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不動産投資でサブリース契約を活用するメリット・デメリットは?

公開日: 2022.10.28

最終更新日: 2023.03.24

公開日:2022年6月28

アパート経営・マンション経営の運用では、一般的な管理委託とサブリース・一括借上げの方法があります。

サブリースは空室の有無に係らず安定した家賃収入が見込めると同時に、不動産オーナーにとって運用の手間がかからないメリットがあります。


サブリース契約の特徴や基礎知識、メリット・デメリットを正しく理解することでオーナー側のサブリース契約の不安を払拭することができるので、ぜひ本記事をチェックしてみましょう。

1.不動産投資におけるサブリース契約の基礎知識

不動産オーナーとして賃貸経営をしていくうえで、
不動産管理会社との契約形態には「自己管理」「管理委託」「サブリース契約(一括借り上げ)」などがありますが、その選択は継続的な安定経営を目指すうえでは重要なポイントです。

いくら条件が良くても基礎知識がなければ正確な判断ができません。ここではサブリース契約について説明します。


1-1.サブリース契約とは

所有している賃貸物件をサブリース会社(管理会社)に一括で借上げてもらう管理形態です。
サブリース会社はオーナーが所有している賃貸物件を入居者へ転貸します。
入居者はサブリース会社へ家賃を支払い、サブリース会社は一定の手数料を考慮した家賃額をオーナーに支払います。

サブリース会社は空室の有無に関係なく、締結した契約内容の賃料をオーナー側に支払うことで成立します。

1-2.サブリース契約の仕組み

サブリース契約の場合、オーナーとサブリース会社との間で賃貸借契約を締結します。

サブリース契約では、不動産会社がオーナー側に賃料を支払う代わりに事業者側に物件の使用が認められます。
不動産会社が入居者へ転貸するため、サブリース会社と入居者は転貸借契約を締結します。

1-3.サブリース契約の種類

サブリースの契約内容は種類があるため、失敗しないように把握しておくことが大切です。
サブリース契約の種類を解説していきます。

    • 賃料固定型
      オーナーが受け取る賃料が固定されている契約です。
      賃料固定型はサブリース会社が受け取る家賃の額が変動してもオーナーへ支払う賃料は変わらないため、安定した収入が見込めます。
      ただし、契約によって賃料が固定される期間は異なり一定の期間で見直しが行われるため注意が必要です。
    • 実績賃料連動型
      パススルー型とも呼ばれる契約です。
      実際の家賃に連動してオーナーが受け取る賃料も変動する契約で、入居者が増えれば収入の増額が見込めます。
      一方で入居者が減れば収入減額の可能性があります。契約時に賃料減額の条件をしっかり確認しておくことをおすすめします。

2.サブリース契約のメリット・デメリット

サブリース契約を締結することで得られるメリットと注意すべきデメリットを解説します。

2-1.サブリース契約のメリット

アパート・マンション投資においてサブリース契約のメリットは5つあります。

サブリース会社と入居者が転貸借契約を結ぶ

サブリース契約はサブリース会社が入居者へ転貸するため、オーナーと入居者は直接の契約関係にはなりません。

賃借人との間で賃貸借契約におけるトラブルが発生した場合、契約上の当事者はオーナーではなく貸主であるサブリース会社になるため、
家賃滞納者の対応や集金代行などの負担が大きいトラブル対応をサブリース会社が当事者として解決にあたってくれるので安心です。

入居者と直接やりとりする必要がない

マンションやアパートにおいて発生する管理業務はサブリース会社がほぼ全て実施してくれます。

例えば入居者募集、家賃の集金、契約更新の手続き、退去時対応、原状回復時に発生する原状回復費やリフォームの見積もり取得・業者手配などがあります。

賃貸物件を自主管理する場合、必要な作業や手配はすべて自分で行うことになるため、サブリース契約ではサブリース会社が貸主としてそれらの作業を行うのでオーナーの負担を軽減する手段として有効といえます。

