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土地活用における駐輪場経営とは?メリットやデメリット、運営の手順

公開日: 2025.03.29

最終更新日: 2025.03.31

土地を所有したまま活用できていない人は多いのではないでしょうか。土地活用の選択肢として、駐輪場経営は初期投資が少なく、比較的手軽に始められるのではないか、と考えている方もいるのではないでしょうか。しかし、土地の条件や立地によって収益性は大きく変わるため、調査や分析が大切です。

本記事では、駐輪場経営に適した土地の特徴や経営するメリットとデメリット、成功のポイントについて詳しく解説します。
実際に検討から運営までの手順を紹介しているので土地活用でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

目次

1. 駐輪場経営に向いている土地・向いていない土地

1-1. 駐輪場経営に向いている土地

1-2. 駐輪場経営に向いていない土地

2. 土地活用で駐輪場経営行うメリット

2-1. 初期投資が比較的少ない

2-2. 短期間で始められる

2-3. 管理の手間が少ない

2-4. 定期収入が期待できる

2-5. 他の土地活用に転用しやすい

3. 土地活用で駐輪場経営行うデメリットと注意点

3-1. 高い収益は期待しづらい

3-2. 固定資産税の軽減効果は見込めない

3-3. 防犯対策が必要になる場合がある

4. 駐輪場経営を行うまでの流れ

Step1. 経営方式を選択する

Step2. 専門業者に相談する

Step3. 土地の調査や需要を分析する

Step4. 工事契約と管理委託契約を締結する

Step5. 設備や運営の準備を行う

Step6. 駐輪場運営を始める

5. 駐輪場経営で土地活用を成功させるポイント

5-1. 補助金や助成金が活用できないか検討する

5-2. 適切な料金設定を行う

5-3. 信頼できる管理会社を選ぶ

6. 土地活用を考えるなら、駐輪場経営も選択肢の一つにしてみよう

1. 駐輪場経営に向いている土地・向いていない土地


駐輪場経営の成功は、駅からの距離など土地の立地条件が大きく左右します。
ここでは、駐輪場経営に向いている土地と向いていない土地の特徴を詳しく解説します。

1-1. 駐輪場経営に向いている土地

・駅に近い土地

駅周辺は駐輪場経営に最適な立地です。通勤や通学で自転車を利用する人が多く、安定した需要が見込めるでしょう。
また、駅前の放置自転車が問題になっている地域では、自転車を指定場所以外で駐輪禁止とする規制を強化しており、駅前駐輪場の利用ニーズが増しています。

・狭小地や変形地

細長い狭小地や三角形状の土地、変形地などの一般的な不動産活用が難しい土地が駐輪場の設営に向いています。
自転車が停められるスペースがあれば、駐輪場は経営可能です。

・人通りが多いエリア

人通りが多く大通りに面したエリアは、駐輪場経営に向いている土地です。
人通りが多いエリアほど、駐輪場の看板や案内表示が目に留まりやすく、買い物客による時間貸しや従業員の定期利用が安定した収入につながります。

1-2. 駐輪場経営に向いていない土地

・人通りが少ないエリア

人通りが少ない地域は稼働が見込まれないため、駐輪場経営に適していません。
郊外では自動車移動が主流の地域が多く、自転車を利用する人が限られるため、駐輪場の需要自体が少なく収益性は低くなるでしょう。

・アクセスが悪いエリア

道路から見えづらい場所は駐輪場経営を避けたい土地です。
急な坂道や奥まった場所にある駐輪場はアクセスが悪く利用が見込まれません。利便性が低く目的地からのアクセスが悪い駐輪場は敬遠されるでしょう。

・ショッピングモールが近い土地

ショッピングモール付近の土地は駐輪場経営に向いていません。
多くのショッピングモールは自転車で訪れる人も多いですが、無料駐輪場を完備しているため、有料駐輪場の利用は見込まれないでしょう。

2. 土地活用で駐輪場経営行うメリット


土地活用の方法として、駐輪場経営には土地所有者にとって多くのメリットがあります。
ここでは駐輪場経営の5つの主要なメリットの特徴を見ていきましょう。

2-1. 初期投資が比較的少ない

さまざまな土地活用の選択肢の中で、駐輪場経営は初期費用を抑えやすいのが特徴です。
駐輪場の場合は比較的少額で開業できます。
更地では、アスファルト舗装などの基本的な整備に加え、自転車のロック板や精算機といった最小限の設備を設置します。

2-2. 短期間で始められる

駐輪場経営の大きな魅力は、事業を早期に開始できる点です。
大きな建物や複雑な施設を必要としないため、着工から開業までの期間が短くて済みます。
専門業者へ依頼すれば、最短2週間程度で開業できるケースもあり、資金負担を抑えて開業できることは魅力的です。
ただし、立体駐輪場は建物となるため、例外的に時間がかかります

