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マンション経営のメリット・デメリットは?経営に向いている人の特徴

公開日: 2024.04.10

最終更新日: 2024.04.10

土地活用や相続対策に関心があるものの、マンション経営のスタートラインに立つことに対する不安や疑問をお持ちの方は少なくありません。
適切な準備や知識がないままでいると、マンション経営における意思決定過程において誤った判断を下す可能性があるため、不安や疑問を解消してから始めることが大切です。

 

明確な定義はないもののここで言う「マンション」とは、複数の住戸を有する集合住宅を指します。

 

この記事では、マンション経営のメリット・デメリット、成功に導くポイントを紐解きます。
経営に向いている人の特徴を探りながら、安定して収益を生み出すための方法を一緒に考えていきましょう。

目次

1. マンションを経営するメリット

1-1.安定した収入源を確保できる

1-2.投資用ローンの借入可能期間を長く設定できる

1-3.資産としての価値が高い

1-4.税金対策としての効果が期待できる

1-5.相続対策ができる

2. マンション経営のデメリット

2-1.すぐに現金化するのが難しい

2-2.投資にかかる金額が高額になる

3. マンション経営を始めるまでの進め方

step1.複数の業者に相談する

step2.市場調査を行う

step3.経営プランを立案する

step4.金融機関に相談する

step5.建設工事に着工する

step6.管理会社を決めて入居者募集を開始する

4. マンション経営が向いている人

4-1.比較的広い土地を所有している

4-2.リスクに備える資金計画を立てられる

4-3.長期的な視点で投資ができる人

5. マンション経営のメリットを活かして賢明な土地活用を検討しよう

1.マンションを経営するメリット

マンション経営を行うメリットはさまざまで多岐にわたりますが、ここでは主な5つを紹介します。

 

1-1.安定した収入源を確保できる


マンション経営は、安定した収入源を提供する魅力的な投資手段の一つです。
この安定性の背景には、入居者から毎月定期的に家賃を集めることができる点が大きく関わっています。

マンションは戸建てやアパートと比較して部屋数を多く持ちやすいため、すべての部屋が埋まることでより大きな収入を見込むことが可能です。

 

さらに、マンション経営の大きな利点として、一時的な空室が生じたとしても、他の部屋からの家賃収入でその影響を補うことができます。これは、慢性的な入居者不足に陥っていない限り、収入の安定性を保ちやすい環境を意味します。

 

1-2.投資用ローンの借入可能期間を長く設定できる


マンション経営を考えた際、資金調達の重要な手段となるのが金融機関を活用した不動産投資ローンです。
マンション建設・購入時には、自己資金だけでは不足するため、このタイプのローンを利用することが一般的です。
投資用ローンを検討する際に木造物件は、マンションよりも借入期間を長く設定できないケースが多い傾向があります。    

 

これは、マンションの耐用年数が木造物件よりも長いと見なされるため、金融機関がより長い期間のローン返済を許容する傾向にあるからです。鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年、鉄骨造は34年、木造は22年と定められており、投資用ローンの借入可能期間を決める際はこの法定耐用年数も考慮されます。

 

長いローン期間は、月々の返済負担を軽減することに繋がり、キャッシュフローを得やすくなります。
このように、マンション経営は投資期間を長く取ることで、より柔軟に資金計画を立て、長期的な収益の安定化を目指すことができるのです。

 

1-3.資産としての価値が高い


マンション経営は、アパートに比べて一般的に建物としての耐久性や設備の質が高い傾向にあり、これらが長期的な賃貸需要を支え、資産価値の維持や向上に寄与すると考えられます。
不動産市場は株や為替と比べて価値の変動が緩やかで、特にマンションは戸建てやアパートなど他の物件に比べて価値が安定する傾向にあります。

 

この安定感は、マンションを投資対象とする際の大きな安心材料となります。
加えて、土地や建物といった実物資産はインフレに強い性質を持っており、生活必需品と同様に価値を保ちやすいのが特徴です。
これは、生活する上で常に必要とされるものが、価値が下がりにくいという経済の原則に基づくものです。