相続税対策にも効果を発揮する

アパートやマンション投資の場合、相続税は貸家建付地としての評価で計算されます。
具体的には以下の計算式で求められます。

    • 貸家建付地の評価額=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)


計算上、賃貸割合の数値が高ければ評価額が下がります。
したがって、物件の入居率が高いほど相続税の額が低くなる仕組みです。

相続税評価額は所有者であるオーナーが「どれだけ物件を自由に使えるか」が基準に含まれているため、部屋が埋まっていればいるほど自由に使える範囲が少ないと判断されます。

サブリース契約においては空室状況にかかわらず、サブリース会社に賃貸している契約であることから入居率は100%の扱いとなります。

常に一定の収入が見込める

一般的な管理委託契約の場合、マンションやアパートに空室があると家賃収入が減少します。

一方で賃料固定型の契約の場合は一定の額が支払われる家賃保証の仕組みがあるため、空室が多数あっても一定の家賃収入を見込めます。

そのため、年間の収支が計算しやすく、確定申告時の負担も軽減できます。
ただし、実績賃料連動型の契約には家賃保証が設定されてない場合があるので注意しましょう。

手間がかかる業務を一部引き受けてくれる

建物の管理業務である共用部の管理、入居者退去時に発生する部屋の原状回復費用の見積もり作成や修繕対応などのサービスを実施しているサブリース会社もあります。
管理業務の負担を軽減するためには、サービス内容が充実している不動産会社を選び相談することをおすすめします。

2-2.サブリース契約のデメリット

次にサブリース契約のデメリットを3つ紹介していきます。

収益性がやや低い

サブリース会社も利益がでなければ運営ができないため、オーナーが受け取れる賃料は家賃の8割9割程度に設定されるのが一般的です。

家賃の一部はサブリース会社の手数料として差し引かれるため、安定した収入を得やすい代わりに家賃の全額が受け取れるわけではないことを注意点として覚えておきましょう。
オーナーが背負う業務負担や空室リスクなどをサブリース会社が引き受けることが理由です。

そのため、オーナーが受け取る借上げ賃料はサブリース会社が引き受けるリスクに対する手間賃なども考慮して設定されます。

一定期間で家賃保証の額に見直しが入る

サブリース契約の家賃保証の額は、オーナー側とサブリース会社で協議して設定します。
物件の周辺状況などを考慮して周辺の相場に合った正当な家賃を設定するため、家賃は一定期間で見直しが行われます
見直しを実施した結果、家賃の変動に伴い利回りも変動する場合があります。

免責期間がある

サブリース契約では、物件の新築直後や入居者の退去後に免責期間が設けられていることがあります。
新築直後や入居者の退去後の空室期間は、家賃収入がない一方で、入居募集の広告料など出ていくお金が多いためです。

通常、免責期間中は家賃保証が受けられません。
アパート・マンション投資を融資を組んで開始した場合、免責期間中は収入が得られず、ローン返済に大きく影響してくるため、最低でも2か月程度の賃料を補填できる余裕を持っておきましょう。

サブリース契約を検討する場合はメリットだけでなくデメリットも考慮したうえで判断することをおすすめします。

3.サブリース契約の活用が向いている人

投資用マンションなどの投資物件の大きなリスクとして「空室」と「家賃滞納」が考えられます。
資産運用の手段として始めても、空室や滞納があれば今後の資産形成に支障が出てしまいます。

では、どのような人がサブリース契約の活用が向いているのか説明していきます。

3-1.安定志向の人

サブリースを利用すると、不動産投資において大きなリスクである空室リスク・家賃下落リスク・家賃滞納リスクなどが軽減されます。
入居者がいないと家賃収入が得られないため、安定的な不動産経営が難しくなるため、入居者がいなくても安定した収入を得たい人はサブリース契約を利用することで安定した賃貸経営を実現しやすくなるでしょう。

ただし、賃貸経営のノウハウやリスク回避の仕組みがないサブリースの事業者もあるので注意が必要です。
「将来的な収支が予測しやすくなる」というメリットを得たい場合は、実績と信頼性の高いサブリースの事業者を選ぶ必要があります

