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農地転用して土地活用する方法

公開日: 2024.04.16

最終更新日: 2024.04.19

農林水産省の「農林水産基本データ」によると、現在の日本にはおよそ175万世帯の農家がいらっしゃいます。

しかし、一方でこの世帯数は20年前と比べると56%も減少しています。

農地を持っていても、何らかの理由で耕作が厳しく、農地以外に利用する=転用するにしてもどうしよう?と頭を悩ませる方も多いのでしょう。

 

そこで、今回は農地の活用方法を考えている方に向けて、「農地を転用する」という視点からお話しを進めたいと思います。

 

 

1.農地転用とは?


農地転用とは、「農地を農耕以外の使い方に変更すること」を言います。

例えば、農地をマンションやアパート等の敷地として活用したり、駐車場にしたりすることです。

 

立地や広さによっては転用するのに許認可など公的な手続きが必要になりますので、少々手間がかかります。

ただ、農地を利用していなかったり、効率的な利用ができていない場合は、何らかの形で転用することによって、新たな収益源を得られるなどの可能性もあります。

農地が広すぎるなどで耕作範囲にお悩みの方、今後、親御さんが持っている農地を相続する予定がある方にとっては、事前に考えてくべきテーマです。

 

2.農地を転用する理由は?


農地を転用する理由としては以下のようなものをよく聞きます。

 

  • 高齢になって、以前ほど田畑の耕作ができない

  • 耕作していなくても田畑の維持管理が必要かつ大変

  • (農業)後継者がいない

  • 農業では必要な収入が得にくい

  • (特に都心部などでは)住宅化が進み、農業がしづらい

  • 異常気象や獣害により、収入が不安定になった

など

 

また少し古い情報ですが、農林水産省 農村振興局 都市農村交流課の平成24年「都市農業・都市農地に関するアンケート結果」によると、転用理由の1位は「相続税の納付準備のため売却」ともなっています。皆さん、本当に色んな理由で転用を検討されている様子です。

 

農業を一つのビジネスとして考えた場合、労力のわりに十分な収益が得られないなら、農地を別の方法で活用したいと思うのは実に自然なことといえます。

「先祖代々の土地を手放したくない」などの声も少なくありませんが、売却ではなく転用ならば手放すことにはなりません。農地や農業が負担に感じられるならば、少し転用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

2-1.農地転用しやすい土地は?


先ほども少し触れましたが、農地は立地や広さによっては許認可が必要です。
逆にいえば、立地や広さによっては特に許認可は不要で「届出」だけで転用が可能になることもあります。

 

例えば、その農地が「市街化区域内の一般の農地」であるならば、農業委員会に転用の届出を出すだけで、転用が可能です。
市街化区域かどうかを調べるには、行政などのサイトで調べる他、以下のサイトでも調べることができます。

 

MapExpert 用途地域マップ


なお、条例で転用を制限するなど独自の都市計画を作成している一部の自治体もあります。
ですから、たとえ市街化区域内の一般の農地であっても、細かな条件を満たす必要もあるので、公的規制の確認は必要不可欠です。

しかし、それでも人生100年時代&人口減少社会となり、特に都市部の農地については比較的、農地転用しやすいことは確かといえます。

 

転用しやすいことと、その土地がマンションやアパート経営などに向いているかどうかは別物です。
しかし、そもそも法的に転用できない・転用が厳しい農地であれば、転用を検討すること自体が困難であるケースが多いのです。

まずはご自分の関係する農地が転用できるのかどうかを調べてみましょう。

 

2-2.農地転用しずらい土地は?


市街化区域外(市街化調整区域)の場合には、原則的に農地を転用ができなかったり、できるにしても相応の条件を満たしたうえで都道府県知事の許可が必要だったりします。
自分の農地がどうなのか分からない場合は、管轄する農業委員会に確認してみると簡単です。
最終的に転用できるなら幸いですが、できない場合は別の活用方法を模索しましょう。

 

転用できない場合の活用方法としては「(現役の)農家に農地として売る、または貸す」というのが基本です。
また企業や個人に土地を貸す、農地集積バンクや市民農園などを検討する方法もあります。

 

ただ、転用と比べると手段が限られてしまうのが実情です。
それに農地を貸すといっても、安易に口約束で貸したことで(時効取得などで)返ってこなくなったなどのトラブルも珍しくありません。収益性についても、転用と比べると低くもなりがちです(例:水田の賃借料はおおむね10アール=1000≒300坪で年11.5万円程度)。

 

転用ができる場合は、ケースバイケースではありますが、転用を優先して検討することをおすすめします。


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3.農地転用する手順


市街化区域内の農地を転用する場合は、農業委員会に転用の届出を出すだけです。
許可と違い、届出は書類を提出すれば通るのが基本ですから、思ったよりは難しくないでしょう。
ただ、転用後に自分で土地を活用する場合と、売却した第三者が活用する場合で対応が異なるので注意が必要です。

