極端な例ではありますが自由に建築ができない「市街化調整区域」は需要が少なく、査定額は低くなるでしょう。
容積率とは、敷地面積に対して、「各階の床面積を合計した延べ床面積」の割合のことです。
例えば2階建ての建物であれば、1階と2階のそれぞれの床面積を合計したものが延べ床面積です。
そのため、容積率の限度が高くなるほど、敷地面積に対して床面積が広く、大きな建物を建てることができます。
2-2.駅からの距離
一般的に駅から徒歩圏内であるなど、駅からの距離は査定額に大きな影響があります。
特に電車移動が多い都市部では、通勤や通学に便利な駅近の土地は人気があります。
またスーパーや飲食店など商業施設が充実していることも多く、生活の利便性が高いため、駅近くの土地は査定額が高くなるのが一般的です。
さらに、複数の路線が乗り入れている駅や、乗降客が多い駅であれば、土地の評価は高くなるでしょう。
ただし、車での移動が中心の地域であれば、駅前であっても土地の評価にあまり影響がないこともあります。
通勤やふだんの移動は車を使う場合が多く、駅前よりも郊外に商業施設が発達していることも多いため、駅近くの土地が高いとは一概には言えません。
地域によっては、駅前よりも幹線道路沿いの土地が高いケースもあるので地域ごとの特徴を確認しておきましょう。
2-3.土地の面積
土地の広さは、査定に大きな影響を与える要素です。
利用できる用途が多く、規制が少ないエリアの場合には、土地面積が広ければ、評価額がさらに高くなる傾向があります。
例えば、映画館、デパートなど大型商業施設の建築も可能な「商業地域」や、マンション、オフィスビル、ホテルなどの建築ができる「第一種・第二種住居地域」などが代表的です。
マンションや商業施設の建築可能な、まとまった広い面積の土地であれば、ディベロッパーからの需要も高く、査定額はさらに高額になります。
反対に「商業地域」や「第一種・第二種住居地域」に土地があっても、30〜50坪程度の面積であれば、個人の戸建て住宅など利用目的が限られてくるため、あまり評価が高くなることはありません。
一方で、土地が広すぎると、評価が下がる地域もあります。
利用できる用途が少なく、規制が厳しいエリアの場合、あまり大きい土地は需要が少なくなります。
例えば、「第一種低層住居専用地域」など主に低層住宅に利用が限られる地域で、300坪の土地が売りに出されたとしても、一般的な住宅用地としては、大きすぎるでしょう。
土地を分割するにしても、分割した1筆の土地ごとに*接道義務を満たさなくてはなりません。
分割する際は、道路の整備費がかかったり、建築できる建物の面積が小さくなったりする可能性があります。分割した結果、周辺の土地よりも土地の評価が下がってしまうこともあるので注意が必要です。
*接道義務:建築基準法43条1項により、建築物の敷地は、幅4m以上の道路に2m以上接道しなくてはならないとの定めがある。
2-4.土地の形状
土地の形には、さまざまな種類があります。
四角形のほか、三角形や台形、旗竿地と呼ばれる間口が狭く、奥まった路地の先に敷地があるものなど、形によって査定額も大きく変わります。
中でも評価が高いのは、正方形や長方形の整形地です。建物を建てる際の自由度が高く、土地を有効に使える利点があります。
三角形や台形、旗竿地といった不整形の土地は、デッドスペースが生まれやすく、四角形より評価が下がります。
他には、傾斜地の土地がありますが、地盤改良や擁壁の設置が必要になるなど、別途費用がかかることがあります。
そのため、一般的な土地と比べて評価が下がる傾向があるので注意してください。
2-5.前面道路の幅
まず都市計画区域と準都市計画区域では、幅4m以上の道路に敷地が2m以上接していなければ、建物が建てられない決まりがあります。
幅員4m未満の道路でも、みなし道路もしくは2項道路と言って、建物を建てられる場合もありますが、その場合は、前面道路の中心線から2mを道路とみなし、自分の敷地を後退させなくてはなりません。
この後退した部分をセットバックと言って、自分の土地であっても、建築物を建てることができなくなります。
また建ぺい率や容積率に算入できないため、実質の面積が狭くなり、土地の査定額が下がる大きな要因です。
またセットバックにならない土地でも、前面道路の幅が狭いと、容積率にも影響があり、建てられる面積が少なくなる可能性があります。
そのため前面道路が狭いことは、土地の評価に大きな影響があると言えるでしょう。
2-6.間口と奥行きの長さ
間口とは、敷地が道路に接している部分のことを言います。
間口が狭く、奥行きが広い路地上の土地は、利用しにくいことから、土地の査定価格が安くなる要因の1つです。