2-3. 管理の手間が少ない

駐輪場経営は管理の手間が少ない事業です。
自転車は自動車と比べて重量が軽いため、駐輪スペースの劣化も遅く、日常的なメンテナンスが簡単で費用を抑えられます。

また、自動精算機を設置すれば無人での運営が可能で人件費を抑えることも可能です。

駐輪場は少ない手間で効率的な運営ができる土地活用方法といえます。

2-4. 定期収入が期待できる

駐輪場経営は、安定した収益が見込める土地活用方法です。
月極契約を中心とした定期利用者から継続的な収入が得られます。

特に駅周辺の立地では、通勤・通学での利用者による長期契約が期待でき、一度契約が決まれば継続利用される可能性も高くなります。

駐輪場経営は定期収入を生み出す、安定性の高い事業といえるでしょう。

2-5. 他の土地活用に転用しやすい

駐輪場経営は将来的な土地活用の選択肢を残しやすい事業です。
大規模な設備投資を必要とせず、土地に大きな変更を加える必要がないためです。

例えば、地価が上がってきた場合や、新しい開発の計画が出てきた場合でも、駐車場や店鋪の建設など違う活用方法に切り替えられます

将来の状況にあわせて転用できる可能性を残しておける点はメリットです。

3. 土地活用で駐輪場経営行うデメリットと注意点


駐輪場経営は手軽に始められる土地活用として注目されていますが、いくつかの注意点があります。
特に重要な3つの注意点について詳しく見ていきましょう。

3-1. 高い収益は期待しづらい

駐輪場経営は、他の土地活用と比べて収益性が低い事業です。
駐輪場の料金は、時間貸しなら1回100円程度、月極契約なら月額数千円程度が一般的な相場だからです。
狭い土地でも効率的なラック配置で多くの台数を置けますが、大きな収入は見込めません。
土地所有者は「遊休地の有効活用」という視点で考えることが賢明です。

3-2. 固定資産税の軽減効果は見込めない

駐輪場経営では、駐輪場が住宅用地としての要件を満たさないため、固定資産税の優遇措置を受けられません
例えば、相続した住宅を解体して駐輪場にする場合は、軽減措置がなくなり、固定資産税が大幅に増えます。
駐輪場経営では税制上のメリットを得られない点を考慮した事業計画の作成が重要です。

3-3. 防犯対策が必要になる場合がある

駐輪場経営は、防犯面での対策が重要な課題となります。
駐輪場は無人運営が多く、不特定多数の人が出入りしやすい場所であるため、目が行き届きにくいトラブルが発生しかねない環境です。

自転車が不法投棄されたり、利用者の自転車が盗難や破損されたりする可能性があり、防犯カメラやセンサーライトの設置などの防犯対策が必要になります。
防犯対策は利用者の安心感につながり、結果的に経営の安定にもつながるでしょう。

4. 駐輪場経営を行うまでの流れ


駐輪場経営を始めるには、いくつかのステップを踏む必要があります。
経営方式の選択から実際の運営開始まで、段階的に準備を進めていくことで、スムーズな立ち上げが可能です。

ここでは、具体的な手順を6つのステップに分けて解説します。

Step1. 経営方式を選択する

駐輪場経営を始める前に、最も重要なのが経営方式の選択です。選び方によって収益性や運営の手間が大きく異なるためです。

下記で3つの経営方式について、それぞれの概要とメリット、デメリットを解説します。

・自己経営方式
土地の所有者自身が駐輪場を設置し、運営や管理まですべて行う方法です。
土地の整地から設備の設置、日常的な管理、料金徴収など経営に関わるすべての業務を自分で担当します。

自己経営は収益性が他と比べ高いものの、多くの時間と労力を費やします。
駐輪場経営を副業として考えている場合は管理負担を考慮した判断が必要です。

メリット

デメリット

収益を全て得られる

管理の手間が大きい

自由に経営方針を決められる

休日や夜間関係なくトラブル対応をすべて自分で行う

柔軟な料金設定が可能

設備投資の費用を全額負担する



・管理委託方式

駐輪場事業者に駐輪場の管理・運営を委託し、土地の所有者が経営者として収益を得る方法です。駐輪場事業者が委託管理会社となり、運営管理を担当します。土地の所有者は経営者の業務に専念できます。

メリット

デメリット

管理の手間がない

管理委託費用が毎月発生

経営の主導権(料金の値上げや設備更新といった駐輪場経営にかかる方針の決定権)を保てる

設備の設置費用を負担

トラブル対応を管理会社に任せられる

管理会社の対応品質により、収益や運営状況が左右される


収益と手間のバランスが取れた経営方式です。
ただし、管理委託費が毎月の経費として収入から差し引かれるため、駐輪場の利用状況が悪ければ収益は減っていきます。
副業として駐輪場経営をするには最適な方法です。

・一括借り上げ方式

土地と設備を一括して駐輪場事業者に貸し出し、安定した賃料収入を得る方法です。駐輪場経営に関わるすべての業務を駐輪場事業者が行い、土地の所有者は一定額の賃料を受け取ります。

