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土地売却で確定申告は必要?無申告のペナルティ、必要な書類と書き方

公開日: 2022.12.30

最終更新日: 2022.12.30

家屋や土地を売却した後、必要となるのが確定申告です。
確定申告はその年にあった所得を税務署へ申告し、所得税・住民税を決定するものです。申告を怠るとペナルティが課される可能性もあることから、きちんと把握しておかなければなりません。

そこで今回は、土地売却における確定申告についてご説明します。基礎知識から具体的な手順まで詳細に説明しますので、ご一読ください。

目次

1. 土地売却で確定申告は必要?

1-1.土地売却で譲渡所得が発生する場合は確定申告が必要

1-2.土地売却の特例を受ける場合も確定申告が必要

1-3.土地を売却して譲渡損失が発生した場合は確定申告が原則不要

2. 土地売却で確定申告をしないとどうなる?

2-1.国税庁からアンケート調査が送られてくる場合がある

2-2.ペナルティが課される場合がある

3. 土地売却の確定申告に必要な書類

4. 土地売却の確定申告を行う流れや書類の書き方

4-1.【申告前】必要な書類を用意する

4-2.【申告時】確定申告の書類を作成する

4-3.【申告時】税務署に確定申告の書類を提出する

4-4.【申告後】納税または還付を受ける

5. 土地を売却した場合の税金の計算方法・シミュレーション

5-1.譲渡所得を計算する

5-2.税額を計算する

6.土地売却の相談は専門家に相談の上進めましょう

1.土地売却で確定申告は必要?

不動産売却で利益が出た場合、売主は確定申告の義務があります。どういった場合に確定申告が必要なのか、具体的に説明します。

1-1.土地売却で譲渡所得が発生する場合は確定申告が必要

譲渡所得とは土地を売却して得た売却益のことです。
土地の売却額から、取得や譲渡にかかった費用や特別控除額を差し引いて算出します。

不動産等譲渡所得の計算式は以下の通りです。

 

収入金額 - (取得費用 + 譲渡費用) - 特別控除額

 

取得費用や譲渡費用は、その物件の取得時・売却時の取引において発生した費用のことを指します。収入金額から控除でき、所得税を減らす効果があるため、それぞれの費用を把握し、証拠書類を取っておくことで、後々の節税につながります。

具体的な取得費用や譲渡費用は以下の通りです。

・物件の購入価格(その際に発生した消費税・不動産取得税含む)

・仲介手数料 (買主を探すために支払った広告料含む)

・収入印紙

・登記費用(登録免許税・司法書士への費用)

・測量費用

・土地売買にあたり発生した建物の解体費用

・土地売買にあたり発生した現行入居者への立退料・違約金・精算金

 

なお、不動産を所有している間に発生した費用(固定資産税や修繕費、住宅ローン金利など)や、マイホームを売却した際に発生した引っ越し費用などのその他関係性の低い費用は、取得費用・譲渡費用として含むことはできません。また取得費がわからないときは、売った金額の5%相当額を取得費とすることができます。

 

計算方法の詳細は「土地を売却した場合の税金の計算方法・シミュレーション」で後述します。

 

1-2.土地売却の特例を受ける場合も確定申告が必要

一定の適用要件を満たし、確定申告を行うことで、譲渡所得の特例を受けることが可能です。
特例を利用することで納税額が小さくなり、ゼロになる場合もあるため、必ず確定申告を行いましょう。

 

<土地売却に関わる特例の例>

・居住用財産の3000万円特別控除

10年超所有軽減税率の特例

・特定居住用財産の買換え特例

・空き家の3000万円特別控除

・居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

・居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

 

1-3.土地を売却して譲渡損失が発生した場合は確定申告が原則不要

では、土地を売却したにも関わらず売却損が出た場合はどうなのでしょうか。
譲渡所得が発生せず、譲渡損失が出た場合には、確定申告は不要です。

例えば1,500万円で取得した土地を譲渡費用100万円かけ1,000万円で売却し、600万円のマイナスが発生する場合などが挙げられます。
ただし、要件をみたしていれば、確定申告することで不動産売却損の分だけ他の所得を相殺することができる「損益通算」を行うことが可能です。要件に当てはまる方は、損失が出た場合でも確定申告することをおすすめします。

2.土地売却で確定申告をしないとどうなる?

