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【アセトラ】賃貸経営で投資する時にまず考えること

最終更新日: 2023.10.30

「空室が増えてきた」「家賃を下げてほしいと言われた」という問題が発生した場合、対策の一つとして「建て替え」や「買い換え」 のほか、「リフォームによる物件価値の向上」などがあります。

ただし、建て替えや買い換え、リフォームをしたからと言って、空室が出ないとは限りません。
大事なことは時間が経過しても、そして家賃を下げなくても、空室の出ない賃貸経営を持続することです。

そこで、これから3回にわたり、入居者に選ばれる賃貸経営のための、投資・空室対策・管理方法についてお伝えしたいと思います。

まず、第1回目は建て替えやリフォーム時に必要な「投資」する時にまず考えるべきことを見ていきましょう。

■この記事のポイント

・賃貸ニーズの傾向を把握する
・自己資金と借入のバランスを考慮する
・賃貸経営はエリアマーケティングと投資費用把握で費用対効果を検討することが大切

 

1.減少する日本の人口

老朽化が進み空室が増えたことから建て替えを検討する方もいるでしょう。

建て替えれば、新築当初の入居希望者は多いかもしれません。

 

しかし、築年数が経てば、また空室が増える恐れがあります。

なぜなら、空室の原因の一つに日本の人口が減少していることがあるからです。

 

ここで、将来を予想するのに基本となる人口の推移を見てみましょう。


画像画像1.png

 

上記表の人口推移から2022年4月から2023年3月までの1年間で、51万7千人が減少しているのがわかります。

2008年に人口のピークを迎えた後、2011年から連続して人口が減少し続けています。

このまま少子高齢化が進むことは避けられないでしょう。

 

ただ、実際に人口の減少により賃貸のニーズも減っているかというと、そうとも言えません。

 

そこで持ち家数、借家数、持ち家住宅率の推移(1973年~2018年)を見てみましょう。


画像2.png

 

注目したいのは、「持ち家住宅率」です。

1973年から2018年まで約60%程度で推移しています。

逆の視点で考えると40%程度の方は賃貸住まいで、ニーズは減っていないと言えます。

 

さまざまな理由があると思われますが、賃貸のニーズを探るために1世帯あたりの人員数も把握しておきましょう。

画像3.png

 


上記によると、世帯数は増えていますが1世帯当たりの居住人数が減ってきています。

つまり、同じ家に同居する人の人数が減り、単身世帯が増えているわけです。

 

このことを踏まえて、今後新たに賃貸物件を建てるのであれば、入居者のニーズにあった単身者向け建物を検討してもよいかもしれません。

ただ、地域ごとに家族向けのニーズが多いなどニーズが異なることもあるので、入念な市場調査が必要となります。

2.自己資金と借入のバランスは?

今後増えそうな入居者のニーズを把握した上で、建て替えや買い換えを考えた時に必要になるのが建築費や購入費などの資金です。

 

全額自己資金で賃貸物件を建て替えや買い替えができれば経営的には安心です。

ただ、手持資金の問題や賃貸経営に節税などの効果を求めるケースが多いので、通常は、金融機関から融資を受けるがほとんどです。

 

では、自己資金と借入のバランスはどのように考えたらよいのでしょう。

 

一般的に、自己資金は物件価格の3割程度用意できると良いといわれています。

理由としては、

・初期の諸費用が物件価格の1割ほどかかる

・金融機関によってはアパートローン(投資用不動産向けローン)が物件価格の全額は借りられず、8割前後の融資となることもあるため2割ほど自分で準備が必要

 

アパートローンは一般の住宅ローンに比べ金利が高く設定されているので、なるべく低い金利の金融機関から借りられるよう調べてみましょう。

また、金利だけでなく返済期間も確認し、年間の手残りが赤字になることのないよう、余裕をもった返済計画となるように返済期間を設定しましょう。

※アパートローン金利の動向は住宅ローンに比べ個別性が強いため、金利推移データが開示されていませんが、金利の動き方は住宅ローンと同様ですので、下記を参考にしてください。


画像6.png

 

一般的な賃貸物件の年間利回りは標準的に4%~6%程度といわれています。

最近の定期預金10年の金利が0.02%~0.03%程度ということから考えると、ただ預金しているより高い収益が期待できます。

物価の急激な上昇に伴い変動のローン金利も上昇する可能性があります。

つまり、利払い費用が増える=収益が減ることになりますから、必然的に利回りも低下することになります。

引き続き、金利の動向にも注視が必要です。

 

