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アパート経営の地震対策と助成金

最終更新日: 2023.12.26

公開日:2019.03.05

築年数の経過したアパートの中には、耐震基準を満たしていないアパートもありますが、基準を満たしていないことで入居者に被害が及んだ場合、建物の状態によっては、アパート経営を行うオーナー様側の損害賠償に発展する可能性があるため注意が必要です。

そこで今回は、アパート経営を行うオーナー様が行うべき地震対策を紹介。さらに首都直下型地震の可能性が指摘されている東京都を例に、地震対策に対する助成金について詳しく解説していきます。

>>関連記事:「アパート経営完全ガイド|建築プラン立てから完成後の業務まで」

この記事のポイント
  • 耐震基準を満たしていないと損害賠償になるケースも
  • 助成金を活用することで耐震化費用を抑えられる
  • 自治体によって助成制度が異なるので確認が必要
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耐震化によって賠償責任も大きく変わる

アパート経営者は、自分が建てたアパートではない場合でも、民法によってそのアパートを所有している時点でアパートが原因で生じたトラブルに対する責任を負います。

<民法:第717条>

1.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

条文には具体的な内容について明記されていないため、「耐震基準を満たしていないことは、民法第717条に該当しないのでは?」と思っている人も多いかもしれませんが、重要なのは「設置又は保存に瑕疵がある」という点です。


例えば、1995年の阪神・淡路大震災で、アパートが倒壊したことによって4人の死傷者が出た事例では、アパート経営を行うオーナー様に対して1億2,900万円の損害賠償が命じられました(判例時報1716号)。


このアパートは、1964年に建てられた「軽量鉄骨コンクリートブロック造一部鉄筋コンクリート造の三階建」ですが、壁の厚みや鉄骨の量が不十分といった大きな欠陥を抱えていました。
この事例を民法第717条の「設置又は保存に瑕疵がある」と照らし合わせてみると、設置=建築当時の耐震基準を満たしているかどうか、保存=その後の耐震管理をしっかり行っているかどうかと解釈できます。
その結果、このアパートは建築当時の耐震基準を満たしていなかった、その後の耐震管理もしっかり行っていなかったと判断されて、損害賠償請求が確定しました。

とはいえ、「地震が発生して入居者に万が一の事態が生じれば全てアパート経営を行うオーナー様の責任になる」というわけではありません。天災は、あくまでも不可抗力であり、故意または過失によるものと判断されないため、基本的には賠償責任が生じません。
あくまでも建築当時の耐震基準を満たしている、この事例であれば「旧耐震基準」の震度5弱?震度6弱程度の地震に耐えることができる状況を維持しているかが重要なポイントになると言えるでしょう。

>>関連記事:地震からアパート・マンションを守ろう?耐震性能と耐震等級とは?

建物耐震化までの流れと助成金

地震大国の日本では、耐震性の低い建物が原因で地震の被害が拡大し、多くの死傷者が出ないように国をあげて取り組んでいます。そこで、取り組みの1つとして登場したのが既存建物の耐震化のための助成金です。

助成金には様々な種類がありますが、耐震調査の助成金と改修の助成金の大きく2種類に分けられます。助成金は種類によって適用条件が異なりますが、基本的には耐震性が低いと判断される建物が対象であるため、旧耐震基準が適用されている1981年5月31日以前に建築確認を受けている建物が対象となっていることが多いと言えるでしょう。

耐震化までの流れは以下の通りです。

    1. 1.耐震化専門家への調査依頼(一部を行政が負担可)
    2. 2.物件の調査
    3. 3.耐震化設計調査(一部を行政が負担可)

まずは、各自治体に耐震化に関する相談を行い、耐震化専門家に調査を依頼します。その後依頼を受けた専門家が目視による建物の状況確認や図面確認を行い、精密な診断が必要か判断します。

問題がないと判断されると調査は終了しますが、精密な診断が必要と判断されると物件の耐震性能について詳しく調査を行い、その後に作成した改修計画に基づいて改修を行っていくことになります。

