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アパート・マンション経営の利回りとは?主な種類や計算方法、注意点

公開日: 2025.04.21

最終更新日: 2025.04.22

アパート・マンション経営を始める際に重要となるのが「利回り」の理解です。「アパート・マンション経営を考えているけれど、どの物件を選べばいいのか分からない」「利回りの計算方法が難しそう」と不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。

利回りは投資した金額に対し、どれだけの利益が得られるかを示す指標です。アパート・マンション経営の収益性を判断するうえで重要な基準となります。適切な利回り計算ができれば、物件選びや資金計画も効率的に進められるでしょう。ただし、利回りには複数の種類があり、それぞれ計算方法や意味合いが異なります。

本記事では、アパート・マンション経営における利回りの基本知識から計算方法、注意点までわかりやすく解説します。これからアパート・マンション経営を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

1. アパート・マンション経営の利回り


アパート・マンション経営が成功するかどうかを判断するうえで、参考にすることもある指標が「表面利回り」です。

利回りとは、投資した金額に対して得られる年間家賃収入の割合を示すものです。

アパート・マンション経営では、家賃収入が主な収益源となるため、年間の家賃収入を投資金額で割った数値が利回りの基本となります。

一般的に利回りが高いほど投資効率が良いとされますが、実際には物件の立地条件や築年数、管理費なども影響を与えます。

また、利回りには複数の種類があり、それぞれ含まれる要素や考慮する条件、計算方法が異なります。

2. アパート・マンション経営に関する利回りの種類と計算方法


アパート・マンション経営では複数ある利回りを理解し、収益性の正確な把握が欠かせません。
それぞれの計算方法と特徴を解説します。

2-1. 表面利回りの計算方法

表面利回りは基本的な利回りです。
「満室想定のケース」もしくは「現状家賃のケース(中古物件)」のいずれかの年間家賃収入を物件価格で割った値で計算します。
マンション経営にかかる経費は考慮しません。

具体的な計算式は以下のとおりです。

表面利回り(%)=(年間家賃収入÷物件価格)×100


例えば、以下の条件で計算した場合の利回りは6.0%です。

● 物件価格:5,000万円

● 月額家賃:25万円(年間300万円)

表面利回り=(300万円÷5,000万円)×100=6.0%


表面利回りは、一般的に不動産広告やチラシに記載される指標であり、物件の概要を簡単に比較するために広く使われています。


表面利回りの計算方法は、マンションの部屋が全て満室なときに得られる家賃収入を前提としています。

しかし実際は、部屋が常に埋まっている状態を維持できるとは限りません。
空室リスクを0にするのは実質不可能なため、空室が発生していることを考慮する必要があります。

空室を考慮した具体的な計算式は以下のとおりです。

空室を考慮した表面利回り(%)=(年間家賃収入÷物件価格)×(1-空室率) ×100


先ほどの計算で用いた条件で、空室率を考慮してみます。
今回は空室率を10%とします。

空室を考慮した表面利回り=(300万円÷5,000万円)×(1-0.1)×100

=0.06×0.9×100

=5.4%

2-2. 満室想定表面利回りの計算方法

満室想定表面利回りは、満室時の家賃収入で計算する利回りです。
経費と空室率を考慮せず、すべての部屋が埋まっていると仮定します。

具体的な計算式は以下のとおりです。

想定利回り(%)=(満室時の年間家賃収入÷物件価格)×100


例えば、以下の条件で計算した場合の利回りは6.0%です。

● 物件価格:5,000万円

● 部屋数 :5部屋

● 1部屋の月額家賃:5万円

● 満室時の月額家賃:25万円(=5部屋×5万円)(年間300万円)

想定利回り=(300万円÷5,000万円)×100=6.0%


想定利回りは、投資家向けの不動産投資セミナーや物件パンフレットでよく使用される指標です。
物件の潜在的な最大収益力を示しますが、常に満室状態を維持することは難しく、空き室リスクも考慮した判断が必要でしょう。


