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アパート経営者必見!災害時の修繕費用とサブリース時の対応

公開日: 2022.10.28

最終更新日: 2023.12.26

公開日:2020.01.21

アパート経営を検討している人...もしくはすでにアパート経営をしている人の中には、「災害時にアパートが損傷した場合の修繕はどうなるのか?」と気になっている人もいるでしょう。というのも、アパート経営をしているということは、そのアパート一棟を保有しているということなので、共用部の修繕などに関する責任はオーナーにあるからです。そこでこの記事では、災害時にアパートが損傷したとき、オーナーの修繕義務はどの範囲まであるのか?サブリース契約をしているときの保証はどうなのか?という点について解説していきます。

>>関連記事:「アパート経営完全ガイド|建築プラン立てから完成後の業務まで」

この記事のポイント
  • 災害時の修繕費用は原則オーナーが支払う。
  • サブリース契約の場合もオーナーが負担するケースが多い
  • 災害リスクを測ってから物件選びをする方法

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災害によって破損したアパートの修繕義務とは?

前提として、アパートオーナーは「入居者の使用・収益を妨げる状態が発生したときは、必要な修繕をする義務がある」と民法で定められています。しかし、一般的な賃貸借契約は「災害時の修繕については居住が『不可能』な損害の責任を負わない」としています。

言い換えると、災害による損傷度合によってはオーナーが修繕義務を負うこともあるため、修繕義務を負うかどうかを以下のパターン別で見ていきましょう。

  • 入居者が勝手に修繕したパターン
  • 特約を結んでいるパターン
  • 経済的負担が大きいパターン

入居者が勝手に修繕したパターン

上述したように、災害時の損傷でも居住が可能なレベルの損傷であれば、民法が優先されてオーナーは修繕義務を負います。そのため、たとえば「ちょっとした水漏れ」や「フローリングの一部損傷」などは、オーナーに修繕義務があります。

仮に、アパートオーナーに修繕義務があるにもかかわらず修繕をせずに、入居者が修繕を要求してもアパートオーナーが応じないとします。その場合、入居者が勝手に修繕をしたとしても、入居者はアパートオーナーに修繕費用を請求することができます。


経済的負担が大きいパターン

一方、その修繕が建て替えに匹敵するほどの大規模な修繕になるのであれば、オーナーの経済的負担が大きくなってしまうため修繕義務は発生しません。これは、上述した一般的な賃貸借契約書に明記されている、「居住が『不可能』な損害の責任を負わない」に沿っている内容です。

また、賃貸借契約書によると「住めないほどの大きな損傷や建物が滅失した場合」などは、残念ながら賃貸借契約は解除されて、賃借人は退去になってしまう可能性もあるのです。

この「住めないほどの大きな損傷」の線引きは難しいですが、最高裁の判例では以下の要素で総合的に判断しているので、参考にしてみてください。

  • 風雨をしのげるか否か
  • 倒壊の危険の有無
  • 耐用年数から見て修復と建て替えのどちらが経済的か

特約を結んでいるパターン

物件によっては、賃貸借契約に付随して以下のような特約を締結することができます。

  • オーナーが修繕義務を負わない
  • 入居者が積極的に修繕義務を負担する

ただし、この特約を結んでいても、一般的には入居者が負担するのは小修繕で、災害などによる大規模修繕はオーナーの義務という解釈になります。そのため、アパートオーナーの立場として、特約を結んでいるから費用負担はない...というわけではない点を認識しておきましょう。

サブリース契約の場合はどうなるか?

前項までで、通常のアパート経営時に災害が起きた場合の修繕費用負担について理解していただけたでしょうか。次に、そのアパートをサブリースとして不動産会社に一括借り上げしてもらっているときについて、以下の点を知っておきましょう。

  • サブリース契約の原則
  • サブリース契約の家賃支払い
  • 実際の不動産会社の対応

サブリース契約の修繕

サブリース契約に関しては、不動産会社各社でフォーマットがあるので、災害時の取り決めもまちまちでしょう。ただ、国土交通省が定めるフォーマットを見る限り、「サブリース会社や入居者の故意・過失以外の修繕」に関してはオーナー負担となります。

個別に契約書を確認する必要はありますが、基本的にはサブリースの場合でも、オーナーは上述した内容と同じ「修繕義務」を負うと思って良いでしょう。

サブリース契約の家賃支払い

サブリース契約(空室保証)は、入居者がいなくても不動産会社から家賃がもらえます。しかし、前項と同じく契約書のフォーマットには以下の文言があります。

"本契約は、天災、地変、火災、その他甲乙双方の責めに帰さない事由により、本物件が滅失した場合、当然に消滅する。"