形状で言えば、間口が接道義務がある2mぎりぎりしかない旗竿地や、間口が極端に狭いウナギの寝床と呼ばれる細長い長方形の土地などがあります。
建築できる建物にも制限ができてしまい、設計の自由度が下がるため、間口の広さは査定の大切な要素の1つです。
2-7.接している道路との関係
土地の査定において、接している道路との関係は、非常に大事な要因になります。
まず確認したいのは、建築基準法上の4m以上の幅員の道路に、土地が2m以上接していなくてはならない接道義務の条件を満たしているかどうかです。
接道義務を満たさない土地は建物の建築が認められないため、買主を見つけることがむずかしく、相場よりも著しく査定額が下がります。
次に接している道路が、公道か私道かによっても査定が変わる要因になります。
私道の所有権を持っていない場合、通行権の問題や、下水道やガス管などライフラインの工事が生じた場合の許可など、問題が起きるリスクを考慮して、土地の査定が下がることも考えられるでしょう。
他にも、道路に面している位置が角地であれば、中間の位置にある土地よりも査定が高くなります。
住宅地であれば「東南の角地」が、他に位置する土地より査定が高いですし、商業地であれば、目立つ位置にある角地は同じ地区の中でもより評価が高くなります。
このように、接している道路との関係は、査定の大切なポイントです。
2-8.土地の状態
実際の土地を確認して、日当たりはどうか、眺望が良いかなども査定のポイントになります。
一般的に南向きの土地は需要が高く、北向きや西向きよりも評価が高くなります。
また見晴らしが良い高台にある土地は住宅地として人気があり、需要が高い傾向があるでしょう。
反対に、前面道路よりも高低差のある土地は、マイナス要因としてチェックされます。
道路よりも土地が低い位置にある場合、雨水の排水が上手くいかなかったり、台風やゲリラ豪雨などにより住宅の浸水被害に遭ったりする危険も考えられます。
また階段や坂を自力で上がらなければならない道路より高い土地も、バリアフリーの観点から査定額がマイナスになるでしょう。
他にも土壌汚染や地中に埋設物がある場合、著しく査定が下がる可能性が大きくなるので注意してください。
2-9.近隣の施設
近隣に嫌悪施設がある場合、一般的な相場よりも評価額が低くなることがあります。
煙や匂いの発生が懸念されるものや、危険を感じるもの、心理的に抵抗があるものなど、人により嫌悪施設として扱われるものは数多くあり、はっきりとした定義はありません。
そのため、不動産会社では嫌悪施設と扱われる可能性のあるものを、売買の際の重要事項説明の中で、買主へ説明することになっています。
人が不快と感じる可能性のある代表的な施設には、次のようなものがあります。
・ごみ焼却施設
・下水道処理施設
・ギャンブル施設
・墓地
・火葬場
土地の査定にも影響がでやすい施設ですが、あまり嫌悪感を持たない人もいますし、施設の内容や距離によっても評価は変わってきます。
反対に、近隣にあると土地の評価が上がる施設は、小学校や病院、役所などの公益施設や生活に欠かせないスーパーやコンビニなどがあります。
3.不動産会社などが行う主な土地査定の方法
土地の価格を知る主な方法として、不動産会社や不動産鑑定士に依頼する方法、または自分で調べる方法があります。
不動産会社や査定業者が土地の査定を行う際には、3つの方法が挙げられます。
・原価法
・取引事例比較法
・収益還元法
それぞれ簡単に解説していますので、どんな方法があるのか、参考にご確認ください。
3-1.原価法
原価法とは、仮に査定する物件を取り壊して、新たに同じ建物を建築したとして、かかった原価を算出します。
そこから老朽化した分を、経過年数に応じて差し引くことで、査定価格を推定します。
主に中古の戸建て建物を査定する際に用いられるため、土地のみの査定では使われることはありません。
3-2.取引事例比較法
取引事例比較法は、査定する物件と条件の近い類似物件の売買事例を集め、比較検証することで土地の単価を算出する方法です。
坪単価あたりの取引価格を参考に、駅からの距離、土地の形状、方角など個別の要因から価格を修正して、査定価格を算出します。
取引事例が豊富にあるエリアの土地を査定する方法に向いています。
参考の計算例
引用:公益財団法人 不動産流通推進センター 土地の査定価格の算出式
事例地と査定地の評点(交通のアクセス、土地の状況、周辺環境などの評価点)を算出して、査定価格を算出します。
「流通性比率」はその土地が売りやすい か、売りにくいか、という流通性の度合い を示す比率です。
3-3.収益還元法
