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アパート経営における立地条件の重要性

公開日: 2024.12.19

最終更新日: 2024.12.19

アパート経営の成否を分ける重要なポイントの1つが「立地」です。
立地条件によって入居ターゲットや間取り、家賃設定、効果的な専用機能の選定など、アパート経営を成功するために求められる項目は異なります。そのため、アパートの立地を分析することが成功への最初の一歩といっても過言ではないでしょう。

さらに相続した土地活用を検討する際においても、立地はアパートの賃貸経営と駐車場などの他の活用方法を検討する有効な判断材料になるでしょう。
そこで今回は、アパート経営における立地条件の重要性とアパートに適した立地条件の特徴などについて解説します。

目次

1. アパート経営において立地条件が重要な理由

1-1. 立地条件の変化が難しい理由

1-2. 土地の将来的な資産価値の向上

2. アパート経営に適した立地条件の特徴

2-1. 交通の便が良い

2-2. 周辺施設が充実している

2-3. 人口が増加傾向にある

2-4. 治安が良い

2-5. 競合アパートが少ない

3. アパートの建設が難しい立地

3-1. 公法上の規制によって建設ができないケース

3-2. 敷地の条件によって建設ができないケース

4. アパート経営において立地条件が好ましくない土地でできる対策

4-1. 特定のニーズに合わせた物件をつくる

4-2. 家賃を調整する

4-3. 付加価値を付ける

4-4. 広告を強化する

4-5. アパートの買い替えを行う

5. アパート経営の立地は専門家への相談が大切

1. アパート経営において立地条件が重要な理由


アパート経営において立地条件が重要なのは
「立地は後で変えられない」ことが、大きな理由です。

一見、当たり前のように考えられがちですが、賃料はもちろん、部屋数や間取り、管理方法、内装デザインなど利回りや空室リスクといった経営に影響する項目の多くは、手間やコストを度外視すれば建築後も基本的には変更可能です。

一方、立地条件が変化する可能性としては、大規模な都市開発など周辺の環境の変化などに限られます。
そのため、「そもそもアパート経営に向いている立地なのか」「より収益を上げやすいアパート経営を実現できるか」を判断する際に、立地条件が非常に重要とされているのです。

また、土地の周辺環境によって「好立地」となる土地活用方法も異なります。立地に合わせた間取りや部屋数でアパートを建築し、家賃や管理費などを最適かつ柔軟に設定することができれば、土地の将来的な資産価値の向上にもつながり、安定したアパート経営の実現につなげられます。

逆にアパート経営には不適だったとしても、駐車場経営には適している可能性もあり、立地条件は幅広い土地活用における大きな指針となるのです。

2. アパート経営に適した立地条件の特徴


幅広い入居者の属性に対して
好立地となる5つの項目を紹介します。

基本的には各項目が優れており、細かなターゲットに対して適切にアプローチしたアパート経営を実施できれば、空室リスクが少なく、利回りのよい安定的な経営を実現しやすくなるでしょう。

2-1. 交通の便が良い

公共交通機関を利用しやすい土地は、多くのアパートにおいて「立地がよい」といえるでしょう。
都心であれば基本的に最寄り駅やバス停までは近いほど利便性が高くなりますが、地方など車での移動が中心の地域の場合は主要道路までの距離も立地条件の1つになります。

通勤、通学などは幅広いライフステージに関わる項目であるため、利便性の高いアパートであれば進学や就職、異動といった生活環境の変化にも対応しやすく、長期的な入居者の確保にも期待できます。

2-2. 周辺施設が充実している

生活拠点となるアパートの周辺施設の充実は、入居者に「利便性が高い物件」とアピールしやすいです。
周辺施設が好条件の例としては、スーパー、コンビニ、飲食店、病院、学校、保育施設などが挙げられます。
すべての施設が揃っていることは稀ですが「単身者にはコンビニ」「ファミリー層はスーパーや学校」といった周辺地域ならではの入居者のニーズに合致した施設があれば、アパートの価値をより高められるでしょう。