 

したがって、マンション経営は、長期的に見ても価値を保ちやすく、インフレの影響を受けにくい、堅実な資産形成手段と言えるでしょう。

 

1-4.税金対策としての効果が期待できる


マンション経営は、税金対策としても大きなメリットを持っています。
特に、相続税と固定資産税の対策に効果的です。

相続税については、土地にマンションなどの賃貸物件を建てることで、土地の相続税評価額を下げることができます。
これは「貸家建付地評価減」により、土地の評価額が下がるためです。

また、建物についても「借家権割合による評価減」の適用を受け、評価額が下がります。
これは、建物が賃貸されている場合、その賃貸部分に対する所有権が一定の制約を受けるため、建物全体の価値が下がるという原理に基づいています。
つまり、建物の一部または全部が賃貸されている場合、その分だけ建物の評価額から割り引かれるのです。

これらの評価減により、土地や建物の相続税評価額が実質的に下がり、結果として支払う相続税の総額も低減されます。

 

固定資産税は、不動産を保有していることによって毎年発生する税金です。
マンション経営が固定資産税の対策に有効である理由は、建物を建築することで土地の評価額が変動し、結果的に税額が軽減される可能性があるからです。

特に、賃貸用のマンションを建てることにより、固定資産税の評価基準が変わります
貸家としての利用が確認されると、土地だけでなく建物に対しても、評価額が下がることが多く、これによって固定資産税の負担が軽減されます。    

 

1-5.相続対策ができる


相続対策としてマンション経営を考える際、特に注目すべきは「貸家建付地」「小規模宅地等の特例」です。
これらの制度を活用することで、相続税の負担を軽減することが可能となります。

 

貸家建付地とは、賃貸用の建物が建っている土地のことを指します。
相続税を計算する際、この貸家建付地は「貸家建付地評価減」という制度を適用することができ、土地の評価額を減少させることが可能です。

この評価減は、賃貸物件として利用されていることによって、土地の実質的な価値が低下すると考えられるため、相続税の評価額から一定割合を差し引くことができるのです。

 

賃貸物件の建築は土地の利用価値を向上させるものの、借地権の存在によって土地所有者の権利が制限されるため、この考えに基づいています。

結果として、土地の評価額は更地の評価額の約60~80%程度にまで減額されることが一般的です。

 

この制度の適用により、マンション経営者は相続時における税負担を軽減することが可能となります。

 

一方、「小規模宅地等の特例」とは、相続によって取得した宅地(住宅用地や貸家用地など)のうち、一定の要件を満たす小規模な宅地について、相続税の評価額を減額する制度です。

 

この特例を利用するためには、宅地が特定の基準(面積や用途など)を満たしている必要があります
特に、賃貸用のマンション経営を行っている場合、貸付事業用宅地等に該当するので、限度面積200㎡までに限り土地の評価額が50%減額されます。

宅地等小規模宅地等の特例を適用することで、その土地の相続税評価額を下げることができ、結果として相続税の負担を軽減することが可能です。

 

また、2024年1月に相続税法が見直されたことにより、マンション経営が相続対策としてどのように機能するかが変化しました。
この見直しは、主に区分マンションに影響を及ぼし、一棟マンションを所有している場合には従来通り相続対策としての効果が期待できます。

 

新たなルールでは、マンション1室の相続税評価額が時価の6割に引き上げられるようになりました。

これは、マンション1室に対応する建物部分や敷地部分の評価額を、評価水準が時価の6割に満たない場合には、評価乖離率を用いて計算し直し、最低でも時価の6割になるよう調整することを意味します。

 

特に、タワマンのような分譲マンションにおいては、高層階のマンションほどこの新ルールの影響を受けやすくなります。
なぜなら、高層階の1室は建物部分の固定資産税評価額が時価より低く設定されやすいためです。

 

