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賃貸併用住宅とは?固定資産税と相続税の節税効果

公開日: 2022.10.28

最終更新日: 2022.12.19

近年、税制改正によって相続税が実質的増加となり、ライフスタイルも変化しつつあり、賃貸併用住宅が注目を浴びるようになりました。ところで、賃貸併用住宅がなぜ注目されているのでしょうか。今回は賃貸併用住宅が人気となった理由や、利用するうえで注意すべきポイントについてご説明します。

この記事のポイント
  • 賃貸併用住宅が注目されている
  • 賃貸併用住宅は固定資産税の軽減や、相続税の評価減に効果がある
  • 賃貸併用住宅のメリットや注意点を理解することが大切
  • 住宅ローンや住宅ローン控除の利用条件に要注意

賃貸併用住宅はなぜ人気か?

賃貸併用住宅とは、オーナー自らが住む居住部分と他人に貸す賃貸部分が同じ建物内に共存している建物のことです。その賃貸併用住宅が多くのメリットを持っているということで、近年注目が集まっています。

メリット① ライフスタイルの変化に対応できる

賃貸併用住宅は、柔軟に活用することができます。
例えば、実家の建て替えと共にご両親と一緒に住もうとする場合、賃貸併用住宅に適合するプランを選択すれば、将来的に余った空間を貸し出すことができます。また、現在は賃貸として利用し、将来的に子供や、ご両親のお住まいへ変えることも可能です。このように、二世帯住宅の建設を考えているオーナーにとって、賃貸併用住宅はとても魅力的です。

メリット 固定資産税の節税効果が期待できる

自宅の所有にかかる固定資産税の軽減措置があります。課税標準額の特例によると、1戸あたり200まで課税標準額を1/6に減額してもらえます。所有する土地が200を超えた部分については、課税標準額が1/3に減額されます。この場合、もし賃貸併用住宅を建てることで、戸数が2つになれば、さらに200が1/6の減額特例の対象になります。

メリット 相続税の評価額を減らすことができる

賃貸併用住宅が注目される理由は、税制改正と相続税の基礎控除の引き下げにもあると考えられます。それにより、相続対策を考え始める人が増え、相続財産評価を引き下げることができる賃貸併用住宅に注目が集まったのです。
まず、賃貸併用住宅の場合、賃貸部分について評価減の特例の適用を検討することができます。賃貸部分については、自宅部分より低い評価額となるため、相続税を低く抑えることができます。
さらに、相続税の計算上、小規模宅地等の評価額の特例が適用できる場合、大幅な評価額の減額が認められます。配偶者や同居の子供が自宅を相続する際、最大330まで80%の評価減も可能です。ただし、相続人の住まいの状況について厳しい条件が付いています。例えば、相続人としての子供が別居の持ち家に住んでいる場合、この特例を受けることができません。

小規模宅地等の特例(相続の開始の日が「平成27年1月1日以後」の場合)
宅地等の利用区分 要件 限度面積 減額割合
貸付事業用の宅地等 特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等 400 80%
貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200 50%
被相続人等の居住用に供されていた宅地等 特定居住用宅地等に該当する宅地等 330 80%

適用限度面積について
貸付事業用宅地等がない場合:①+③≦730㎡
貸付事業用宅地等がある場合:①×200/400+③×200/330+②≦200㎡


メリット④ 住宅ローンを利用できる場合がある

一般的に、賃貸経営を目的としたアパートなどを建築、購入する際にはアパートローンを活用することになります。しかし、アパートローンより住宅ローンの方が、①金利水準が低い、②借入期間が長い、③住宅ローン控除が利用可能、などと言う使い勝手の良い点が多いです。賃貸併用住宅は、住宅ローンを利用できる可能性があるという点も注目を浴びている理由の一つと言えるでしょう。



リスクを防ぐ!注意すべきポイントとは?

税金面においても、相続に関しても、メリットの多い賃貸併用住宅。もちろん注意しておくべきこともあります。

賃貸併用住宅が注目を集めているポイントの一つに、住宅ローンを活用できることを先述しましたが、すべての賃貸併用住宅で活用できるわけではありません。原則として、総床面積に占める自己居住用部分の床面積の割合が50%以上であることが条件になっていることが一般的です。冒頭で賃貸併用住宅の種類について触れましたが、賃貸併用住宅のメリットの一つである住宅ローンの活用を考えるのであれば、賃貸併用住宅の規模が大きければ大きいほど自己居住用部分の割合に留意しておく必要があります。

また、住宅借入金等特別控除、いわゆる住宅ローン控除を利用したいと考えている場合にも、「新築又は取得をした住宅の床面積が50以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること」という規定を満たす必要があることには注意が必要です。

そのほか、賃貸併用住宅は設計時にも注意が必要といえます。オーナーは賃貸部分の入居者と同じ建物内に住むことになるので、オーナー自身のプライバシーに配慮した住戸・通路の配置を考えるとよいでしょう。

まとめ

相続対策の一つの方法としても注目を浴びている賃貸併用住宅。確かにアパートローンに比べ、使い勝手のよい住宅ローンの活用ができるというメリットもありますが、あわせて注意点についても理解をしたうえで、長期的視点で賃貸経営計画を考えてみることが大切なのはいうまでもありません。相続対策を考え始めるきっかけとして、賃貸併用住宅に関する理解をさらに深めてみてはいかがでしょうか。

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