収益還元法とは、査定する物件が将来生み出すと予想される収益から、査定金額を算出する方法です。
2つの算出法があり、表面利回りから価格を計算する「直接還元法」と、将来の損益や劣化などのリスクも考慮して算出する「DCF法」があります。
収益還元法は、主に投資用の物件で用いられることが多い方法です。
以上3つの代表的な不動産会社による査定方法を簡単に解説しました。
まずは自分で土地の査定をしてみたい方は、次の項目でご紹介する3つの方法をお勧めします。
4.土地査定を自分でやる方法
「まずはだいたいの金額でもいいから、自分で土地の価格を調べておきたい」そう考える方も多いかと思います。
しかし、どうやって調べたらいいのか、方法がわからない場合もあるかもしれません。
そこで、おおまかな数字ではありますが、自分で簡単に土地価格を査定する方法を3つ紹介します。
4-1.公示地価を使って調べる
公示価格とは、国土交通省の土地鑑定委員会が毎年公表している、標準的な土地の価格のことです。(正式名称は「地価公示価格」)
都市計画区域内で標準的な土地を選定し、毎年1月1日時点の1平方メートルあたりの価格を鑑定して、3月に公表しています。
不動産鑑定士が鑑定しているため、信憑性が高い情報として活用されており、固定資産税評価および相続税評価についての基準にもなっています。
なお公示地価は国土交通省のサイトから誰でも調べられるようになっているので、さっそく確認してみましょう。
【公示価格の調べ方】
1.国土交通省の「標準地・基準地検索システム」のサイトを開きます。
2.地図上の調べたい都道府県→市町村をクリック
3.検索条件を指定して、公示価格を調べる
サイト名:国土交通省地価公示・都道府県地価調査(国土交通省)
【おおよその査定額の計算法】
実際の土地価格は公示地価の1.1倍~1.2倍程度と言われているため
「公示価格×土地の面積×1.1〜1.2=おおよその土地価格」で計算できます。
4-2.路線価を使って調べる
路線価は、道路に面する標準的な宅地1平方メートルあたりの価格のことです。
路線価が定められている地域の土地を評価する場合に用いられ、国税庁のサイトから、誰でも路線価を調べることができます。
【路線価の調べ方】
1.国税庁の路線価図・評価倍率表のサイトを開きます。
2.地図上の調べたい都道府県をクリックします。
3.左上の「路線価図」をクリックすると、市区町村名がでてきます。その中から、調べたい町名をクリックすると、路線価図が表示されます。
【おおよその査定額の計算法】
路線価は公示価格の80%に設定されているため、公示価格を1.1倍〜1.2倍した数値が、おおまかな土地の価格です。
路線価による土地の評価額 ÷ 0.8 × 1.1~1.2=土地の実勢価格の目安
*路線価は1平方メートルあたりの金額を千円単位で表示。
路線価が定められていない土地に関しては、市区町村の「評価倍率表」から評価額を算出できるようになっています。
「評価倍率表」に載っている倍率を、固定資産税評価額に乗じる(掛け算する)ことで、土地の評価額を算出できるので、路線価対象外の方はこちらで調べてみましょう。
4-3.固定資産税評価額を用いて調べる
固定資産税評価額とは、固定資産の納税額を決める基準となる評価額のことを言います。
市区町村で3年に1度評価が決められ、都市計画税や不動産取得税の算出にも用いられる評価基準です。
固定資産税評価額を調べる方法は3つあります。
・1月1日付けの不動産所有者へ、毎年年度初めに送られてくる固定資産税の納税通知書に添付されている課税明細書を確認する。
・市区町村の役所で固定資産税評価証明書を取得する。
・固定資産課税台帳を市町村の窓口で閲覧して、固定資産税評価額を確認する。
基本的に所有者本人か関係人しか取得できない書類ですので、それ以外の人が取得する場合には、身分証の外に委任状を用意して市役所や区役所へ行く必要があります。
【おおよその査定額の計算法】
固定資産税評価額は、公示価格の70%ほどに設定されているため、公示価格を1.1倍〜1.2倍した数値が、おおまかな土地の価格になります。
路線価による土地の評価額 ÷ 0.7 × 1.1~1.2=土地の実勢価格の目安
5.土地査定を依頼する際の流れ
所有している土地の価格をより詳細に知りたいときには、やはり不動産会社に見てもらうのが間違いありません。
周辺地区の取引事例や蓄積された実績から、土地の査定に必要な情報を詳細に調査して査定額を決めていきます。
公示価格に基づいて算出した評価額と、実勢価格に開きがあることもよくあります。
まずは、土地の査定を依頼するところから始めましょう。