土地売却で譲渡益を得たにも関わらず、税務署に対して確定申告を行わないとどうなるのでしょうか。
期限内に申告しなかった場合のデメリットを説明します。 

2-1.国税庁からアンケート調査が送られてくる場合がある

土地売却の利益で確定申告が必要であるにもかかわらず、申告をしていない場合は、国税庁からアンケート調査が届くことがあります。
このアンケート調査は「お尋ね」と呼ばれ、手紙や電話の形式で行われます。不動産の売却に伴う所有権移転の登記は、税務署も把握しています。売買契約書や領収書といった土地の売却に関する書類を用意し、お尋ねについて正確に回答し、必要であれば期限後申告を行いましょう。

2-2.ペナルティが課される場合がある

お尋ねを無回答のままにしてしまうと、税務調査が入る可能性があり、最終的には申告していなかったことに対するペナルティが課されることとなります。
それが、無申告加算税と、遅延日数に応じて課せられる延滞税です。悪質な脱税と認められた場合は、重加算税が課せられる可能性もあります。

3.土地売却の確定申告に必要な書類

確定申告の重要性を理解したところで、ここからは土地売却後の確定申告時に共通して必要となる書類を紹介します。
特例の適用を受ける場合は、追加で書類を用意する必要がありますが、まずは基本的な書類をチェックしていきましょう。

 

<土地売却の確定申告に必要となる主な書類>

必要書類

入手方法

確定申告書B第一表(譲渡所得がある場合)

税務署、国税庁のホームページなど

確定申告書第三表(分離課税用)

税務署、国税庁のホームページなど

譲渡所得の内訳書

税務署、国税庁のホームページなど

売買契約書の写し

自分で用意

譲渡費用を証明する領収書の写し

自分で用意

取得費を証明するための領収書の写し

自分で用意

本人確認書類の写し

自分で用意

譲渡した土地の登記事項証明書

法務局

その他、源泉徴収票等

 

 

  • 確定申告書B 第一表

確定申告書B第一表とは、
不動産に関する所得や株式の配当所得、個人事業主の方は事業所得などがある場合などに作成する確定申告書のことです。今年で廃止になった確定申告書Aと比べ、給与収入以外の所得も申告できるよう構成されています。大きく「収入金額」、「所得金額」、「所得から差し引かれる金額(所得控除)」、「税金の計算」から構成されており、該当する欄を記入していきます。

この確定申告書Bと次に説明する確定申告書第三表(分離課税用)、譲渡所得の内訳書は、税務署や国税庁のホームページなどで入手することができます。

「国税庁 所得税の確定申告」(国税庁)

 

  • 確定申告書第三表(分離課税用)

確定申告書第三表とは、分離課税の対象になる所得を申告することを目的とした書類です。

所得税は、全ての所得を合計して課す「総合課税」が原則です。
ただし、土地や建物などの不動産、株式の譲渡における譲渡所得は、総合課税とは分けて計算します(これを、「分離課税」と言います。)

「国税庁 所得税の確定申告」(国税庁)

 

  • 譲渡所得の内訳書

譲渡所得の内訳書は、土地売却を通じた利益や損失の正確な計算結果を税務署に証明するための書類で、「確定申告書付表兼計算明細書」とも呼ばれます。
土地の取得費や譲渡費用、所在地、売買契約日、引き渡し日などを契約書や領収書から確認し、記入します。

「譲渡所得の内訳書」(国税庁)

 

  • 売買契約書のコピー

ここからは、自らで準備しなければならない書類を紹介します。
まずは、土地売却にかかり作成した売買契約書のコピーです。売却代金がわかる証拠書類として必要になります。

 

  • 譲渡費用を証明する領収書のコピー

収入金額から控除できるものとして、譲渡費用を証明する領収書を揃えます。
譲渡費用は土地売却において発生した費用であり、不動産会社への仲介手数料や印紙税、建物の取り壊しがあった場合はその取り壊し費用などが挙げられます。

 

  • 取得費を証明するための領収書のコピー

取得時に発生した費用を証明できる書類も必要です。
購入時の物件取得費が分かる領収書や、購入時に発生した印紙税・登録免許税など、発生した費用に関係する領収書を全て揃えましょう。

 

  • 本人確認書類のコピー

運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなど、身元確認の書類が必要です。

 