しかし、この新ルールによってマンションの相続税対策が完全に効果を失うわけではありません。
相続税評価の観点から見ると、現預金をそのまま相続するよりも、不動産という形で相続させることで評価額を下げられるので、結果として相続税負担を抑えることが可能です。


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2.マンション経営のデメリット

一方で、マンション経営にはデメリットも存在します。
代表的なものを2つ紹介します。

 

2-1.すぐに現金化するのが難しい


マンション経営における一つの課題は、資産をすぐに現金化することが難しい点です。
マンションの売却を考えた場合、適切な買い手が見つかるまで時間がかかることがあります。
物件の立地や状態、市場の状況によっては、買い手を見つけるのに苦労することも少なくありません。

 

さらに、マンションを売却する過程には、物件の査定、広告、融資審査など、いくつかの手順を踏む必要があります。
これらの手順にはそれぞれ時間がかかるので、マンションを即座に現金化することは現実的ではありません。

 

このような流動性の問題は、マンション経営のリスクの一つとして考慮する必要があり、緊急に現金が必要になった際には、他の資産や融資など、代替の手段を検討することが必要です。

 

2-2.投資にかかる金額が高額になる


マンション経営は戸建てやアパートと比べて、その規模や構造上、購入や建設にかかる費用が大きくなりがちです。
これは、マンションが多数の住戸を有し、鉄筋コンクリートのコストが高いことや、複雑な設備が必要とされるためです。

 

初期投資だけでなく、購入後にはメンテナンスや修繕といったランニングコストも発生します。
これらのコストは、マンションの価値を維持し、入居者に快適な居住環境を提供するためには避けられないものです
。特に、建物が老朽化するにつれて、これらのコストは増加する傾向にあります。

 

したがって、マンション経営を検討する際には、これらの高額な投資と維持費用を事前に見積もり、長期的な収益計画を慎重に立てることが重要です。

 

3.マンション経営を始めるまでの進め方

マンション経営は、適切な準備と計画によって成功へと導かれます。
以下のステップは、マンション経営を始めるまでの進め方を理解するためのガイドラインです。

 

Step1.複数の業者に相談する


マンション経営を検討している土地がある場合、最初にすべきことは、土地活用の専門家に相談することです。
不動産会社、建設会社、ハウスメーカーなど、複数の業者の意見を聞くことが重要です。

これらの専門家は、土地の形状やエリアに応じて最適なマンションのタイプを提案できます。
専門家との相談を通じて、最も効果的な土地活用方法を決定しましょう。

 

Step2.市場調査を行う


マンション経営の成功は市場の需要に大きく依存するため、ターゲットとなるエリアの市場調査を行うことが不可欠です。
需要と供給の状況、競合物件の状態、地域の人口動態などを調査し、マンションの設計やサービスに反映させることが重要です。

 

Step3.経営プランを立案する


市場調査の結果を基に、実現可能な経営プランを立案します。
これには、想定収益、運営コスト、価格設定、サービスの質など、経営に関わる全方位の要素が含まれます。
また、リスク管理計画もこの段階で検討する必要があります。

 

Step4.金融機関に相談する


計画が固まったら、資金調達のために金融機関に相談します。
各金融機関が提供する融資条件や利率、返済期間などを詳細に比較検討し、自身の経営計画に最も適した融資プランを選択します。

このプロセスでは、ただ最も低い利率を選ぶのではなく、返済スケジュール、融資の柔軟性、追加融資の可否など、総合的な条件を考慮することが肝心です。

 

Step5.建設工事に着工する


融資が確保できたら、建設会社と契約し、マンションの建設工事に着工します。
この段階では、工事の進捗管理や品質管理が重要になります。
計画通りに工事が進むよう、定期的なチェックとコミュニケーションを行いましょう。

 

Step6.管理会社を決めて入居者募集を開始する


建設工事が完成したら、マンションの管理会社を選定し、入居者の募集を開始します。
管理会社選びは、マンションの運営品質に直結するため、信頼できるパートナーを選ぶことが重要です。
入居者募集にあたっては、効果的なマーケティング戦略を立て、目標入居率の達成を目指しましょう。