3-2.不動産経営のノウハウが少ない人

不動産経営において集客や入居者とのコミュニケーションなどは、入居率に関わる重要な要素です。
管理などの運営がうまくいかないと入居率に影響し、空室の増加につながります。

そのため、不動産経営のノウハウが少ない人はサブリース会社の担当者に任せる選択肢も有効な手段です。

3-3.不動産経営の手間を極力減らしたい人

本業で別の仕事をしている、別の事業を展開しているなど不動産経営だけに時間を割けない人は、他の事業と両立するためにサブリース契約を交わし負担を軽減するのがおすすめです。
アパートやマンションの管理、入居者トラブルなどの問題への対応もサブリース会社が引き受けてくれるため、不動産経営に費やす時間を大きく短縮できるでしょう。

4.不動産投資でサブリース契約を上手に使いこなすためのポイント

サブリース契約を利用しても有効活用できなければ失敗の要因となります。
上手に使いこなすためのポイントを解説していきます。

4-1.サブリースの契約内容を把握する

サブリース契約に限らず、契約内容を把握しておかないとトラブルの原因にもなります。
気になる点があったらサブリース会社の担当者に必ず問い合わせることをおすすめします。

確認すべき項目は、家賃見直しの条件、中途解約の可否、解約条件や違約金、修繕費の負担と請求方法、解除更新時の対応、更新料や礼金の取り分、特約の有無や売却時の対応方法、出口戦略の有無などがあります。
契約内容は重要事項です。漏れなく把握し理解しておくと良いでしょう。

4-2.家賃見直しの期間は必ず確認する

サブリース契約で家賃の見直しは賃貸経営の収支を左右するイベントのひとつです。
家賃見直しの時期がいつなのか、何年ごとに行うのかなどは契約書に記載されていることが多いため、必ず確認して経営開始から十数年が経過しても十分な収入が得られるかどうかをイメージしておくと良いでしょう。

4-3.信頼できる会社を選ぶ

サブリース契約は2030年近くにわたる長期契約を結ぶことが多いため、サブリース会社とは長い付き合いをすることになります。
そのため、信頼できる会社かどうかの見極めが重要です。

サブリース会社から提示された事業計画は実現可能な内容か、オーナー目線でアドバイスしてくれるかなどを基準に判断すると良いでしょう。


サブリース新法を遵守した運営を行っているかどうかも重要です。
サブリース新法とは、2020年に施工された「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」のことで、国土交通省からもサブリース事業に係る適正な業務のためのガイドラインが掲載されています。

判断に影響及ぼす内容を故意的に伝えなかったり事実と異なる情報を伝えてサブリース契約へ勧誘することを防ぐ「不当な勧誘の禁止」やサブリース契約の相手方に支払う家賃などの条件に係る事項や賃貸住宅の維持保全の実施方法などを書面交付にて説明する「特定賃貸借契約締結前の重要事項説明」などがあります。

違反した場合はサブリース会社に罰金や業務停止処分が与えられます。

サブリース新法を守りつつ、しっかりとした実績のある会社を選ぶことをおすすめします。



5.サブリース契約はリスクの把握が重要

サブリース契約にはメリットもあればデメリットもあります。
大事なのはデメリットやリスクがあることを理解し、そのうえで自身に利益があるか判断し、取り入れるかどうかを判断することです。

また、建物賃貸事業は、建物を建てるだけではなく、その後の管理・運営がとても重要となりますので、運営力に優れた事業者を選択することを心掛けましょう。

なお、2021年6月に施行された賃貸管理業者登録制度は、200戸以上の管理をしている事業者に登録義務があるため、不動産会社選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。

監修者プロフィール
伊野 文明

宅地建物取引士・FP2級の知識を活かし、不動産専門ライターとして活動。賃貸経営・土地活用に関する記事執筆・監修を多数手掛けている。ビル管理会社で長期の勤務経験があるため、建物の設備・清掃に関する知識も豊富。

【保有資格】
・宅地建物取引士
・FP2級
・建築物環境衛生管理技術者

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