老後の資金対策にアパート経営はおすすめ?安定収入を目指すポイント
公開日: 2024.11.12
最終更新日: 2024.11.14
老後の生活設計において、年金収入だけで十分な生活水準を維持できるのか不安を感じている方は少なくありません。
特に、所有している土地をお持ちの方にとって、その資産を活かした収入確保の方法を検討することは、将来への重要な備えとなります。
そんな中で注目されているのが、アパート経営による土地活用です。
適切に運営することで、安定した家賃収入が期待できるだけでなく、次世代への資産継承においても税制上のメリットがあるとされています。
しかし、アパート経営を始めるにあたっては、初期費用や維持費用の試算、土地の形状に応じた建物プランの検討など、さまざまな要素を慎重に見極めなくてはなりません。
この記事では、土地活用としてのアパート経営について、資金計画から具体的な運営方法まで、
実践的な情報をわかりやすく解説していきます。
目次
1.なぜ老後にアパート経営がおすすめなのか
老後の生活を考える際、多くの人が抱える共通の悩みは「老後資金の不足」です。
生命保険文化センターが行った調査によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える最低日常生活費は月額で平均23.2万円となっています。ゆとりある老後生活を送るための費用として、平均で37.9万円となりました。
(参照:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/2022(令和4)年度)
とされており、退職後も安定した収入源を確保するための対策が求められています。
その中で、アパート経営は土地活用の一つとして注目されています。
では、なぜ老後の資金対策としてアパート経営が選ばれるのでしょうか?
まずは、その理由を解説していきます。
1-1.年金以外の不労所得を得られる
アパート経営は、年金以外の安定した不労所得を得る手段として非常に有効です。
不労所得とは、労働の対価ではなく、資産を活用して得る収入のことで、アパート経営では入居者から毎月家賃を受け取ることができます。
特に年金は2カ月に1回の振り込みで、毎月の生活費に不安を感じる方も少なくありません。
しかし、家賃収入があれば毎月の安定した資金が確保され、ゆとりを持って生活できます。
また、老後は医療費や介護費用など、予想外の支出も増えることから、年金以外の収入源を持つことは非常に重要です。
アパート経営は、こうした老後の経済的負担を軽減し、安心して長期的に収入を得られる方法の一つとして、多くの人に選ばれています。
1-2.投資の中では比較的リスクが少ない
老後の資産形成として、株式やFX、仮想通貨を検討する方も多いですが、これらは価格変動が激しく、大きな損失を被るリスクがあります。
一方、不動産投資は価格が急に変動することが少なく、安定した家賃収入を得られるため、リスクが低い投資手段です。
住宅は生活の基盤であり、需要があるため価値が大幅に下がる心配も少なく、必要に応じて売却して資金化することもできます。
老後に安定した収入源を確保したいと考える方には、不動産投資はリスクが少なく、長期的な資産形成に向いている選択肢です。
1-3.相続税対策になる
老後の問題として、相続税対策を考える人も少なくありません。
相続税は、現金や資産の評価額に基づいて課税されますが、現金よりも不動産を相続した方が税額を抑えることができるのが一般的です。これは、不動産の相続税評価額が時価よりも低くなるためです。
例えば、同じ1,000万円でも、現金はそのまま1,000万円として評価されますが、不動産の場合は評価額が時価よりも低いため、課税対象が減り相続税も軽減されます。
また、アパート経営の場合、借入金などを利用することで相続税評価額をさげつつ、現金を残すことができ、残された家族にとって有利な相続税対策となります。
現金よりも不動産を活用することで、将来的に家族に多くの資産を残せる可能性があるため、相続を見据えてアパート経営を選ぶのは賢明な選択です。
2.アパート経営にかかる費用
アパート経営を始めるにあたって、必要な費用を正確に把握することは事業の成否を左右する重要な要素です。
初期投資から維持費用まで、さまざまな支出が発生するため、綿密な資金計画が欠かせません。
ここでは、アパート経営で必要となる主な費用について詳しく解説していきます。
2-1.初期費用
アパート経営の初期費用は、大きく「本体工事費」と「建物付帯工事費」に分類されます。
本体工事費は、アパート建築時の中心となる費用で、初期費用全体の7割から8割を占める最も大きな支出項目です。この費用は建物の構造や規模、形状、さらには立地条件などによって大きく変動します。
一方、建物付帯工事費には、塀や庭、駐車場といった外構工事費用のほか、アパートに設置する設備の取り付け費用が含まれます。
通常、これらの費用は本体工事費に含まれることが一般的ですが、中小の建築会社では付帯工事を行うことができず、別途工事業者への発注が必要となるケースも少なくありません。
これらの工事費用に加えて、不動産取得税や火災保険料などの諸経費も初期費用として考慮に入れる必要があります。これらの費用を事前に把握し、適切な資金計画を立てることが、アパート経営を成功に導く重要なポイントとなります。
2-2.維持費用(ランニングコスト)
アパート経営を行う際には、初期投資だけでなく、経営を続ける中で発生する維持費用(ランニングコスト)も十分に考慮しなければなりません。
例えば、共用部分の光熱費や管理費は毎月の固定的な支出となり、これらを見込んだ上での収支計画が重要です。
また、建物の定期的な修繕も避けられないため、修繕費用を計画的に積み立てておくことが、将来的なトラブルを回避するポイントです。
さらに、固定資産税の支払いも毎年必要となり、新たに入居者を募集する際には、仲介手数料が発生するケースもあります。
これらの費用をしっかりと見積もり、安定した収益を確保するためには、経費のバランスを考えた経営が求められます。
関連記事>>アパート経営を始めたときにかかる費用と続ける際にかかる費用は?
