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アパート経営のメンテナンスはなぜ重要?必要なメンテナンスの種類

公開日: 2024.03.25

最終更新日: 2024.03.25

アパート経営において設備点検、修繕や清掃などのメンテナンスは欠かせない要素です。

建物は築年数が経過すれば劣化が進行しますが、定期的なメンテナンスを施すことで、寿命を延ばし、資産価値を維持できるためです。

また、メンテナンスが行き届いていないと、入居者の満足度が下がり、空室率の増加や家賃の下落につながる可能性もあります。

そこで本記事では、アパート経営におけるメンテナンスの重要性、必要なメンテナンスの種類について解説します。

1.アパート経営におけるメンテナンスの重要性

アパート経営におけるメンテナンスとは、建物の美観と機能を維持するために必要な定期点検や修繕、清掃などの作業を指します。
ではなぜアパート経営でメンテナンスは重要なのか、またメンテナンスを怠るとどうなるのかについて解説します。

 

1-1.なぜアパートのメンテナンスは重要なのか


アパートのメンテナンスは入居者の満足度に影響します。

共用部分などが常にきれいな状態に保たれていれば、入居者も安心しやすく、満足度の高い生活を維持できるためです。

入居希望で内見に来た人は、部屋の中だけでなく共用部の様子もチェックしているので、定期的なメンテナンスが行われていれば印象が良くなり、入居率向上や空室対策にもつながるでしょう。

また、メンテナンスは修繕コストの削減にもつながります。

設備の故障や破損が発覚してから行う修繕は、場合によっては費用が高額になることもあるためです。

メンテナンス費用はかかりますが、定期的なメンテナンスを実施して、設備の不具合や故障を早期発見し、適切なタイミングで修繕したほうが結果的に少ないコストで済む可能性が高いでしょう。

 

1-2.アパートのメンテナンスを怠るとどうなるか


アパートのメンテナンスを怠ると、建物の美観が損なわれ、入居者からの印象が悪くなります。

入居希望者の集まりやすさにも影響するので、賃貸経営の収支悪化を招く可能性もあるでしょう。

また、メンテナンスは経年劣化を防止する効果もあるので、怠っていると建物の老朽化が早く進行し、雨漏りやシロアリの発生など、入居者の生活に支障をきたす事態を招くおそれがあります。

さらに必要なメンテナンスを怠ることで設備の損壊や故障を招き、最悪の場合はその損壊や故障が人命にかかわる事故につながるかもしれません。

設備が大きく劣化してから修繕を実施するとかえってコストが高額になってしまうこともあるので、計画的に修繕するほうが負担を抑えられるでしょう。

2.アパートのメンテナンスの種類

アパートのメンテナンスにはどんな種類があるのか解説します。

 

2-1.共有スペースの清掃


清掃はアパートにおけるメンテナンスの基本です。

アパートにおける清掃の範囲は、主に廊下や階段、ゴミ置き場、駐輪場、外構などの共有スペースが該当します。

清掃は比較的こまめに実施するメンテナンスなので、長期間怠っていると回復が難しくなります。

建物の周辺や共用部がきれいに清掃されていると、入居者の満足度が上がりやすいメリットがあります。

一方、共用部が汚いままになっていると嫌な気持ちになる入居者が増えるほか、いわゆる「窓割れ理論」により、清掃に対する住民全体の意識が低くなりやすい傾向にあります。窓割れ理論とは「1枚の割られた窓ガラスを放置していると、割られる窓ガラスが増え、いずれ街全体が荒廃する」という考え方です。

はじめは一部だけだった共有スペースの乱れも、放置すれば徐々に乱れている範囲が広まっていくおそれがあります。

共用スペースは入居者全員が使う場所です。
ここの印象が悪くなると入居者の退去が増え、結果次の入居者も決まらずに空室率が上昇、家賃収入の低下を招くリスクがあります。

 

2-2.予防保全


予防保全とは老朽化による損壊や劣化を未然に防ぐために行うメンテナンスです。

たとえばシロアリの駆除、外壁調査、排水管の高圧洗浄などがあげられます。

予防保全をこまめに行えば、建物の劣化、設備の故障や不具合などを防止できます。

突発的なトラブルや高額な修繕を抑えることにもつながるため、結果的にコストの抑制にもつながるでしょう。

実施の頻度は物件の立地や築年数、状態などによってさまざまなので、専門業者のアドバイスを受けながら、計画的に行うことをおすすめします。

 

2-3.設備修繕


設備修繕とは生活に必要な設備機器の修繕のことです。

キッチンやトイレ、洗面台、浴槽などの水回り、エアコンや給湯器などの設備の修理・交換などが該当します。

設備の種類によりますが、賃貸住宅の室内設備は数年から数十年単位で交換するものが多い傾向があります。

具体的な室内設備の耐用年数や交換推奨時期を知りたければ、賃貸管理会社、設備の点検業者、メーカーなどへ確認するようにしましょう。

 

