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マンション経営にかかる初期費用の相場は?内訳や費用を抑えるコツ

公開日: 2025.03.27

最終更新日: 2025.03.27

土地活用でマンション経営を始めるには、初期費用の把握が重要です。
特に、物件を取得する方法によって必要な費用が大きく異なります。

例えば、自身の土地にマンションを建てる場合、建設費用や設計費用また税金や融資関連費用がかかります。
また、既存のマンションを一棟、もしくは部屋の一部を購入する場合は、土地代含めた物件購入費用に加え同じく税金や融資関連費用が発生します。

これらの初期費用の相場を把握し、適切な資金計画を立てることが成功の鍵です。

この記事では、土地活用、税金対策、マンション経営に興味がある方に向けて、マンション経営の初期費用について解説します。
特に、自身の土地にマンションを建設するケースに焦点を当て、必要な初期費用の内訳やコスト削減方法をまとめました。最後までぜひチェックしてください。

1. 【一棟経営の場合】マンション経営に必要な初期費用の主な内訳


マンション経営における初期費用は、建設の規模や立地によって異なります。
また、既存建物の解体費用や外構工事費用などが追加でかかることもあります。


しっかりと見積もりを立て、適切な資金計画を行うことが、賃貸経営や不動産投資を成功に導くための第一歩です。

1-1. 建築費用

マンションの建設に直接かかる費用です。本体工事費(構造体の建設) 、附帯工事費(外構や設備工事など)、外構工事費、解体費用が含まれ、建物の規模や構造によって異なります。

・本体工事費
建物本体の工事費です。構造や規模に応じて、工事費が変動します。
大規模な建物であれば、工事費も高額になり、ローン返済額や資金繰りにも影響を与える可能性があります。
一般的には木造が最も安く、規模が大きくなるほど鉄骨造・鉄筋コンクリート造と重厚な構造になり、本体工事費が高額になるので注意が必要です。

どのような建物を設計するかも重要です。
雁行設計(がんこうせっけい)と呼ばれる階層ごとに段々に住戸を配置する設計や、ペンシルビルと呼ばれる狭い土地に細長い中層建築物を建てるような設計は、施工難易度が上がるため工事費も高額になります。


いずれにしても早期に建築プランを決定し、土地や得たい収入に応じた建物規模・構造を決定することが大切です。

・建物附帯工事費
杭工事や地盤改良を行う工事費など、本体工事に附帯して発生する工事です。
地盤調査や杭工事、地盤改良が必要な場合、追加費用が発生します。


例えば地盤が軟弱な場合や汚染が発見された場合、改良するために想定外の費用が発生する可能性があります。
対象の土地がどのように造成されたのか、以前どのような用途で利用されていたかなどをあらかじめ確認しておくのがよいでしょう。

特に不動産投資ローンを組む場合、この費用を見落とさないように注意が必要です。

・外構工事費
塀や庭、駐車場、植栽、敷地内の歩道など、建物本体工事で行わない、外回りの工事費のことです。
屋外照明・排水設備などの取り付け費用も含まれます。

もしマンションの共用部として、屋外に遊具やベンチなどを整備する場合には、これらの共用部分の整備費用も含まれます。

・解体費用
土地に既存の建物が建っている場合、解体費用が発生します。
解体費用には撤去や廃棄物の処理費用が含まれ、特に古い建物の場合は追加費用がかかることも少なくありません。
また、古い建物でなおかつ有害物質であるアスベストが使われていた場合は特別な処理が必要なことから、追加費用が発生します。

1-2. 設計費用

建築設計を行うための費用です。建物設計を担当する設計事務所への報酬が含まれます。
設計プランを早期に決定し、土地活用の目的に合わせた間取りを選ぶことが大切です。

1-3. 登記費用

不動産の登記にかかる費用で、登録免許税(※)や司法書士への報酬が含まれます。
マンション経営においては、以下の場合に登記申請の必要があります。

・マンションを新築する場合:建物の所有権の保存登記

・土地を購入する場合:土地の所有権移転登記
・既に建っているマンションを購入する場合:建物の所有権移転登記
・ローンを組む場合:抵当権設定登記

登録免許税は取り引きされる物件の価格に応じて変わるため、事前に見積もっておくのがよいでしょう。
※:登録免許税:所有権保存登記や抵当権設定登記にかかる費用。固定資産税評価額にもとづき計算される。

1-4. 融資関連費用

銀行から融資を受ける際に、銀行に対して融資手数料や保証料を支払う必要があります。
一般的には融資額の1〜2%程度を目安とされますが、金融機関により異なるため事前確認しておきましょう。
月々のローン返済額や利回りにどのように影響するか計算しておくことが重要です。