メリット

デメリット

管理の手間がない

利用率が上がっても収入は変わらない

安定した固定収入が得られる

経営の主導権なし(運営を任しているため料金の変更や設備導入などの可否を決定できない

 

リスクが最も少ない

賃料の値上げが難しい


自身の負担を極力減らし、安定収入を得たい方には適した方式です。
駐輪場の稼働状況によって駐輪場事業者の収益は変化しますが、賃料収入は変化しないため収入を維持できます。

以下、管理委託方式を選択して開業するまでの流れを解説します。

Step2. 専門業者に相談する

まずは土地の適性や収益見込みを客観的に判断するため、複数の事業者に相談します。
具体的な運営プランや必要な投資額についてプロの目線からの意見を参考に、実現可能な計画を立てることが重要です。

Step3. 土地の調査や需要を分析する

専門家と共に周辺の駐輪場ニーズや競合状況を調査し、適切な大きさや料金設定を検討します。
人口動態や地域開発計画なども考慮に入れ、長期的な視点の分析が大切です。

調査や分析は将来の収益を左右するため、検討エリアの不動産状況に詳しいプロに相談すると良いでしょう。

Step4. 工事契約と管理委託契約を締結する

パートナーとなる企業を決めて事業計画が固まったら、工事契約と管理委託契約の契約手続きに入ります。
契約内容は細かく確認し、不明点があれば必ず質問してお互いの認識をすり合わせしましょう。

しっかりとした契約関係が、お互いの信頼関係につながり、安定経営の土台となります。

Step5. 設備や運営の準備を行う

整備工事は通常1ヶ月程度で完了し、その間に委託会社と運営方法の詳細を詰めます。
料金体系の決定や利用規約の確認、精算システムの設定など、開業に必要な準備を委託会社と進めていきます。
スムーズな準備により、早期の収益化が見込まれるでしょう。

Step6. 駐輪場運営を始める

開業後は利用者の認知度を高める必要があるため、積極的な集客活動が重要です。

チラシやネット広告を活用し、地域への周知を図ります。
継続的な営業活動が徐々に利用者を増やし、安定した経営につながっていくでしょう。

5. 駐輪場経営で土地活用を成功させるポイント


駐輪場経営を成功に導くためには、いくつかの重要なポイントがあります。
ここでは、駐輪場経営を長期的に安定させるために必要な3つの成功させるポイントを解説していきます。

5-1. 補助金や助成金が活用できないか検討する

駐輪場の開業時には、国や自治体の補助金や助成金を活用することが可能です。
放置自転車対策として、国や自治体が民間の駐輪場設置を推進しているためです。

実際の事例として、埼玉県蕨市では駅周辺で放置自転車対策として民営駐輪場の整備費用を上限500万円まで補助する助成制度を設置しています。
補助金や助成金には、申請期限や土地の条件など細かな要件があることが一般的です。開業の計画段階で自治体に相談し、活用できる制度がないか確認しましょう。
【出典】民営自転車等駐車場設置に対する助成制度について(埼玉県蕨市)

5-2. 適切な料金設定を行う

利用者は料金の安さで駐輪場を選ぶ傾向が強いため、料金設定は駐輪場経営の収益を左右する重要な要素です。
例えば、近隣の駐輪場より若干低めの料金を設定すると利用者を集めやすくなりますが、安価すぎると採算性が低くなりかねません。
周辺相場を考慮し、収益と集客のバランスを取った料金設定が成功につながります。

5-3. 信頼できる管理会社を選ぶ

駐輪場経営が成功できるかどうかは、パートナーとなる管理会社選びにかかっています。管理会社は日常の運営に加え、経営面でのアドバイザー的な役割を担える存在です。

例えば、優良な管理会社は豊富な運営実績を基に、集客方法の提案や効率的な運営のコツを教えてくれます。

管理会社を選ぶ際は、複数の企業への相談がおすすめです。提案内容や対応の丁寧さを比較検討することをおすすめします。信頼できる管理会社を見つけましょう。

6. 土地活用を考えるなら、駐輪場経営も選択肢の一つにしてみよう


駐輪場経営は、比較的少ない初期投資で始められ、管理方法も選べる土地活用の方法です。
しかし、すべての土地が駐輪場経営に適しているわけではありません。

まずは立地条件や周辺環境を十分に調査し、駐輪場の需要があるか調査や分析をしましょう。
その結果をもって、駐車場や賃貸住宅などの活用方法と比較検討することをおすすめします。
土地の特性を活かせる最適な活用方法を見つけることが、安定した収益につながるでしょう。

■監修者プロフィール

株式会社アース・リーグ代表取締役
森田一成

15年間の住宅・不動産専門新聞社の経験、不動産投資セミナーの企画・運営、不動産団体広報誌の企画・取材・原稿執筆などを経て、Webメディア制作・編集、不動産関連のセミナー企画などを行っている株式会社アース・リーグを設立し代表を務める。 

 

【保有資格】宅地建物取引士