2-3. 人口が増加傾向にある

アパートがある地域の人口推移も重要なポイントで、特に増加傾向にある地域の土地はアパート経営に適している可能性が高いです。
人口が減少している地域と増加している地域を比べると、現在はもちろん、将来的な賃貸住宅の需要は大きな差が生じることは明白であり、長期的な空室リスクにも直結するでしょう。

少子化が著しい昨今、人口が増加している地域の土地を探すのは決して簡単なことではありません。
とはいえ、新興住宅地や再開発エリアはもちろん、大学のキャンパス移転、大規模な企業(工場)などの都市計画が具体的に動いている地域は、将来的に人口が増加する可能性があります。

人口統計と将来的な予測は厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が発表している「日本の地域別将来推計人口」などで確認できます。
都市計画などの取り組みについても、各自治体の広報誌やホームページなどで確認できるのでぜひチェックしてみてください。

【参考】「将来推計人口・世帯数」(国立社会保障・人口問題研究所)

2-4. 治安が良い

入居者に豊かで安全な生活を提供するためには、周辺地域の治安の良し悪しも欠かせない条件の1つです。
特にファミリー層や女性入居者においては重要であり、犯罪や交通事故などが少なく、警察署や交番が付近にあればより「治安がよい」と考えられるケースが多いです。
また、災害が多い日本においては津波や河川の氾濫、地盤の状況といった防災面も確認しておいて損はありません。
これらの安全性が優れている場合は入居後もトラブルなく暮らしやすく、長期的な収益を確保しやすいでしょう。

周辺地域の犯罪については警視庁・自治体が発表する「犯罪情報マップ」、交通事故は「交通事故情報マップ」、自然災害のリスクにおいては国土交通省の「国土交通省ハザードマップ」などを活用すれば、すぐに確認できます。また、治安の良し悪しをチェックするために実際にその土地に赴き、昼夜それぞれで歩いて空気感を肌で確かめる方もいます。

2-5. 競合アパートが少ない

土地の付近に競合アパートが少なければ、自身の物件が選ばれる確率が向上し、空室率を低減できる可能性が高まります。

ただし、交通至便で人口が増加中、さらに治安もよいといった他の立地条件が優れていて、さらに競合アパートも少ないといった土地を探すのは、昨今ではかなり大変です。

その一方、「周辺に新築アパートが少ない」「ファミリー層向けの物件が少ない」といったようにさらにターゲットなどを絞り込むことで、その地域の需要を確保しつつ競合の少ないアパートの条件や特徴を見つけられる可能性は十分にあるでしょう。

3. アパートの建設が難しい立地


立地条件は利回りや空室率などへの影響だけでなく、法制度や現実的な経営という視点においてアパート建設そのものが困難なケースもあります。

その具体的な例について解説します。

3-1. 公法上の規制によって建設ができないケース

アパートの建設に関連する法規制としては、計画的な市街地開発・施設整備の基本的のあり方を定める「都市計画法」と、各建物の敷地・構造・設備・用途などのルールである「建築基準法」が挙げられます。

このうち都市計画法では、国内にあるすべての土地を都市計画区域と都市計画区域外に二分されています。
「都市計画区域外」には原則、アパート・マンションは建設できません。さらに都市計画区の市街化区域、市街化調整区域、非線引区域のうち「市街化調整区域」では、アパート・マンションの建設が認められていません。さらに13に区分されている市街化区域の用途地域のうち「工業専用地域」も建設できないことも覚えておきましょう。

また、建築基準法については、建ぺい率や容積率のほか、防火・準防火地域、土地に面している道路などの最低限のルールが定められており、その基準を満たさない土地でアパートを建設することは原則できません。

3-2. 敷地の条件によって建設ができないケース

公法上は建設できるとしても、現実的な問題としてアパート経営が不向きなケースも少なくありません。

例えば、傾斜地や地盤が悪く造成が必要な土地や、細かく分割された土地や形状の土地(不整形地)などは、立地条件が悪いといえます。
これらの土地は基礎工事などのイニシャルコストが増大するので初期投資費用が増大し、結果的に費用対効果が悪化するので、アパート経営に不向きとされるケースがあるのです。
アパート建築においても道路の幅は重要なポイントであり、隣接する道路が幅員極小の場合は重機などが使えず、工期の延伸や工賃の増加といったリスクが増大します。