3.老後にアパート経営を行う際のポイント
老後の安定した収入源としてアパート経営を検討する方が少なくありません。
しかし、高齢期に新たな事業を始めるには、慎重な判断と適切な準備が必要不可欠です。
資金計画から物件選び、さらには将来的な管理体制の構築まで、老後ならではの視点で検討すべきポイントがあります。
ここでは、シニア世代がアパート経営を成功させるために押さえておくべき重要な要素について解説していきます。
3-1.ローンと自己資金のバランスに配慮する
アパート経営を始める際には、ローンと自己資金のバランスに配慮することが重要です。
老後は定期的な給与やボーナスがなくなるため、経済的なリスクを最小限に抑える必要があります。
自己資金を多めに確保し、必要な範囲でローンを利用することで、急な病気や怪我などの突発的な出費にも対応できるようにしておくと安心です。全額をローンで賄うと毎月の返済が負担になりますが、適切なローン計画を立て、蓄えを残しておくことで、長期的に安定した経営を目指すことができます。
不動産会社や金融機関に相談しながら、自分に最適なローンの組み方を検討することが大切です。
3-2.家族と情報共有をしておく
アパート経営を老後の資金対策として行う場合、事前に家族との情報共有をしっかり行うことが重要です。
経営が順調に進んだ後、どのようにアパートを扱うかを家族と話し合い、明確にしておくことで、将来的なトラブルを防ぐことができます。
例えば、配偶者や子どもにアパート経営を引き継ぐのか、あるいは売却して現金化するのかなど、家族の意見を尊重しながら計画を立てることが大切です。
何も決めずにアパートを相続させようとすると、家族間でトラブルが生じる可能性があります。
特に、相続人が複数いる場合、アパートの資産をどのように分割するのかで意見が対立しがちです。
また、ローンが残っている場合、その返済を誰が引き継ぐのかという問題も避けられません。
残された家族が予期していない負担を負わされることは、感情的な対立を引き起こす要因にもなり得ます。
さらには認知症などになった場合は経営を自身で行えないばかりか、引き継いだ家族は売却や建て替えを進めることができなくなるなどのリスクがあります。
そのため、アパート経営を始める段階から、家族に経営状況や将来の計画について共有し、引き継ぎや売却などの選択肢について話し合っておくことが重要です。
事前にしっかりと計画を立てておけば、家族間でのトラブルを回避し、安心してアパート経営を続けることができ、資産を円滑に次世代へと引き継ぐことが可能になります。
3-3.不動産会社に管理を委託する
アパート経営は不労所得を得る手段として人気がありますが、実際には多くの業務を伴うため、自分で全てを行うのは非常に大変です。
例えば、入居者の募集や契約手続き、共用部分の清掃、さらにはクレーム対応やトラブル処理など、多岐にわたる業務があります。
これらの作業を全て自分で行うと、体力的な負担が大きくなるだけでなく、精神的にもストレスがかかる可能性があります。
特に老後は体力の衰えも考慮する必要があり、自分一人でこれらの業務を全てこなすのは難しいと感じることもあるでしょう。
そのため、こうした業務は不動産管理会社に委託するのがおすすめです。
管理会社に依頼すれば、入居者対応やメンテナンス、トラブル処理などを24時間365日対応してもらえるため、自分が直接動かなくても安心してアパート経営を続けることができます。
ただし、管理会社に委託する際には、当然ながら委託料が発生します。
自分で行うか、業者に任せるかは、手間と費用のバランスを見ながら検討することが大切です。
アパート経営に興味を持ち、より具体的な情報やサポートをお探しの方は、以下の記事をぜひ参考にしてください。
関連記事>>アパート経営完全ガイド|建築プラン立てから完成後の業務まで
4.老後に向けた安定収入にはアパート経営がおすすめ
アパート経営は、老後の資金対策として安定した収入を得る有力な手段です。
毎月の家賃収入を通じて、不労所得を得ることができ、資産形成や相続対策にもつながります。
ただし、経営には初期費用や維持費用がかかり、家族との情報共有や管理業務をどうするかの計画が不可欠です。
また、ローンと自己資金のバランスを取り、管理を専門業者に委託することで、より安定した経営が実現できます。
将来を見据え、事前にしっかりと準備しておくことで、老後の生活にゆとりと安心をもたらすことが可能です。
土地活用や賃貸経営に関するご相談は、専門的なアドバイスを提供している大東建託にぜひお任せください。
あなたの資産を最大限に活かすためのサポートをいたします。
■監修者プロフィール
有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一
関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。
【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者
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