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【アセトラ】争族回避の対策例とポイント

最終更新日: 2024.01.12

生前に争族対策を行っていたとしても、事家族間の意思確認が不足していたりその後の変化を失念していたりすることで、相続時の争族に発展する可能性があります。
ご家族の状況は個々で異なるため、どのような相談事例があるのかを第1回目「争族の相談事例と準備のポイント」でご紹介しました。

第2回目となる本記事では、争族回避のためにできることを具体的にみていきます。争族対策を行いたいと考えている方は、ぜひ参考になさってください。

 

■この記事のポイント

  • 争族回避のための対策が複数あることを知る
  • 対策を有効化するためには、ポイントを押さえることが必要

 

1.争族回避の対策例

争族回避のためにできる具体的な対策を4つご紹介します。1つ目の「換価分割」は相続開始後の選択肢ですが、それ以外はすべて相続前に行える対策です。

また本記事では、相続準備をするご本人はリタイア世代。推定相続人は同年代の配偶者と、現役世代の子ども複数人であると想定しています。

 

対策例1.換価分割:自宅を相続したケース

換価分割とは遺産を売却し、売却金を法定相続人の間で分配する相続方法です。
相続人全員で分割できるため、公平性が保てます。「遺産が自宅のみで現金が少ないが均等に分けたい」と希望するケースが、換価分割の代表例でしょう。

また、相続税の資金がない場合に売却益を相続税の納税資金へと充てることも可能です。

 

ただし、次のような注意点があります。

 

・相続した自宅の使い道がない時にしか使えない

相続によって自宅に住む人がいなくなる場合は売却が有効な選択肢になり得ますが、住む人(被相続人の配偶者等)がいると利用できないことが多いでしょう。しかし、配偶者が「すでにマイホームを持つ子どもの家に引っ越す」「施設に入る」などの場合には有効です。

 

・不動産の売却益は、譲渡所得として所得税と住民税が課税される

課税額を差し引いたうえで売却の意義を検討しなければなりません。

 

有効な選択肢とするためには、売却益と譲渡所得にかかる税金を正しく予測することや、適正価格で不動産を売却してくれる専門家に売却を依頼することが重要でしょう。

 

対策例2.節税と現金確保:相続税が高額になるケース

相続税が高額になる場合は、節税対策を行うことで相続人の相続税負担を軽減できます。同時に現金を確保できれば、相続対策の選択肢も広がります。

節税対策として代表的なのが、自宅以外の不動産を収益物件とするケースでしょう。保有する土地にアパートやマンションを建てると、不動産の評価額を抑えることができるため、節税効果が期待できます。
収益で現金を確保しておけば、相続時に「現金は娘に、物件は息子に」のように現物分割することもできます。収益を生前贈与し少しずつ資産承継を行うことや、収益物件自体を生前贈与することも可能です。

ただし、不動産の収益力がないと現金確保や生前贈与の効果が得られません。土地の価値を見極め、収益力のある賃貸経営を行わなければなりません。長期的な視野で賃貸経営の意義があるかを検討します。

 

対策例3.遺言:遺留分侵害額請求権に考慮したいケース

争族回避を願うなら、遺言も有効です。遺言では遺産分割の方法や相続分の指定など、さまざまな内容について意思を遺すことができます。

遺留分についても考慮したうえで、遺産をどう分けるか残すことで、ご自身(被相続人)の希望を叶えることができるでしょう。

 

ただし、遺言は絶対的なものでありません。「相続人全員の同意」があれば遺言の内容を覆すことができてしまいます。また、遺言が実行されたとしても、遺言の内容が相続人への配慮に欠ける場合、相続人の間に遺恨を生じさせる懸念があります。そのため、遺言を書く際は、次の点に配慮したいです。

 

・客観的に公平性が確保されているか確認する

・どうしてそうしたいのかの「想い」や相続人への感謝などについても言及する

・事前に家族間の合意をとり、合意した内容を書く

 

また、遺言には所定の形式があります。形式に不備があると無効になってしまう可能性もあるので、正確な知識を基に遺言を作成します。

 

対策例4.家族信託:今後の認知症リスクに備えたいケース

家族信託は財産管理手法のひとつです。
あらかじめ財産を信頼できる家族(受託者)に、財産の管理・処分を任せることができます。家族信託を有効に活用すれば、ご自身が認知症になってしまった場合でも、財産の管理や・運用・処分を、状況に応じて適宜行うことが可能です。また、財産の承継者も決められるため、相続時の混乱も回避します。

 

ご自身の認知症リスクに備えられ、遺言と同じような効果が得られる一方で、次の注意点があります。

 

・財産の管理を引き受けてくれる家族(受託者)がいるとは限らない

・制度への理解がないと、財産を管理する家族とそうでない家族の間に溝が生まれる可能性がある

 

