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アパート建築の坪単価は何を示している?価格に影響する要素の例

公開日: 2023.09.25

最終更新日: 2023.12.21

アパート経営、マンション経営などの賃貸経営において、初期費用である建設費用の多寡は実質利回りに影響を与える重要な要素です。そんな建築コストの費用相場を測る指標として、1坪あたりの単価である「坪単価」が用いられます。

今回は、不動産投資の基礎知識として知っておきたい、賃貸アパート・マンション建築の坪単価について説明します。

新築アパートの建築を成功させるために、ぜひチェックしてください。

>>関連記事:「土地活用の方法16選|運用を行うメリットや実際の進め方

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1.坪単価とは

 

住宅工事における坪単価とは、1坪あたりの本体工事費を指す用語です。
建設会社を比較検討する際に用いる便利な指標なため、まずは定義を確認しましょう。

 

1-1.住居の建築費を坪数で割った1坪あたり の金額のこと


坪単価は、延床面積1坪あたりの建築費を指す用語です。

1坪は約3.3平米で、畳にするとおよそ2畳分となります。
1坪あたりにかかった工事費ということで、建物の価格を知る目安として使われます。
規模が異なる建物でも、坪単価という同じ基準を用いることで、どちらのほうが割安かを判断できるでしょう。
そのため、しばしば建築時に施工方法や施工業者を選ぶ際に、指標として用いられます。

1-2.坪単価の求め方の例


「坪単価=本体価格÷延床面積」の計算式で求めることができます。
例えば、延床面積が200坪で価格が概算2億円のアパートの坪単価は100万円ということです。

坪単価と建築予定の建物の延べ床面積をかけ合わせれば、いくらお金が必要かがわかるため、おおよその資金計画を立てる際にも用いることができます。

 

2.アパートの坪単価に影響する要素

 

アパートは、その構造や規模、間取り、設備によって建築価格が異なります。
ここでは坪単価に影響を与える4つの要素について説明していきます。

 

2-1.建てるアパートの構造


坪単価を大きく左右する要素の1つが、構造です。
アパートの構造には主に木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造があり、一般的に同じ規模のアパートなら木造のほうが坪単価は低くなりやすい傾向にあります。
これは、木材が鉄骨や鋼材と比較すると材料費が安い傾向にあるためです。
もちろん、同じ構造でも耐震性や防音性などの性能をどれだけ求めるかで価格は異なります。

以下の表で、一般的な仕様のアパートにおける構造別の坪単価(※)の目安を紹介します。

※解体費や外構工事などを含まない、建物の本体工事の坪単価

 

構造の種類

坪単価の目安

木造アパート

60万円~

鉄骨造アパート

90万円~

鉄筋コンクリート造アパート

90万円~

 

関連記事>>アパート建築は木造と鉄骨造どちらを選ぶ?悩んだときの判断基準

2-2.部屋の間取り


間取りも坪単価に影響する要素です。
一般的に、同じ建物の規模で比較した場合、ワンルームや1Kなど単身者向けの部屋より、ファミリー層向けの間取りのほうが坪単価は安くなる傾向にあります。

この理由は、単身者向けのほうが戸数を多く設けることができる一方、用意する設備も増えるからです。

 

2-3.アパートを建てる場所


アパートを建築する立地も影響します。
全国の中でも、三大都市圏をはじめとする都市部は、設計料や建築費が高騰しやすい傾向があります。

これは、都市部における人件費が高いこと、都市部においてはビルが立ち並ぶ中や通行人員が多い中工事をしなければならない等、施工条件が厳しいことが理由と考えられます。

国土交通省が発表する地域別の建築着工統計調査を参考にすると、2022年の貸家・共同住宅における東京都の平均坪単価は105万円と、全国平均の82万円より高い結果となりました。

また、アパートを建てる土地の周辺環境も影響します。
前面道路が狭かったり、旗竿地だったりすると、工事用の車両が寄り付けず、通常より難しい工法、長い工期が必要となります。

このように、 立地の違いにより、坪単価に影響があることは把握しておきましょう。

 

2-4.建てるアパートの規模


建築プランも坪単価に影響を与える要素です。
2階建てより3階建てと、アパートの階数が増えるほど工事の難易度が上がるため、坪単価も上昇する傾向にあります。

しかし、限られた土地で最大の家賃収入を得るためには、建ぺい率・容積率の範囲内でなるべく規模の大きい建物を建てるというのも取るべき選択肢です。
予想される収入と支出のバランスをよく考え、アパートの規模を決めるようにしましょう。

 

2-5.アパートの内装・設備のグレード


アパートの内装・設備はさまざまです。
クロスや床板などの内装にどれだけデザイン性を持たせるか、電気・ガス・水道設備のグレードをどの程度上げるかで、坪単価は高くなります。

もちろん、初期投資が安いのに越したことはありませんが、水準を下げすぎると入居者が魅力的に感じづらい物件になってしまう可能性があります。周辺の競合物件の内装・設備のグレードを調査し、収益性と魅力の両立を図りましょう。

 

3.坪単価を見てアパート建築を検討する際の注意点

 

これまで、アパート建築における指標として坪単価を説明しました。
しかし、アパートを建てるにはこれ以外にも経費や税金が必要です。

坪単価のみでアパートの建築費の予算取りやローンの融資額を設定すると、資金繰りに失敗する要因にもなります。

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3.相続手続きを期限内に完了させるために大事なこと

3-1.坪単価でわかるのは建物本体の価格


まず、「坪単価=アパートの総工費」ではないことには注意が必要です。
一般的に、坪単価はアパートの本体工事費を指す用語であり、付帯工事費や外構工事、その他の諸費用は含まれていません。

本体工事費以外にかかる費用として、アパートを建てる土地の地盤調査・改良・造成費用や、既存建物がある場合はその解体費用、建物の保存登記にかかる登記費用(司法書士手数料含む)、住宅ローン等を利用する場合は金融機関の事務手数料、取得税・印紙税・登録免許税などの税金、火災保険などの保険料、入居者を集めるための仲介手数料・広告費などが挙げられます。

収支シミュレーションを実施する際は、その他にかかる諸経費をよく確認しましょう。

 

3-2.坪単価の算出の仕方はあいまい


工務店やハウスメーカーなどの建築会社は、坪単価を開示する場合があります。
しかし、どの費用を坪単価に含めるという計算方法は厳密には決まっていないことから、坪単価を用いた単純な比較は簡単ではありません。


中には坪単価を安く見せるため、設備にかかる費用を付帯工事費に含めて設定しているケースもあります。工事業者を比較する際には、坪単価が指す範囲を把握し、正しく見極めましょう。

 

4.アパート建築の坪単価を正しく把握し、信頼のできる業者を見つけよう

今回は、アパート建築における坪単価について説明しました。坪単価はよく用いられる指標ですが、それのみでは費用を正しく把握できません。
そのため、複数の施工会社から見積もりを提案してもらうようにすることをおすすめします。

また、アパートを建築する会社選びにおいては、コストだけでなく、心配事があっても相談できる賃貸経営の実績とノウハウが大切です。主な会社の選び方の判断基準としては、「土地や賃貸ニーズの調査力が高いか」「入居者のニーズに応じて部屋の間取りや建物の設備などを設計施工できるか」「収支計画や事業計画に沿った土地活用を実現できる能力があるか」「アフターサービスは充実しているか」などが挙げられます。

信頼のできる業者を見つけて、アパート経営を成功させましょう。

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■監修者プロフィール

有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者