消費税増税による賃貸経営への影響とは?
公開日: 2022.10.28
最終更新日: 2023.03.17
公開日:2018.08.30
2019年10月、消費税率が10%に引き上げられる予定です。このことは賃貸経営の事業運営についても大きな影響を与えます。今後、賃貸住宅の建築や改築を考えている人にとっては、その費用にかかる消費税率が8%か10%かでは大きな違いになります。
例えば、建物の建築請負契約などで、契約時は8%だった消費税率が工期の途中で変更され、建物の引き渡し時には10%になっていた場合、消費税率はどちらの税率が適用されるのか、など多くの疑問もあります。ここでは様々なケースで、消費税率の引き上げが賃貸経営に与える影響について考えてみます。
この記事のポイント
- 2019年10月1日以降の建物の完成引き渡しから消費税率は10%請負契約においては改正日より6ヶ月前(2019年4月1日)に「指定日」が設けられる。
- 請負契約においては改正日より6ヶ月前(2019年4月1日)に「指定日」が設けられる。
- 改正日以降の引き渡しでも、「指定日」前日までに請負契約が締結できれば、消費税率は8%が適用できる。
- 「指定日」以降、当初の請負契約(8%適用)を超過した追加分の工事費については、新しい税率(10%)が適用される。
消費税はいつ上がるのか?
2014年4月に消費税率が8%に改正されて以降、10%への税率変更はこれまで二度延期されてきました。 2018年7月現在では、2019年10月1日に消費税率は10%に引き上げられる予定です。 通常、建物の完成引き渡し日が2019年9月30日以前なら、住宅の建築費にかかる消費税率は8%、10月1日以降なら10%になります。
消費税率が変わる際の「経過措置」とは
ただし消費税率が変更される際には、新たな法律施行の移行期間中に発生する不利益や不都合を抑えるため経過措置があり、建物の請負契約の場合、これが適用されます。
建築工事などの契約後、工期中に消費税率が変わる場合は、税率の改正が施行される6ヶ月前が消費税率改正の「指定日」になり、この指定日の前日までに契約を完了すれば、建物の引き渡しが税率の改正後になっても、改正前の税率が適応されます。
2019年の4月1日の「指定日」の前日(2019年3月31日)までに請負契約が締結された工事に関しては、引き渡しが10月1日以降になっても、消費税率は8%が適用されます。
なお、上記消費税増税に関する請負工事等に関する経過措置については、過去3%への増税時、3%から5%への増税時、5%から8%への増税にも同じ経過措置が取られており、今回の10%への増税に関しても「消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置」にて、指定日を平成31年4月1日とする旨の記載がされています。
経過措置についての注意点
賃貸住宅の建築の際に適用される経過措置は、注意すべき点があります。
まず経過措置の対象となる契約が「工事の請負に関する契約」「測量や地質調査に関する契約」など何種類もあるということです。
指定日の前に締結した契約がこの一部で、指定日以降に契約して、改正後に引き渡したものがある場合は、その税率は増税後のものになります。経過措置の適用を受ける場合は、「指定日」の前日までに詳細な建築計画を立て、すべての契約を締結しておく必要があります。
また契約時の請負契約額から、実際の工費が変更になることは珍しくありません。
例えば、「指定日」の前日に契約した請負契約額が1億円でも、「指定日」以降に契約され、消費税率の改正後に引き渡された変更契約額が1億3千万円になったとします。この場合、工費のうち1億円までの消費税率は8%ですが、変更した3千万円に関しては消費税率10%が適用されます。
「指定日」の間際になって拙速な建築計画を立てると、本来は節約できた税金を払うことになる可能性もあるので、しっかりと契約内容を確認することが必要です。
増税による影響はどの部分にあらわれるのか?
消費税率が上がる際の経過措置は、建物を新築する場合だけでなく、賃貸物件では定期的に必要となるリフォームや修繕、改修工事なども対象になります。
大型マンションの修繕工事などでは工期も長期間に渡り、また工期が延期になることも珍しくありません。
所有する賃貸住宅のリフォームや修繕を計画している場合は、指定日の前日である3月31日より以前に工事契約を締結しておくことをお勧めします。
また消費税率アップが賃貸経営に与える影響は、建築や改築だけではありません。
消費税は商品やサービスなどの取引全般にかかるため以下も消費税改正後には10%の税率がかかります。
- 賃貸住宅の建設や改修に付随する家電、照明器具など
- 門扉、屋外フェンス、シャッター、駐車場など
これらの中には消費増税の施行前に準備しておくことで、増税の影響を避けられるものもありますが、その多くは建物が完成し、消費税率が上がってからでないと施工できないものになります。
その他にも、
- ローン手数料
- 仲介手数料
- 登記手数料
- 火災保険料
- 修繕やメンテナンス費用
など、賃貸住宅の引き渡し後に発生するものがあり、これらは消費税増税後の税率が適用されます。
まとめ
消費税増税前後に賃貸住宅の新規建築・改築をする際には、 経過措置などのルールを確認し、工事内容や契約のタイミングにも注意すると良いでしょう。
賃貸経営のリスク解説資料をプレゼント
今なら賃貸経営のリスクを正しく理解するための資料をプレゼント中です。
こちらのページで「リスク対策」パンフレットを選んでお申し込みください。
最新コラムの更新情報以外にも、少しでも皆様のお役に立つ
資産継承や賃貸経営に関するホットな情報をお届けします。
注目のハッシュタグ
お悩みから探す
カテゴリから探す
人気記事ランキング