制度の概要を理解し、家族全員で利用するかどうかを話し合うことが重要でしょう。



2.   円滑な資産承継のポイント

対策をご紹介しましたが、あくまで上述の内容は手法です。手法を生かすためには、ポイントを押さえて資産承継に取り組むことが重要です。

 

ポイント1.     現状把握

ご自身の財産状態を把握することで有効な対策につながります。具体的には「土地や建物の評価額」「遺産の分割や換金が容易か」「負債(借入金)の金額」などを確認します。

所有財産を把握することで評価額の高さによる相続税額の予測や分割のしにくさによる争族リスクなど、円満な相続の阻害要因を推測することが可能です。

 

ポイント2.     ご自身と家族のライフプランを描く

ライフプランとは今後送りたい生活の設計図のようなものです。資金面の要素も組み込むのが特徴で、例えば「元気なうちは毎年旅行に行きたい」「〇年後をめどに自宅のバリアフリーリフォームをしたい」などの希望と希望にかかる資金を見積もります。ライフプランを描くことで資金面を含めた理想と現実を比較できます。

 

通常は理想と現実にはギャップがあるため、資金面で課題があっても問題ありません。現状を理想に近づける方法を検討したり、理想を現実的なもの再設定したりして調整していきます。

課題解決のためには、希望だけでなく不安も可視化することが重要です。そのため介護や認知症リスクについても必要に応じてライフプランに盛り込みましょう。

 

ポイント3.     引き継ぐ資産のあり方を話し合う

資産を必ずしも引き継ぐとは限りませんが、資産の承継者から考えていきましょう。

次のステップで資産のあり方を考えます。

・資産を承継するかどうか

・資産を承継しない場合の処分方法

・資産を承継する場合の承継者

 

考える際の要素としては、「どのように資産を遺したいのか」だけでなく、「ご本人の生活」「相続時の換金性」「納税原資としての有効性」なども考慮します。また、ご本人だけで完結させるのではなく、配偶者や家族との対話を重ねることが重要です。

 

さらに、家族間で合意が得られたとしてもそれはあくまで現時点での結論です。その後、家族の考えや社会状況や税制が変わったら、方向性を調整していく必要があることも共有します。

 

ポイント4.     納税負担の把握

相続税額が大きいと相続人とっては大きな負担になりますので、円滑な資産承継のためには納税負担の把握と、予測される納税額に応じた節税対策を考えることが必要です。

現状のままであれば相続税がかかるのか、かかるとしたらどの程度の税額になるのかを把握します。そのうえでこのままで支払い可能なのか、何らかの対策が必要となるかを検証します。

 

具体的な対策としては生命保険や生前贈与などによる納税資金の準備、節税対策などが挙げられます。

 

ポイント5.     対策実施と定期的見直し

上述のポイントを押さえたら、対策を実施していきます。ただし実行後も、定期的な見直しが必要です。繰り返しになりますが、状況は常に変化します。家族の増減や意識変化のみならず、税制改革・地価変動・為替変動・パンデミックのような外部要因も見逃せません。

例えば、定期的にライフプランを描くことで課題を早期発見する、毎年家族での話し合いの場を設けて、状況や考えの変化を共有する、といった行動が必要でしょう。

3.まとめ

争族回避の対策はひとつでありません。適切な対策を行うためには、対策の前に現状を把握したうえで、所有者世代と次世代のライフプランを描くことが重要です。
しかし、ライフプランによって資産の課題が見つかっても解決方法が分からないことや、家族間で資産のあり方を話し合おうとしても、相続知識がないので選択肢が広がらないこともあるでしょう。特に不動産が絡んだ場合は、相続・税務知識だけなく不動産関連においても幅広い知識が必要です。
そのため迷ったときは、専門家の知見を借りることをおすすめします。

 

大東建託グループでは以下の各種サービスをご用意しておりますので、ご興味があればお気軽にお問い合わせください。

 

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<執筆者プロフィール>

【ライフプラン応援事務所 代表 横山晴美】

マイアドバイザー®

FP資格や持ち前の好奇心を生かし、マネー・IT関連に強いライターとして2013年からWEB記事の執筆・編集に携わる。「分かりやすく」「誰のための記事なのか」を見極めることで、精度の高い記事を作成。需要に応じた記事を短期間で書く技術で、年間100本以上の記事に関わる。数々の失敗をもとに「稼げるライター業」のサポートも提供

 

【保有資格】

AFP


<監修者プロフィール>

株式会社優益FPオフィス 代表取締役 佐藤 益弘

マイアドバイザー®
Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFP®/マイアドバイザー®として活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。


【保有資格】
・CFP®・FP技能士(1級)・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
・住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)