4. アパート経営において立地条件が好ましくない土地でできる対策


ここまで「アパート経営において立地が特に重要」と解説してきましたが、立地条件がよいとはいえない土地も、絶対にアパート経営ができないというわけではありません

特に相続など土地を事前に選ぶのが難しいケースの場合は、しっかりと注意点を把握して収支計画・事業計画を練って実行することで、立地条件のマイナスポイントを減らすこともできます。

その代表的な対策を解説します。

4-1. 特定のニーズに合わせた物件をつくる

立地よりも優先度の高い項目を持つ特定のターゲット層に「魅力的」とアピールできる物件を作ることで、立地条件の不利をカバーできる場合があります。

具体例としては、ペットの同伴可物件、シェアハウスとしての利用を前提した物件などが挙げられます。
そのほか、駅から遠い土地であれば世帯当たりの駐車場を二台分用意して、車生活の利便性を向上させることも有効です。

4-2. 家賃を調整する

立地条件がよくない分を家賃設定に反映させ、相場よりも低い料金に設定することで賃貸ニーズを喚起させることもできます。

ただし、家賃が低すぎると収益が減り、継続的な経営が困難になるでしょう。家賃収入の下げ幅は事前にしっかりと収支計画を用意して、建築費用や管理費用、修繕費、自己資金、減価償却費などイニシャルコスト・ランニングコストを含むお金回りについて綿密にシミュレーションする必要があります。

4-3. 付加価値を付ける

インターネット無料や防音設備、充実した共用スペースなどの立地条件以外の付加価値を高めることも、不利な立地条件を挽回する手段の1つです。

ZEH設備付き賃貸マンション防災型賃貸マンションなど、特に付加価値に重きを置いた物件のことを「専用機付き物件」ともいい、物件の差別化を図る有効的な方法です。

ただし、一定のニーズに特化した物件は供給過剰になるリスクや、目算が外れた際の軌道修正が難しくなる傾向があるため、どの程度付加価値を加えるかは熟慮する必要があるでしょう。

4-4. 広告を強化する

広告を強化してより広範囲のターゲット層に物件の魅力を伝えることができれば、入居者を獲得できる可能性が高まります。
その際は立地よりもよい条件を押し出し、インターネット広告やSNS、地元のフリーペーパーなどの幅広い媒体のなかで、特にターゲット層に周知できるものを選ぶなど広告展開を工夫する必要があります。

アパートの周辺の地元密着業者を頼るのはもちろん、多様な集客チャネルを持っていたり、全国規模で入居者を獲得する手段を多く持つ業者に力を借りるのも有効な手段です。

4-5. アパートの買い替えを行う

保有しているアパートや土地の立地条件が悪い場合、売却し、より立地条件の良い別の土地でアパートを経営する「買い替え」も検討する価値があるでしょう。
相続した古いアパートであれば「特定事業用資産の買換え特例」を活用することで、譲渡利益の80%の課税を繰り延べられるケースもあります。
現在の収益が厳しいアパートはもちろん、将来の周辺環境の変化を見越して都市部などの収益が確保できる立地への買い替えを選択するオーナーの方もいます。

5. アパート経営の立地は専門家への相談が大切


アパート経営における立地の重要性について解説しました。

変えることができない立地条件については、アパートを建設する前の現状把握や市場調査が必要不可欠です。

ある程度の情報粒度であれば、オーナー様ご自身でもリサーチすることは可能ですが、それでも大きな手間とコストがかかってしまう可能性が大きいです。
そのため、アパート経営を検討する際は専門家に相談することをおすすめします。その際は大東建託のような土地活用の実績が豊富な専門家にぜひご相談ください。

■監修者プロフィール

有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者