また、レバレッジ効果のある投資となっているかどうかという点も必ず確認するようにしましょう。
レバレッジ効果とは、借入を利用することによってより規模の大きい賃貸物件に投資して、自己資金だけで投資するのに比べより多額の利益をあげる投資のことです。

レバレッジ効果は上手く使えば資産を拡大することができますが、使い方を誤ると多額の借金返済に苦しむことになるため、過度にレバレッジをかけすぎないように注意しましょう。

 

 

3.賃貸経営に必要な考え方

ここからは、老朽化した物件を建て替え、買い換え、リフォーム時の考え方を見てみましょう。

 

賃貸経営の成功のために求められるのが「エリアマーケティング」という手法です。

「エリアマーケティング」とは地域の人口や特徴、産業、生活スタイル、土地柄、交通インフラの状況を考慮して行うマーケティングです。

エリアマーケティングにより賃貸店舗、店舗付賃貸住宅、保育施設・高齢者施設などその土地に適した、物件を建てることが賃貸経営の成功にとって必須です。

 

長期間賃貸経営をするためにも実績とノウハウのある業者と相談しながら、設計や建物のコンセプトなどと周辺地域のニーズを探りつつ、初期費用にかかる経費も含めて無理のないように検討する必要があります。


(例)建て替えする場合の投資費用

賃貸経営で建て替え、買い替え、リフォームの投資をする時には、前述したエリアマーケティングを行った上で、今後の事業計画を作成していくことになります。

ここでは、一例として建て替えをする際に必要な投資費用を確認しましょう。

 

すでに土地がある場合の主な投資費用は、以下の通りです。

・設計費

・建築費

・解体費用(建て替えの場合)

・立退き料(賃貸物件建て替えの場合)

・現況測量費(設計のため方角、高低、面積などを測る費用)

・地盤調査費(地盤の状況や深さを測る費用)

・水道分担金(水道を引くために必要な費用)

・登記費用

・火災・地震保険

・司法書士手数料

・ローン手数料

・印紙税

・登録免許税

等です。

 

2019年からコロナウイルスのまん延、2022年に勃発したロシアとウクライナの戦争などの影響で、建築資材を含め世界的に流通が止まってしまいました。
その間に資材の価格がどんどん上昇し、最終的に設計時当初より1.5倍の金額になった物件もあると耳にしました。

 

このような予想外の事象がそうそうあるとは限りませんが、着工後に追加工事が発生することがあります。

その場合、予定していた金額以上の費用がかかることも想定されることから、初めからあまり厳しい予算で組むことは避けた方が良いでしょう。

 

ここでは、建て替えする際の投資費用を確認しました。

買い替え、リフォームについても同様に投資費用がどれだけかかるのを確認し、費用対効果に見合う投資になるのかどうかを確認していきます。詳細は別の記事でお話しします。

 

4.まとめ

少子高齢化が進み、1世帯当たりの人員も減りつつあります。

 

空室を出さないためには、投資をする段階でその地域ごとの特性や、入居者のニーズに沿った物件作りを検討しましょう。

このコラムでは触れませんでしたが、退去後の原状回復や物件の修繕費、大規模修繕といった賃貸経営における維持費などのランニングコストも建てる前からきちんと考慮しておく必要もあります。

 

長期間、賃貸経営をしていると相続の発生も考慮する必要があります。

現金より不動産で保有していた方が税制上の評価は下がるので、相続税がかかる場合には有利なので、これを理由に賃貸経営をされている方も多いです。

ただし、人生の終末近くに慌てて不動産投資をすると、脱税目的と判断されることもあるので、余裕をもって計画を立ててください。

 

収益面でも税制面でも効果的な手段である賃貸経営ですが、安定運営も踏まえ、なにより入居者に選ばれる魅力的な物件にするための初期投資を心掛けましょう。

 

そのためにも、当該地域において十分な実績とノウハウを蓄積・保有している専門家の力を借りることも大切なポイントと覚えておきましょう。




<執筆者プロフィール>

株式会社オフィスヤザワ 矢澤理惠

マイアドバイザー®

平成19年に郵便局を退職し、独立系ファイナンシャルプランナーに転身。知らないと損をする、知っていることの大切さをお伝えするべく活動中。

現在は、相続や、ライフプランニング相談、確定拠出年金などのアドバイスの他、東京・横浜などでマネーセミナーを開催。その他、趣味が高じてカーパーツのショップをオープンし、サーキットイベントなどに携わっています。

 

【保有資格】

CFP®認定者



<監修者プロフィール>

株式会社優益FPオフィス 代表取締役 佐藤 益弘

マイアドバイザー®
Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFP®/マイアドバイザー®として活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。


【保有資格】
・CFP®・FP技能士(1級)・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
・住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)