滅失の定義を上述した、「人が住めない状況」に置き換えた場合、入居者が住めない状況まで建物が損傷した場合はサブリース契約が自動的に解除されます。つまり、家賃保証もなくなるので、家賃収入はゼロになってしまうのです。

実際の不動産会社の対応

ただ、実際に災害が起きたときの対応については、不動産会社によって異なります。たとえば、大東建託のサブリースは前項のフォーマットのように、基本的には災害で入居者が住めなくなった場合には家賃の支払いはありません。

しかし、被災にあったオーナーや入居者向けに支援を行った事例もあります。

このようなイレギュラーの対応もあるとはいえ、原則は上述した契約書のフォーマット通りと思っておきましょう。

>>関連記事:不動産投資でサブリース契約を活用するメリット・デメリットは?

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災害リスクの測り方

次に、災害リスクはどのようにして測れば良いか?という点について解説します。特に、今からアパート経営をする人は建築エリアの災害リスクは必ず調べておいた方が良いでしょう。具体的には以下をチェックします。

  • ハザードマップでチェック
  • 地域危険度測定調査でチェック
  • 保険の内容を把握する

ハザードマップでチェック

ハザードマップにて、以下の災害リスクを確認することができます。

  • 大雨による洪水や浸水被害
  • 液状化リスク

「○○(市区) ハザードマップ」と検索すれば、ネット上から閲覧することできます。ピンポイントで自分の検討しているエリアを確認できるので、災害リスクはハザードマップで確認しておきましょう。

地域危険度測定調査でチェック

また、エリアによっては「地域危険度測定調査」があるので、こちらもネットで検索してみましょう。地域危険度測定調査は、地震や火災による以下のリスクが分かります。

  • 建物倒壊危険度
  • 火災危険度(火災の発生による延焼リスク)
  • 総合危険度(上記指標に災害時活動困難度を加味したリスク)

ハザードマップは土地柄のリスクでしたが、上記は建物の密集状況なども加味しているリスクです。前項のハザードマップと合わせて、こちらの地域危険度測定調査でも災害リスクをきちんと確認してから物件を選定しましょう。

保険の内容を把握する

次に、火災保険と地震保険の加入について以下を確認しましょう。

  • 火災保険はローンを組む時は必須
  • 火災保険はプランによって保障内容が異なる
  • 地震保険は任意
  • 地震保険も保障範囲はプランによる
  • オーナーは共用部の保険加入も判断する

火災保険はローンを組むと必須加入なので、アパート経営の序盤は加入しているケースが多いでしょう。しかし、ローン完済後に保険も解約することがあるので、その際は前項のリスクを加味して慎重に検討しましょう。

また、火災保険も地震保険も、プランなどによって保障範囲が異なります。そのため、こちらも前項のリスクを加味して、保障範囲をどうするか?そもそも地震保険は加入すべきか?を判断することが重要です。

災害時にアパートオーナーが疑問に思うこと

さいごに、災害が起きたときにアパートオーナーが疑問に思うであろう以下について解説します。

  • 工事期間の対応
  • 災害時に入居者が死傷した場合

工事期間の対応

仮に修繕が必要であり、その際に入居者の退去が必要であればオーナーは入居者に退去を要求できます。その際に、入居者が仮住まいする費用や引越し代を支払う義務はありませんが、家賃の徴収もできません。

また、入居者が退去する必要がない場合でも、修繕が必要ということは「入居者の通常使用に支障が出ている」可能性があります。その際は、入居者から家賃の減額請求をされる場合がある点も認識しておきましょう。

災害時に入居者が死傷した場合(非がなければ責任なし)

災害によって入居者が死傷した場合には、通常備えるべき安全性が備わっていればオーナーに責任はありません。民法には、建物など工作物の瑕疵が原因で損害が発生した場合で、かつ入居者に責任がなければオーナーが責任を問われる場合もあるので気を付けましょう。


まとめ

このように、アパート経営をしているオーナーの災害による修繕負担はケースバイケースです。また、サブリースだとしてもオーナーが修繕費用を負担することがあるので、上述した内容は理解しておきましょう。

さらに、アパート経営を検討中であればハザードマップなど災害リスクのチェック、すでにアパート経営中であれば保険を見直しておくことも重要です。

監修者プロフィール
逆瀬川 勇造

2級FP技能士(AFP)、宅建士。

明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。
大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、

2011年より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。



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