  • 譲渡した土地の登記事項証明書

譲渡した不動産を明示するために全部事項証明書の提出が必要です。
全部事項証明書とは、法務局に備えられている不動産の帳簿で、不動産の権利などの情報が記載されています。オンラインもしくはその土地を管轄する法務局で取得することができます。

4.土地売却の確定申告を行う流れや書類の書き方

必要書類が分かったところで、ここからは確定申告を行う流れを説明していきましょう。

書類の書き方も含め、手順に沿って紹介します。

4-1.【申告前】必要な書類を用意する

自身で保管している書類、税務署や国税庁のホームページを通じて入手する書類を揃えましょう。
必要書類は、適用させたい特例がある場合、個別に異なります。税務署のHPや問い合わせで必要な書類を確認しておくとよいでしょう。

 

4-2.【申告時】確定申告の書類を作成する

譲渡所得の内訳書で計算した譲渡所得を、確定申告書や確定申告書第三表に転記します。 
また、特例を利用する場合は、必要な書類を作成する必要があるため、国税庁のHPを見ながら対応しましょう。

 

*譲渡所得の内訳書の書き方

Step.1 書類の1面を記入する

申告者の住所や氏名、電話番号、職業などを記入しましょう。

 

Step.2 書類の2面を記入する

土地の所在地・種類・大きさ・利用状況、売買契約日・引渡日、譲渡価額、買主の情報などを記入しましょう。

 

Step.3 書類の3面を記入する

譲渡した土地の購入価額、譲渡にかかった費用、譲渡所得金額などを記入しましょう。

 

*確定申告書の書き方

Step.1 種類「分離」を「〇」で囲む

まず、土地の譲渡所得については確定申告書第三表で内容を記載するため、確定申告書Bには分離申告がある旨を表示します。左上にある申告の「種類」に、土地や建物の譲渡所得がある方は、「分離」を「〇」で囲みましょう。

 

Step.2 総合課税の所得がある人は「収入金額等」と「所得金額等」を記入する

給与所得など、総合課税される所得が他にある人は、源泉徴収票を確認しながら「収入金額等」と「所得金額等」を記入しましょう。

 

Step.3 「所得から差し引かれる金額」を記入する

所得から差し引かれる金額とは、所得控除のことを指します。所得控除には以下の項目があり、該当する控除を記入することで、税率がかかる所得を圧縮することが可能です。

所得控除:社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、障害者控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除、雑損控除、医療費控除、寄附金控除(ふるさと納税など)

 

Step.4 「税金の計算」を記入する

最後に、Step.3で算出した「所得から差し引かれる     所得金額」に対して、所得税率を掛けます。その際、配当控除や外国税額控除などの税額控除が適用できる場合は、その金額を差し引きます。また、既に源泉徴収で納め済の金額などを差し引けば、実際に納付する、または還付される金額が分かります。

 

*確定申告書第三表の書き方

Step.1 「収入金額等」を記入する

まずは、土地譲渡所得含めて、1年間に得た収入を「収入金額等」の欄に記入します。土地の譲渡所得については、所有期間が5年以下のものは「総合譲渡(短期)」、5年超のものは「総合譲渡(長期)」の欄に記入します。この際、収入金額には土地の売却代金をそのまま記入しましょう。

 

Step.2 「所得金額等」を記入する

Step.1の収入金額等から、必要経費を差し引いたのが所得です。土地の売却代金から、取得費用 と譲渡費用を差し引いた額を記入しましょう。

 

Step.3 「分離課税の短期・長期譲渡所得に関する事項」を記入する

譲渡所得の内訳書を確認しながら、不動産譲渡に関する詳しい内容を転記していきます。

<例>

・区分:長期・一般

・所得の生ずる場所:○○○○1325

・必要経費:1,000,000

・差引金額(収入金額ー必要経費):9,000,000

 

Step.4 「税金の計算」を記入する

差し引き金額に対して、税率をかけた結果を税額として記入します。先ほどの例では、長期譲渡所得(一般分)の所得税の税率は一律15%のため、9,000,000×15%の135,000円が税額となります。

4-3.【申告時】税務署に確定申告の書類を提出する

確定申告の提出期間は、収入のあった翌年の216日から315日です。
税務署の窓口に持参する以外にも、郵送やe-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用したオンライン提出も可能です。