 

4.マンション経営が向いている人

マンション経営は、特定の条件や性質を持つ人にとって特に有益な投資方法です。ここでは、マンション経営が適していると考えられる人の特徴を詳細に解説します。

 

4-1.比較的広い土地を所有している


マンション経営を考える上で、最初の重要な要素は土地です。
マンションは一般的に戸建てや小規模なアパートよりも大きな規模を必要とするため、広い土地を所有している人はマンション経営に適しています。

 

どれだけの規模のマンションが建設可能かは、土地活用の専門業者との相談によって明らかになります。
適切な計画とプロジェクトの実行可能性を検討することで、土地の最大限の活用を図ることが可能です。

 

4-2.リスクに備える資金計画を立てられる


*自己資金が多い場合、金融リスクは比較的低くなる
*自己資金が少ない場合はより綿密な資金計画が求められる
*いずれにせよローン返済を含めた資金の動きをしっかり計画して把握できる人が向いている

 

マンション経営は、将来的な収益性と安定性を求める投資家にとって魅力的な選択肢ですが、成功するためには適切な資金計画が不可欠です。リスクに備えた資金計画を立てられる人は、マンション経営に特に向いていると言えます。

 

自己資金が豊富な場合、金融リスクは比較的低く抑えられます。
自己資金を多く投じることで、借入れが少なくなり、それに伴う金利負担も軽減されます。
また、市場が不安定な時期でも、ローン返済のプレッシャーが少ないため、経営の柔軟性が保たれ、長期的な視点で物件を運用しやすくなります。

 

一方で、自己資金が少ない場合は、より綿密な資金計画が求められます。
借入れに頼る部分が大きくなるため、金利変動リスクや返済負担の増大といった金融リスクが高まります。

このような状況では、市場の変動による収入減少や空室率の上昇が直接的な経営の圧迫要因となり得るため、リスクを事前に想定し、それに対応できる資金計画を立てる必要があります。

 

マンション経営に向いているのは、自己資金の多寡にかかわらず、ローン返済を含めた資金の動きをしっかりと計画し、把握できる人です。

    

4-3.長期的な視点で投資ができる人


マンション経営は、短期間での利益追求よりも、長期的な視野での投資を要求されます。
経営を開始してから利益が出始めるまでには、ある程度の時間が必要です。

したがって、長期間にわたって計画を立て、着実に経営を続けることができる人にとって、マンション経営は適した投資方法と言えるでしょう。

 

しかし、長期計画を立てることに苦手意識がある人でも、信頼できる不動産会社や建設会社と連携することで、安定したマンション経営を実現することが可能です。

これらの専門家は、市場分析や資金計画、物件の管理など、経営のあらゆる側面でサポートを提供し、投資家が直面するであろう課題を解決するための力強い味方になってくれます。

5.マンション経営のメリットを活かして賢明な土地活用を検討しよう

マンション経営は土地活用の中でも特に規模が大きく、長期的な収益性を期待できる選択肢です。

しかし、その規模の大きさと耐用年数の長さから、初期投資が高額になり、それに伴いリスクも大きくなります。

 

成功するためには、立地の適性を正確に評価し、専門家の意見を取り入れながら、最適な土地活用法を選定することにあります。
そのためには、専門家との相談を通じて提案されたプランを比較し、自身の土地に最も適した活用方法を見極めることも大切です。

 

しかし、そもそもマンション経営を検討する前に、何のためにこの道を選ぶのかという目的を明確にすることが重要です。
長期的な資産価値の増加を目指すのか、安定した収入を求めるのか、あるいは土地の有効活用を最優先とするのか、目的によって最適な計画は異なります。

 

土地活用に悩んだ際は、幅広いプランを検討し、自身の目的に適した道を選ぶことが、マンション経営の成功へと繋がります。目的を明確にし、賢明な土地活用計画を立てることで、リスクを管理しつつ、期待される収益を最大限に引き出すことが可能となるでしょう。

■監修者プロフィール

有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者