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公務員もアパート経営ができる?違反にならないために守るべきルール

公開日: 2024.03.22

最終更新日: 2024.03.22

サラリーマンのなかで副業が広まりつつある一方、公務員は公務員法により、副業が原則として禁止されています。
不動産投資やアパート経営なども含め     副業を許可なく行うと、場合によっては懲戒処分の対象となる可能性があります。

 

しかし、不安を感じる必要はありません。適切な手続きを踏み、決められた条件を満たせば、公務員でもアパート経営を行うことが可能です。この記事を通して、公務員がアパート経営を始める際に必要な知識と、成功への道筋を掴むためのポイントをご紹介します。公務員としての立場を守りつつ、不動産経営による収入を得る方法を一緒に探っていきましょう。

1.公務員がアパート経営をする際に守ること

はじめに、公務員がアパート経営をする際に守るべき内容について紹介します。
アパート経営を考えている方は、必ず覚えておきましょう。

1-1.国家公務員法(地方公務員法)の規定に従う


公務員がアパート経営を行うにあたり、最も重要なのは国家公務員法および地方公務員法の規定に従うことです。

これらの法律は、公務員の副業に関する基本的なルールを定めており、公務員が遵守すべき事項を明確にしています。
公務員が副業を行う場合、これらの法律に従い、必要な許可を得ることが必須です。

 

・国家公務員法第101条と地方公務員法第     35条


国家公務員法第101条と地方公務員法第35条は、公務員が勤務時間全てを国や自治体の仕事に捧げ、職務に専念する義務があることを定めています。
これは、公務員が国民や市民のために奉仕する立場にあるため、副業によって本業の職務遂行に影響が出るのを防ぐためです。

 

アパート経営などの副業が職務への専念を妨げると判断されれば、懲戒処分の可能性もあります。
公務員が副業を行う場合は、法律の枠内で適切な申請と許可が必要となるので注意が必要です。

 

・国家公務員法第103


国家公務員法第103条では、公務員が私企業から隔離されるべきであると定めています。
この条文により、国家公務員は民間企業や団体の役員職を兼ねたり、自分で営利目的の企業を運営したりすることが禁止されています。
これは、公務員が公私の利益衝突に陥ることを防ぎ、公務の公正性を保つための措置です。

 

しかし、賃貸     経営に関しては、特定の条件を満たし、必要な承認を得ることで可能とされています。
つまり、法律の範囲内で適切に手続きを踏めば、公務員でもアパート経営を行うことが許される場合があります

 

・国家公務員法第99条と地方公務員法第33


国家公務員法第99条と地方公務員法第33条は、公務員による信用失墜行為を禁じています。
これらの条文は、公務員が行うあらゆる行動が、公務員自身だけでなく、所属する自治体や国家全体の信用に直接影響を与えることを認識し、それに応じた責任ある行動を求めています。

 

公務員が不適切な行為をすることは、公の信用を損ない、結果的に政策の信頼性や効果を著しく低下させることにつながりかねません。
そのため、公務員は個人としてだけでなく、公務員集団としての信用を保持することが極めて重要です。

公務員に求められるのは、自らの行動が公の利益と信用にどのように影響するかを常に意識し、その責任を果たすことです。

 

1-2.人事院規則に従う


公務員が不動産経営を行う際は、人事院規則に従う必要があります。
この規則は国家公務員の労働ルールを定めており、「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)」には不動産経営に関する運用が記載されています。

公務員が営利目的の活動に従事する条件と制限がこの規則によって明確にされているため、適切な手続きのもとで行動することが求められるのです。

 

ここでは、公務員がアパート経営を行うにあたって守るべき3つの条件を解説します。

 

・アパート経営は49部屋以下の規模で行う


公務員がアパート経営を行う場合、規模には特に気を使う必要があります。

「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」に基づくと、49部屋以下のアパート経営は、事業に該当しないため許可されています。

 

しかし、510室以上になると、それは自営としてみなされます。
公務員の自営は前述した国家公務員法で禁止されています。

特定の条件を満たせば、と説明しましたが5棟10室以上になるとその条件から外れると解釈されるのです。

このルールは、公務員が国家・国民・市民のために働く「奉仕者」としての立場を守るために設けられています。
したがって、公務員がアパート経営を検討する場合は、この規模の制限を守る必要があります。

