【目的別】抑えておきたい土地活用の種類とメリット・デメリット
公開日: 2022.10.28
最終更新日: 2023.11.28
公開日:2016.05.27
2016年4月に「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が創設されました。この特例は、相続した空き家を売却した場合、一定条件を満たすと譲渡所得の「3,000万円の特別控除」が適用できるという内容です。
では、自分が相続した実家の空き家の場合はどうなのか?売ったほうがいいのか?と気にされている方もいるかもしれません。他にも、土地活用って良く聞くけど結局どんな方法があるの?と、漠然と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。今回は主な土地活用の種類とそれぞれのメリット・デメリットについて紹介します。
>>関連記事:「土地活用の方法16選|運用を行うメリットや実際の進め方」
1.アパート経営?等価交換?主な土地活用の種類を知る
1-1.土地売却・等価交換
まず「土地を売却する」という方法が挙げられます。「等価交換」もその一つですが、土地を不動産会社に提供し、不動産会社が建物を建設、提供した土地の価値に見合う建物の一部を取得する、という方法です。
具体的には、土地を提供するかわりに不動産会社負担で賃貸アパート・マンションを建築、住居の一部を取得するといった例が挙げられます。
「等価交換」のメリット・デメリットはこちらの記事で詳しく紹介されています。
1-2.土地貸し
「所有している土地のみを貸す」という方法です。土地所有者(賃貸人)は、借地利用者(賃借人)より地代を得ることができます。 貸す用途としては、広さや周辺の環境にもよりますが、戸建住宅用地、集合住宅用地、店舗用地、駐車場用地、資材置き場などがあります。最近では、高齢者住宅用地としての需要もあります。
「土地貸し」のメリットや注意点、又は「借地借家法」に関する情報なら、こちらの記事で詳しく紹介されています。
1-3.賃貸アパート・マンション経営
「土地にアパート・マンションを建設して貸す」という方法です。アパート・マンションを建設した土地所有者(賃貸人)は、入居者(賃借人)より賃料を収入として得ることができます。
広さや周辺の環境によりますが、アパート・マンション経営以外であれば、オフィスビル経営・高齢者住宅経営などのさまざまな用途も考えられます。
2.目的別のおすすめ土地活用法
一度にまとまった現金が必要、今後、固定資産税や都市計画税などの維持費用を一切払いたくない、ということであれば「土地を売却する」という方法も良いでしょう。
「等価交換」であれば、所有している土地の権利を一部手放すことで建設費用を負担することなく建物の一部を区分所有建物として取得する、ということもできます。
しかしながら、いずれにしても、「土地」という先祖から引き継いだ大切な資産を手放すことになります。また、その土地が、未来に亘って生み出すかもしれない収益をも手放したという見方もできます。
長期にわたって収益を得るメリットが欲しい、売却をせずに節税対策をしたいということであれば「土地貸し」や「賃貸アパート・マンション経営」が選択肢になるでしょう。
2-1.手軽に始められる土地貸し
まず「土地貸し」ですが、借り手がつけば、収益が得られるメリットだけでなく、空き地であったなら必要なメンテナンスをしてもらえるといったメリットがあります。また、「土地貸し」には、「建物を建設しない契約」と「建物を建設する契約」があります。
「建物を建設しない契約」であれば、土地の利用方法を簡単に変更できるメリットがありますが、流通性の高い土地と評価され固定資産税などが高めになる、使用用途が限られるので借り手がつきにくい、といったデメリットがあります。
「建物を建設する契約」であれば、固定資産税などが安くなる、借り手が付きやすくなるなどのメリットがありますが、30年以上の長期間にわたって契約解除ができないなどのデメリットもあります。土地の活用方法について、相続の時に揉めそうだというような方は、慎重に判断する必要があるでしょう。
2-2.安定収入が期待でき節税効果が高い賃貸アパート・マンション経営
次に「賃貸アパート・マンション経営」です。建物を建設する初期費用がかかりますが、固定資産税などが安くなることに加えて、賃料収入から実際の支出がない建物の減価償却費を経費として差し引くことができ、所得税の節税になるというメリットもあります。
建物の建築費用を借入で用意する場合も少なくないですが、利子を全額経費にできる点は、自宅の住宅ローン(金額や年数に制限あり)にない節税メリットです。
さらに相続時には、土地は貸家建付地としての評価、建物は貸家としての評価となります。小規模宅地等の特例(自宅用地だけでなくアパート・マンション用地にも適用あり)などを適用して土地の評価額を下げて、相続税の節税になるメリットもあります。
最近は、さまざまな入居者の要望を反映した建物プランを提案したり、 わずらわしい賃貸経営の負担をサブリース制度で軽減したりと、賃貸経営の方法も変わってきています。
2-3.目的別土地活用法の比較
目的 |
土地活用法 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
資金の確保 | 売却 |
資金が確保でき、資産の組み換えができる 固定資産税や都市計画税などの維持費用が無くなる |
土地を手放す必要がある |
長期収益 住居確保 |
等価交換 | 建築費用を負担せず建物・住居を取得できる | |
長期収益 節税対策 |
賃貸アパート・マンション経営 | 賃料収入+所得税・相続税などの節税 |
建物建築費が発生 空室リスクがある |
長期収益 | 土地貸し | 賃料収入 |
収益性が低い 契約によっては転用が困難 |
3.賃貸アパート・マンション経営が今注目されている理由
2015年1月1日から相続税が改定され、基礎控除が5,000万円から3,000万円、法定相続人1人につき1,000万円だった控除額も600万円と4割減少しました。さらに相続税率も最大50%から55%に引き上げられました。 これにより、改正前には課税対象外だった方も相続税の課税対象者となる場合もあります。
また、低金利の状況では、預金だけではほとんど資産が増えず、将来の年金も目減りするばかりで心配...ということで、現金を不動産に換価、賃貸経営で資産運用という手法に関心が寄せられています。なかでも、土地をすでに所有している方には、建物の建築費の負担だけで始められるということで、特に注目されています。
アパートやマンションの建築費用は大きな金額になり、金融機関からの借入を利用する方も多いです。大きな金額が借入できるか不安もあると思いますが、実は、賃貸経営をするにあたっては、その建物の収益力も審査の対象となる為、心配も少なくなるでしょう。そうは言っても、賃貸経営をしたことのない方にとっては、不安なことや分からないことばかり...。
そんな時には、賃貸経営に関する経験と実績、相続や資産承継対策への知識が豊富な専門家(例えば、アパート・マンション建築会社)に相談すると安心です。 専門家であれば、ご自分が所有している土地で収益を得るにはどんな建物が適しているのか、間取りや設備は何が適しているかなど良いアドバイスをしてくれることでしょう。

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