ここからは土地査定を依頼する際の4つのステップを解説します。
Step1.机上査定を依頼する
まずは、不動産会社や査定業者へ土地査定の依頼から始めましょう。
近年、個人情報が気になる方向けに、匿名でもシミュレーションができる一括査定サイトのサービスもあり、気軽に利用できるメリットがありますが、査定時の要素が足りないため、参考程度に使ってみるのが、良さそうです。
不動産各社では土地査定を無料でおこなっています。実際に売買などの取引が行われて仲介手数料が発生するまで、お金がかかることはありませんので、不動産売却や不動産査定に力を入れている会社を数社選んでみましょう。
依頼先が見つかったら、まず机上での査定を依頼します。机上査定とは、土地のおおよその相場を見積もるために、過去の取引事例や登記事項証明書や公図、測量図などから調査する方法です。
査定は、公示価格など法的根拠のある評価額や、近隣の条件の似ている物件の取引事例などを元にして、査定の重要なポイントとなる立地や面積、用途地域など、資料から確認できる情報から査定を進めます。
査定方法に決まりはなく、不動産会社によっても、査定にプラスとなる要素が違ったり、得意なエリアが違ったりすることがあります。
おおよその相場をつかむためにも、1社だけではなく、できるだけ多く査定依頼を出しましょう。
Step2.訪問査定を依頼する
より精度の高い、実際の売却価格を知りたい場合には、訪問査定を依頼しましょう。
机上査定を依頼した会社の中から、信頼できると感じる数社を選んで訪問査定を依頼します。
訪問査定は、実際に現地の状況から土地を見て、査定価格を算出するため、データだけではわからない立地や日照、街路の雰囲気など、周辺の環境まで調査して査定しますので、より実際の相場に近い価格がわかります。
ここでの注意点は、机上の査定額が高い会社が必ずしも良いわけではないことです。
机上査定で出した価格は、まだおおよそのものですし、提示された売り出し価格と実際の販売額は違うこともありますので、金額のみで判断しないようにしましょう。
Step3.訪問査定をおこなう
訪問査定は、机上査定で調査した内容を踏まえた上で、実際に現地を見てさまざまな調査をおこないます。
駅からかかる時間や、周辺の学校や病院、スーパーまでの距離、日当たりや騒音、夜間の街灯の有無など、周辺環境についても詳しく調査されるのが一般的です。
また周辺に嫌悪施設はないかなど、マイナス要素のチェックもおこなわれます。
また訪問査定時には、依頼者側からも、これまでに事件・事故、ご近所トラブルなどデメリットと思える点も担当者に事前に相談しておきましょう。
Step4.査定報告書を受け取る
査定には最低でも1週間~2週間かかることを想定しておきましょう。
査定が終わると、不動産会社は無料で査定報告書を作成してくれます。
査定報告書には、決まった書式はありません。各社が自由に内容を作成します。
一番重要なポイントとなる土地の査定価格と算出根拠のほか、売り出し価格の提案などが記載されています。
査定報告書は、不動産鑑定士の作る鑑定書とは違い、法的な根拠はありません。
土地の売却を考えた際には、なくてはならない重要なものとなります。
6.土地の価値がわかったら、あらためて有効活用の方法を考えてみよう
ここまで土地の査定方法を詳しく紹介しました。
基本的に土地の査定は、売却して土地を手放すことを前提にしていることがほとんどです。
今の段階で土地を手放すかどうか悩んでいるときは、すぐに決断をせずに土地活用を検討してみてはいかがでしょうか。
土地活用とは、利用していない土地を有効に活用して利益を得る事業のことです。
税金が気になる方、相続を心配されている方など、目的の違いやそれぞれの土地の特性の違いもあり、売却だけでなく、賃貸経営、相続対策など、土地活用にもさまざまな方法があります。
実際にどんな活用法があるのか、まずは知ってみたい方は、次の記事で詳しく解説していますので、こちらからご覧ください。
>>関連記事:土地活用の方法16選|運用を行うメリットや実際の進め方
より良い土地の利用方法があるかもしれません。
まずは相談から始めてみましょう。
■監修者プロフィール
有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一
関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。
【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者
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