アパート経営を行うオーナー様には、安全な物件を提供する義務があります。そのため、古い建物のアパートではこの助成金を活用して、入居者が安心して生活できる環境を整えておく必要があります。

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東京都の助成制度

耐震化が必要とは分かっていても、ある程度の費用が必要になることから、耐震診断や耐震改修の実施に踏み切ることができないオーナー様も多くいます。 そこで、東京都は首都直下型地震発生の可能性が高まっていることもあり、助成制度などの建物所有者の費用負担の軽減を図るための取り組みを自治体と連携して行っています。自治体を代表して杉並区と中央区の助成制度について見ていきましょう。

<杉並区の助成制度>

杉並区では、木造住宅等の耐震改修助成を行っています。杉並区の「簡易診断」を受けて、区の耐震診断(精密診断)結果報告書に基づいて耐震改修を行う人、もしくは区の特定木造精密診断士による精密診断結果報告書に基づいて耐震改修を行う人に対して補強工事費の一部を助成するという内容です。

この助成制度を利用できるのは、全ての建物ではありません。助成制度を利用するためには下記の条件を満たしている必要があります。

  • 昭和56年6月1日~平成12年5月31日の間に建築されている建物
  • 杉並区内にある木造の建物
  • 公共施設、大企業の所有するものではない建物
  • 杉並区の精密診断結果に基づいて耐震改修を計画している建物
  • 特定木造耐震診断士による精密診断結果に基づいて耐震改修を計画している建物
  • 耐震改修に係る他の補助金を受けていない建物
  • 耐震改修に着工していない建物


建物が上記の条件を満たしているだけでなく、利用者も下記の条件を満たしている必要があります。

    • 上記の条件を満たした建物の所有者
    • 住民税(個人・法人)を滞納していない所有者


これらの条件を満たしている場合は、杉並区の木造住宅等の耐震改修助成を利用できます。適用対象の建物や利用者の条件が変更になっている可能性もあるため、詳しくは杉並区に問い合わせるようにしましょう。

<中央区の助成制度>

中央区では、木造以外の建築物(一般)の助成を行っています。地震で建物の倒壊といった被害が生じることを未然に防ぐことで、安全・安心な住まい・街づくりを実現できるように建物の耐震診断や耐震性を向上させる補強工事などに対して助成を行うという内容です。杉並区との違いは、木造以外の建築物(一般)の助成も対象としている点です。

一般的な住宅、業務商業建築物、分譲マンション、賃貸マンションなど、各建築物によって助成金の限度額が異なっています。賃貸マンションの主な助成制度は以下の通りです。

  • 耐震診断:診断費用の3分の2(限度額200万円)
  • 補強設計:設計費用の3分の2(限度額100万円)
  • 耐震補強工事:工事費用の2分の1(限度額1,500万円)


杉並、中央区以外でも、東京都の各自治体では、地震対策に対する助成制度等が設けられています。また、今回紹介した杉並、中央区でも、検討する時期に合わせて助成制度に変更があるかどうか等確認する必要があります。東京都の耐震ポータルサイトや自治体のホームページで最新の情報を確認するなど、利用できる制度があるかどうかをまず調べてみましょう。

また、助成制度の内容は全国の自治体で異なるほか、助成制度を利用するには耐震診断や補強工事の契約を行う前に申請が必要です。助成制度を利用する場合には、どのような助成制度があるのかなど、各自治体に事前に問い合わせておくようにしましょう。

まとめ

地震大国である日本は常に地震の危険と隣り合わせにあります。そのため、アパート経営を行う際にアパートの安全性に力を入れておくと、入居者の安全だけでなく、物件の集客力を高める「売り」になります。

耐震診断や耐震改修には、東京都以外でも地域によっては地方自治体で様々な助成制度が用意されています。大きな費用削減につながる可能性があるため、該当する地域に利用できる助成制度があるのか、またどのような助成制度なのか、建物のある自治体に相談してみることをおすすめします。

また、非常袋や避難経路の確保、地震後の安否確認など、被害を防ぐために必要な措置や地震後の措置を怠った場合は、損害賠償責任に問われる可能性もあります。しっかりと対策をとっておきましょう。

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