2-4.大規模修繕


大規模修繕とは、10年~30年ごとに行う大がかりな修繕のことです。

こまめな実施が難しい修繕やメンテナンスを中心に行います。

大規模修繕工事の項目としては、屋上の防水工事、外壁塗装・修繕、給排水管の更新工事などがあります。

工事内容によっては高額な出費になるため、修繕積立金を計画的に確保しておくことが大切です。

 

2-5.原状回復


原状回復とは入居者が退去したタイミングで行うメンテナンスです。

ハウスクリーニング、壁紙の張り替え、カーペットの補修、トイレや風呂場、台所の殺菌消毒などを行って、入居者が住む前の状態に戻します。

賃貸物件における退去時の原状回復は、オーナーが費用を負担するケースと入居者が費用を負担するケースがあります。

一般的には通常利用や経年劣化による損耗の修繕はオーナー負担ですが、入居者の故意や過失、通常使用では生じない損傷の修繕は、入居者自身の負担です。

ただし、賃貸借契約書上で退去後の原状回復義務に関する特約を設けている場合もあるので、賃貸人・賃借人それぞれの事項に目を通し、オーナーと入居者が対応するケースについて把握しておくことをおすすめします。


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3.アパート経営のメンテナンスで起きがちな失敗例

続いてアパート経営で起きがちな失敗例を2つ紹介します。

 

3-1.想定外の修繕が発生する


修繕はアパート経営におけるメンテナンスの一環ですが、想定外の費用がかかることがあります。

高額な修繕費用がかかれば収益悪化を招き、経営状態が悪くなってしまうリスクがあるため、定期的なメンテナンスを実施して劣化状況を把握し、予防保全に努めることが大切です。

 

3-2.規模の大きい修繕のみを重視している


メンテナンスにもさまざまな種類があります。

コストもかかりますので、細かな部分のメンテナンスをおろそかにし、規模の大きい修繕のみを重視してしまう方もいるでしょう。

しかし、大規模な修繕だけでなく、細かなメンテナンスもアパート経営においては欠かせない要素です。

たとえば日常的な清掃を怠り、共有スペースやゴミ置き場などが汚れていれば、入居者に不満を抱かせてしまいます。

こうした事例は即クレームにはならないかもしれませんが、知らず知らずのうちに入居者の不満がたまり、退去を検討する要因になってしまう可能性があります。

4.アパート経営のメンテナンスを上手く進めるためのポイント

アパート経営におけるメンテナンスの重要性は理解できたのではないでしょうか。

最後にメンテナンスを上手く進めるためのポイントを2つ紹介します。

 

4-1.メンテナンスの計画を立てる


建物の状態を維持するためにも、中長期的なメンテナンス計画を立てるようにしましょう。

アパートやマンションなどの不動産経営では、大規模修繕や定期点検などの予定を10年、20年ほどの期間でまとめた長期修繕計画を作成するのが基本なので、管理会社や建設会社と相談しながら進めていきましょう。

前持って計画を立てて定期的にメンテナンスすれば、突発的な修繕発生のリスクを少なくできます。

 

4-2.メンテナンスに備えて積み立てをする


メンテナンスの方法によっては多額の費用が必要になります。

特に大規模修繕は多額の費用がかかるため、よほど資金に余裕のある方でなければ、すぐには用意できないでしょう。

キャッシュフローを健全化するためにも、早い段階で準備を進めておくことが大切です。

 

5.アパート経営のメンテナンスは専門業者へ相談しよう

建物のメンテナンスには手間や費用がかかるため、ついつい先延ばししてしまう賃貸オーナーも少なくありません。

しかし、メンテナンスを怠ると建物の劣化が早まったり、美観が損なわれたり、突発的な修繕が発生したり、さまざまリスクを抱えることになります。

こうしたリスクを防ぐためには、点検や修繕、清掃など細かな作業を日頃からしっかりと行うことが大切です。

ただし、アパート経営に必要なメンテナンスの種類、収支計画の立て方、費用の相場・目安などは経験や知見のある方でなければ判断が難しいでしょう。

もし不明な点があれば、不動産管理会社などの専門業者へ問い合わせ、アドバイスを受けることをおすすめします。

■監修者プロフィール

宅地建物取引士/FP2級
伊野 文明

宅地建物取引士・FP2級の知識を活かし、不動産専門ライターとして活動。賃貸経営・土地活用に関する記事執筆・監修を多数手掛けている。ビル管理会社で長期の勤務経験があるため、建物の設備・清掃に関する知識も豊富。

【保有資格】
・宅地建物取引士
・FP2級
・建築物環境衛生管理技術者