●空室考慮後表面利回りの計算方法

●物件価格:5,000万円

●部屋数:5部屋

●1部屋の月額家賃:5万円

●実質利回りの計算方法

実質利回りは物件購入時の諸費用や年間の運用経費を考慮した指標です。

それぞれの主な費用は、以下のとおりになります。

購入時の諸費用

年間経費

不動産取得税

固定資産税・都市計画税

仲介手数料

管理費

登記費用

修繕費

火災保険料

水道・光熱費


具体的な計算式は以下のとおりです。

実質利回り(%)=(年間家賃収入−年間経費)÷(物件価格+購入時の諸費用)×100


例えば、以下の条件で計算した場合の利回りは3.8%です。

● 物件価格:5,000万円

● 購入時の諸費用:250万円

● 年間家賃収入:300万円

● 年間経費:100万円

実質利回り(%)=(300万円−100万円)÷(5,000万円+250万円)×100=3.8%


実質利回りは、実際の手取りに近い収益額(営業純利益(NOI))を把握できるため、投資判断や収支計画を立てる際に最も重視されます。

3. アパート・マンション経営における利回りの注意点


アパート・マンション経営において、物件の利回りから投資すべきか否かを判断する際には、いくつかの注意すべき点があります。主な注意点は以下のとおりです。

● 利回りを正しく評価する

● 空室リスクを考慮する

● 家賃には下落リスクがある

● 金利上昇を考慮する

それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

3-1. 表面利回りだけで判断しない

表面利回りの高さに惑わされないことが大切です。物件価格が安い場合の表面利回りは、前述した計算式からもわかるとおり、高くなります。

しかし、価格の安い物件では想定した収入を確保できないリスクがあります。

具体的には以下のリスクが考えられます。

● 築年数の古い物件は物件価格が安く、利回りが高く見えるが将来的な修繕費用が増加する

● 立地が良くないと物件価格が安くなる反面、空室リスクが高く、満室想定の家賃収入を維持することが難しい

このようなリスクを抱えているため、投資判断は実質利回りをベースに検討しましょう。

3-2. 空室リスクを考慮する

空室の発生は家賃収入が減るため、利回り低下の要因です。


物件価格5,000万円で満室想定年間家賃収入300万円、表面利回り6%の物件が空室率10%となると、空室考慮後の年間家賃収入は270万円(=300万円−30万円)に減少します。

結果、利回りは5.4%(=270万円÷5,000万円)と0.6%低下します。

空室リスクを減らすには、入居者のニーズが高い物件選びが重要です。

例えば以下のような特徴です。

● 周辺環境(最寄り駅から近い、コンビニ・スーパー・病院・学校などが近くにある)

● 部屋の間取り・広さ

● 必要な設備の完備(風呂・トイレ別、温水洗浄便座、セキュリティ、駐車場など)

空室リスクが低い物件を選ぶことで、計算上の利回りに近い実績値を確保できるでしょう。

3-3. 家賃には下落リスクがある

築年数が増すにつれて、物件の価値は下がる傾向にあります。
築年数の経過に伴い、いずれ入居者を確保するために家賃を引き下げる必要が生じる時期が来るでしょう。
当初の計画が甘いと、想定の利回りを維持できなくなる可能性があります。

また、同じエリア内に新築物件が建設されると、既存物件の需要減少が考えられます。
こうした状況へ対応するには、定期的なリフォームや設備更新により物件の価値を維持することが重要です。

また、家賃下落を見込んだ長期的な収支計画の作成によって、将来的な利回りの変動に備えることができます。

3-4. 金利上昇を考慮する

購入時にローンを利用する場合、ローン金利の上昇リスクを忘れてはいけません。
2025年1月に日銀が金融政策決定会合で政策金利を0.5%に引き上げたように、今後も金利上昇の可能性があることを想定しておくべきでしょう。

ローン金利が上昇すると毎月のローン返済額が増加し、手取りが減少します。
変動金利で借り入れしている場合、将来のローン金利上昇で当初想定していた手取りが大きく減ってしまう可能性があります。

金利上昇リスクに備えるには、金利上昇を考慮した事業計画を立てることが重要です。
余裕を持った返済計画や繰り上げ返済の検討など、金利上昇に対応できる準備をしておくことでリスクを軽減できます。

出典:日本銀行|金融市場調節方針の変更について

4. 利回りを正しく見極めて安定したアパート・マンション経営を実現しよう


アパート・マンション経営を成功させるには、利回りの正しい理解と評価が欠かせません。
利回りには満室想定表面利回りや空室考慮後の表面利回り、物件購入時の諸費用や年間の運用経費を考慮した実質利回りなどの種類があり、それぞれの意味や計算方法を把握することが重要です。


満室想定表面利回りは物件選びの目安としては便利ですが、実際の経営判断では実質利回りを重視しましょう。
高い表面利回りだけに惑わされず、物件の立地や築年数、将来性などを総合的に検討することが大切です。


またアパート・マンション経営では空室リスクや家賃下落リスク、金利上昇リスクなど、さまざまな要因により利回りが変動します。これらのリスクを事前に把握し、長期的な視点で事業計画を立てることで安定した収益を確保できます。

■監修者プロフィール

株式会社アース・リーグ代表取締役
森田一成

15年間の住宅・不動産専門新聞社の経験、不動産投資セミナーの企画・運営、不動産団体広報誌の企画・取材・原稿執筆などを経て、Webメディア制作・編集、不動産関連のセミナー企画などを行っている株式会社アース・リーグを設立し代表を務める。 

 

【保有資格】宅地建物取引士