1-5. 保険料

火災保険や地震保険など、建物完成後の保険料も初期費用として見込んでおきましょう。
一般的に、どちらも1~5年の契約期間があり、長期間の契約にするほど保険料が割安になるケースが多くあります。
そのことから、初期費用として5年分の保険料を見込んでおくのが一般的です。


保険料は物件の価値や地域によって異なります。 物件に応じた保険を選び、災害リスクに備えることが必要です。

1-6. 税金関連費用

不動産取得税や印紙税などが発生します。(登録免許税は上記の登記費用部分に記載)
税率や軽減措置については、事前に確認しておくとよいでしょう。


・不動産取得税:建物部分の固定資産税評価額に対し、原則4%課税。軽減措置が適用される場合もあります。
・印紙税:契約書に貼付する収入印紙の代金。取引金額により金額は異なる。軽減措置が適用される場合もありあす。

1-7. その他の諸費用

その他かかる費用として、測量費や建築確認申請費用、工事中の管理費用などが挙げられます。
入居者募集に関する費用として、不動産仲介業者への報酬(家賃の1か月分が相場)や広告費も必要となります。


なお、区分マンションの1室を購入するだけという場合、物件の建設にかかる費用(本体工事費、外構工事費や建物附帯工事費など)はすべて込みの価格設定をされているため、別途見込む必要はありません。
融資にかかる手数料や登記費用、税金などは別途発生するため見込んでおきましょう。

2. マンション経営に必要な初期費用を抑えるコツ


マンション経営の初期費用を抑えるためには、建築費用を見直すことや、適切な業者選定が重要です。
初期費用を抑えるコツを見ていきましょう。

2-1. 建物の仕様を見直す

過剰な設備やデザインにこだわらず、入居者にとって必要十分な設備を選ぶことで、コストを削減できます。

例えば、事業用の賃貸マンションでは、高級な内装材や設備を選ぶのではなく、耐久性や機能性、そしてコストを重視することが大切です。


また、構造や形状はなるべくシンプルにすることで、初期投資額を抑えられます。
建築面積や階数など、調整することでコストを浮かせられるところはないのか、設計・施工を行う会社と相談し工事費を最適化しましょう。

2-2. 建築会社の選定を慎重に行う

複数の建築会社に見積もりを依頼し、比較検討することで、適正価格を把握することができます。
相見積もりを取る際に重要なのが、詳細な内訳を確認することです。

各社に依頼し、可能な限り各項目をそろえてもらうようにしましょう(「仮設工事」「給排水設備工事」などの項目)。
こうすることで工事内容ごとに比較でき、より適正価格を見極めることが可能です。


なお、施工品質や性能の違いは見積書だけでは分からないため、金額だけで選ばないよう注意しましょう。
また、設計から建築まで一貫して行う会社を選ぶことで、管理費用や事務手数料を削減し、全体の費用を抑えられるケースもあります。
このような発注方式を「設計施工一括発注方式」と呼びます。

2-3. 補助金や助成金制度を活用する

自治体や国の補助金、税制上の軽減措置を活用することで、初期費用を大幅に削減できる可能性があります。
これらの補助金は自治体によって異なり、設計費や施工費、解体費などの一定割合を補助する制度などが挙げられます。

こういった制度がないか、対象土地がある自治体に確認し、活用しましょう。

2-4.諸手続きにかかる費用を見直す

不動産建築・購入にかかる諸手続きのうち、司法書士の報酬は事務所によって異なります。
あらかじめ複数の事務所に相談し、相場を把握するのがよいでしょう。

また、簡単な手続きであれば自分で行うのも選択肢の1つです。


その他、失敗しないマンション経営のポイントについては以下の記事で詳しく説明しています。
ぜひチェックしてみてください。

関連記事:失敗しないマンション経営のポイントとは

3. マンション経営の初期費用は事前にチェックしておこう


今回は、マンション経営の初期費用について説明しました。
賃貸住宅のなかでも、マンション経営にかかる初期費用は多岐にわたります。
これらの費用を抑えるためには、建築プランの仕様見直しや業者選定、そして補助金の活用が鍵となります。

特に、土地活用や税金対策を意識した資金計画が重要です。
収益性やキャッシュフローに与える影響を事前に計算し、慎重な費用管理と初期投資することが重要です。
しかし、こういった計画を一人で立てるのは難しいものです。


そこで、土地活用の実績が豊富な不動産会社にサポートしてもらうことをおすすめします。マンション建築後も安定して経営を続けるためにも、プロの助けを借りるようにしましょう。

■監修者プロフィール

有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者