細かな条件がある場合もありますから、自分の場合はどうなるのか? 専門家等に相談しながら、チェックしてみましょう。

 

市街化区域外の場合は、最初の申請先は同じく農業委員会ですが、基本的に都道府県知事の許可(4ヘクタールを超える場合は農林水産大臣との協議)が必要になります。
届出ではなく許可が必要になるので、もし、許可を得られないと、その取引自体がなかったことになってしまいます。

 

具体的に、市街化区域外で許可を得るためには、「立地基準」「一般基準」がポイントです。

 

「立地基準」について...実際の農地は、市街化区域内か市街化区域外かの2種類ではなく、いくつかの区分に分かれます。
その分類によって比較的許可されやすい農地からそうでない農地までさまざまです。

 

具体的には、以下のように区分されています。

 

・農用地区域内農地...農地転用の前に「農振除外」の手続きが必要

・甲種農地    ...原則転用不可・例外アリ

・第1種農地   ...原則転用不可・例外アリ

・第2種農地   ...条件次第で転用可

・第3種農地   ...原則転用可

 

「一般基準」とは、「確実に転用して有効活用できるかどうか」「周辺の農地に害がないかどうか」などが判断基準になります。

 

どちらにしても、手続き自体は要件を確認したうえで農業委員会に(必要書類を準備・添付して)申請するのが出発点です。申請は窓口に行く必要があり、申請した後は相応に時間がかかる(届出でも2週間程度、許可の場合は6週程度)という点には注意しておきましょう。

 

3-1.農地転用のメリット・デメリット


農地転用のメリットは、純粋に「農地を他の用途で使える」点です。
それによってマンション経営などで新たな収益源を確保したり、自分の別荘地などとして使ったりもできます。

今でも相応に農耕をしているならともかく、特に何もしていないのであれば何らかの形で有効活用したほうが良いでしょう。

 

逆に農地転用によるデメリットとして、「固定資産税が上がる」ことが挙げられます。固定資産税は政策的に宅地より農地の固定資産税評価額の方が割安になるようになっています。もちろん、宅地は宅地で住宅用地の特例など、いくつかの軽減措置があるので、最終的な納税額は割安になる可能性もありますが、それでも通常は農地よりは割高になることが多いでしょう。

 

転用する際に費用がかかる点もデメリットといえます。
手続きを行政書士などに依頼すると費用がかかりますし、転用を行う...例えば、マンション建設用地にするのであれば整地する際の費用が必要になるでしょう。

 

代々、農地の相続を続けているご家族では、相続税の農地特例(納税猶予)を受けているでしょうから、転用すると多額の納税額を用意する必要があるので、その点がデメリットになります。
この場合は別途、納税対策も必要になります。

 

農地は一度転用すると、農地に戻すことは極めて困難です。
メリット・デメリットの両面をしっかり考え、頼れる不動産業者にも相談しながら、判断するようにしましょう。

 

4.農地転用での土地活用の方法について


農地転用後の代表的な活用方法としては、以下のようなものが挙げられます。

 

  • マンションやアパートなどの経営

  • 駐車場などの経営

  • 店舗やビルなどの経営

  • 太陽光パネルなどの設置場所

  • 別荘や駐車場、倉庫などでの自己使用

 

自己使用を除いて、いずれも農業とは一切関係がない活用方法です。

 

それだけに、新たな収入源を見込みやすい反面、新たな勉強や資金繰り、経営計画などが必要になります。
また何らかの経営をする場合は、その農地の立地や周辺の需要に合わせた活用をすることが大切です。

 

今まで長く農業だけに励んできた方にとっては、畑違いどころか全然違う行為になりますから、経験がない場合は、転用して活用していくことに不安を抱くこともあるでしょう。

 

できれば転用するか否かの段階から、頼れそうな不動産業者を探して味方に付け、まずは土地診断などから関係を作り、その後も一緒になって事を進めていきましょう。

5.まとめ


何らかの事情で農地の継続に不安がある場合、「農地を転用する」という活用方法が有効な対策の一つです。

簡単に転用できるかどうかは農地の場所次第ですが、最終的に転用できそうなら、新たな収入源の確保に繋がる可能性があります。

そもそも土地の活用自体、簡単に決められることではありませんから、まずは一度、頼れる不動産業者に相談してみてはいかがでしょうか。

■監修者プロフィール

株式会社優益FPオフィス 代表取締役
佐藤 益弘

マイアドバイザー®
Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFP®として活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。
【保有資格】CFP®/FP技能士(1級)/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)