4-4.【申告後】納税または還付を受ける

確定申告が完了し納税額が確定したら、金融機関もしくは税務署にて税金を納めます。
所得税の納税期限は申告期限と同じで216日から315日、住民税の納税期限は6月以降に通知がきてから行います。振替納税の手続きをすれば、指定した口座からの引き落としも可能です。
また、一定の手続きを行えばクレジットカードやインターネットバンキングによる納付も可能です。

5.土地を売却した場合の税金の計算方法・シミュレーション

ここからは、土地を売却した場合、いくら税金がかかるのかを把握するために、計算方法をご説明します。

5-1.譲渡所得を計算する

まずは、譲渡所得の求め方からおさらいしましょう。
譲渡所得は、土地の売却額から取得や譲渡にかかった費用を差し引いて算出します。特別控除がある場合は控除額も差し引きます。

<譲渡所得の計算式>

譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額

※譲渡価額:土地の売却金額

※取得費:土地を取得(購入)にかかった費用(購入代金や購入手数料、リフォーム代金や立退料など)

※譲渡費用:土地を売却する際に直接かかった費用(仲介手数料、印紙税、違約金、名義書換料など)

※特別控除額:特別控除の適用で控除された金額

 

<譲渡所得の数値シミュレーション>

それでは、具体的な数字を当てはめてシミュレーションしてみましょう。

▼前提条件

2,000万円(諸経費100万円)で購入した土地を2,500万円(諸経費150万円)で売却した

・特別控除は適用されていない

 

▼計算式

譲渡所得=2,500万円-(2,000万円+100万円+150万円)=250万円

 

▼前提条件

3,000万円(諸経費100万円)で購入した土地を3,500万円(諸経費120万円)で売却した

・居住用財産の3000万円特別控除の適用を受ける

 

▼計算式

譲渡所得=3,500万円-(3,000万円+100万円+120万円)-3,000万円=0

※譲渡所得は0円となり税金を支払う必要はないが、特別控除を受けるため確定申告は必要

 

5-2.税額を計算する

譲渡所得を計算したあとは、その所得に税率を掛け合わせて税額を算出します。
譲渡所得に掛かる税率は、土地の所有期間が5年以下か5年超かによって変わります。     

 

<税額の計算式>

譲渡所得の税額=譲渡所得×税率

 

<譲渡所得にかかる税率>

所有期間

所得税率

住民税率

合計税率

所有年数が5年以下の場合

(短期譲渡所得)

30.63%

9%

39.63%

所有年数が5年を超える場合

(長期譲渡所得)

15.315%

5%

20.315%

※復興特別所得税(東日本大震災からの復興に向けて創設された、納税者全員が支払う税金)を含めた税率を計算しています

※所有期間は売却した年の11日時点で計算されるため注意が必要です

 

<譲渡所得にかかる税額の数値シミュレーション>

▼前提条件

・譲渡所得が2,000万円

・土地の所有期間(売却した年の11日時点)が4年の場合(短期譲渡所得)

 

▼計算式

所得税=2,000万円×30.63%=612.6万円

住民税=2,000万円×9%=180万円

 

▼前提条件

・譲渡所得が3,000万円

・土地の所有期間(売却した年の11日時点)が10年の場合(長期譲渡所得)

 

▼計算式

所得税=3,000万円×15.315%=459.45万円

住民税=3,000万円×5%=150万円

※所有期間が10年を超える居住用の土地を売却した際は軽減税率が適用される可能性があるため、税率が下がる場合もある

6.土地売却の相談は専門家に相談の上進めましょう

今回は、土地売却における確定申告について、流れや注意点を説明しました。

マンションやアパート・戸建てなどの家屋や土地など、不動産を売却して利益を得た場合は確定申告しなければなりません。また、損が出た場合でも確定申告することで他の所得と損益通算をすることができます。いざという時に供え、売買契約書や領収書などの必要書類はきちんと保存しておきましょう。

土地の売却は、信頼の置けるパートナーと共に進めることが重要です。


また大東建託では、不動産に関する相談を無料で受け付けています。土地の売却や活用などの資産運用に関して、担当者が丁寧にサポートいたします。ぜひお気軽にご相談ください。

■監修者プロフィール

税理士法人みらいサクセスパートナーズ 代表
宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上。

現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っている。

また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事。

【保有資格】 税理士、CFP®