 

・家賃収入は年間500万円未満に抑える


公務員がアパート経営を行う場合、年間の家賃収入は500万円未満に抑える必要があります。
これは、不動産と駐車場の賃貸を含めた収入で、経費や損失を引く前の金額です。

年間収入が500万円を超えると、事業として認定され、公務員法違反となる可能性があるため、家賃設定や部屋数を慎重に計画することが必須です。
この条件を守れば、公務員でも安全にアパート経営を始めることが可能です。

 

・アパート経営の管理は管理会社へ委託する


アパート経営を行う際、公務員は職務に専念する必要があるため、管理業務は専門の不動産管理会社に委託することが求められます。
したがって自主管理は認められていません。
しかし管理業務を委託することは一定のメリットがあります。

者募集や家賃集金などの維持管理業務を適切に行いつつ、公務員としての本職に影響を与えずに副収入を得ることができるからです。

 

また、一定の条件を超える規模のアパート経営でも、公務員法に則り申請を行い、特別な事情がある場合には許可が下りやすくなるケースがあります。

例えば、自らの意思でアパート経営を始めたわけではなく、遺産相続や生前贈与などやむを得ない事情で不動産を得た場合、その管理や経営についても一定の柔軟性が認められることがあるのです。

このような状況では、事情を説明し、適切な手続きを踏むことが重要です。

 

2.アパート経営の際に公務員が有利に働く点


公務員がアパート経営を始める際、アパートローンの審査を受けることが一般的ですが、ここで公務員であることが大きな利点です。
ローンの審査では、申請者の年収や勤続年数はもちろん、個人の属性が重要な判断基準となります。

 

公務員は社会的な信用度が比較的高いとみなされるため、その信用度の高さが融資の認可を受けやすくする傾向にあります。

このように、公務員の身分はアパートローンを利用する際、有利に作用する要素の一つです。


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3.公務員がアパート経営を行うための準備


この章では、公務員がアパート経営を行うために必要な手続きについて解説します。

 

3-1.アパート経営を始めるための申請について


アパート経営を始めるためには、まず所属する省庁や役所への申請が必須です。
このプロセスでは、職場の上長や責任者に相談し、申請手続きを進める必要があります。

許可を得ずにアパート経営を開始すると、罰則の対象となるリスクがあるため、申請は非常に重要です。

 

また、承認されるまでには時間がかかる場合があるため、余裕を持って申請を行うことをおすすめします。
この手続きを通じて、公務員としての立場を守りながら、安全かつ合法的にアパート経営を始めることができます。

 

3-2.アパート経営を始めるための申請書類


アパート経営を始めるための申請書類は以下の通りです。

・自営兼業承認申請書(不動産等賃貸関係)

・不動産管理の委託契約書

・物件概要書

・貸借条件一覧表


これらの書類を準備し、所属する省庁や役所に提出して承認を得ることが必要です。
地域によって必要な書類が異なることもあるため、申請前には上長や人事課の担当者と相談すると良いでしょう。

 

適切な書類の提出と承認を得ることにより、公務員でも安心して賃貸     経営を始めることができます。また、何か不明点がある場合は、所属長や人事課の担当者に問い合わせることを推奨します。

 

4.公務員でもアパート経営を始められる!

公務員であっても、一定の条件を満たすことでアパート経営を始めることが可能です。

具体的には、申請プロセスを遵守し、許可された範囲内での経営を行うことが必須となります。
最近の働き方改革の流れの中で、副業を許可する公的機関が増えつつあり、公務員の副業に対する考え方も徐々に柔軟になりつつあるようです。

 

しかし、このチャンスを活かすためには、決められたルールに則って副業を行わなくてはならず、所属機関への正式な申請が不可欠です。
申請を怠ると、ペナルティの対象となり、最悪の場合は懲戒免職に至るおそれもあります。そのため、アパート経営を始める前には、必ず職場での相談や、申請手続きをしっかりと行い、ルールを守った上での経営を心がけるべきです。

 

公務員の皆さんも、これらのガイドラインに従いながら、無理のない範囲でアパート経営を計画し、安心して副収入を得る道を探求しましょう。
今後、副業に関する規制がさらに緩和される可能性もありますが、いずれにせよ適切な準備と正しい手続きを踏むことが大切になります。

■監修者プロフィール

有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者