【アセトラ】不動産投資のメリット・デメリット(リスク)
最終更新日: 2023.11.01
「不動産投資に興味はあるけれど、何から調べればいいの?」
「不動産投資は金融商品と比べると何が違うの?」
「多額の投資資金が必要のように思うけど...」
情報を得るにも、どのような知識が必要かわからず、悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、これから3回にわたり、不動産投資の総論と3つのポイントについてお伝えします。
まず、第1回目は、そもそも不動産投資とは何か、どのようなメリット・デメリットがあるか、などの基礎知識と、投資成功に向けたポイントをご紹介します。
目次
■この記事のポイント
・統計上、不動産投資をしていない理由は、知識が十分でないからと感じている人が多い。
・不動産投資にもメリット・デメリット、リスクがあり、特性がある。
・投資成功のポイントはデメリットを極力解消し、リスクを最小限にすることである。
・投資検討段階から専門家(事業者)に相談することも成功のポイントである。
1.不動産投資とは
不動産投資とは、区分マンションや、一棟アパート・マンションを購入または、不動産クラウドファンディングなどを用いて投資し、利益を得ることを言います。
利益には、賃料のように継続して得られる「インカムゲイン」と不動産を売却して得られる「キャピタルゲイン」があります。
まず、不動産投資と聞いてみなさんはどのようにイメージされたでしょうか?
国土交通省が2019年に行った「個人投資家への不動産投資に関するアンケート結果について」によると、不動産投資経験がない理由として1番多かったのは「まとまった資金がないから」、2番目が「不動産投資の知識がないから」、3番目が「不動産は損をしそうで怖いから」でした。
質問:不動産投資経験がない理由※
1 |
まとまった資金がないから |
7892 |
2 |
不動産投資の知識がないから |
6970 |
3 |
不動産は損をしそうで怖いから |
5377 |
4 |
不動産投資を行う時間的なゆとりがないから |
2735 |
5 |
投資は金持ちが行うものだと思っている |
2502 |
6 |
投資に対するイメージを良く思っていない |
2323 |
7 |
その他 |
374 |
8 |
わからない・何となく |
3020 |
※国土交通省「個人投資家への不動産投資に関するアンケート結果について」を参照し筆者作成
このアンケート結果からは、不動産投資経験がない理由として、「知識がない」「損をしそうで怖い」という、"不動産投資に係る知識が十分でない"と回答した方が相当数いることが分かりました。
そこで、次に不動産投資の知識として、その特徴をご説明したいと思います。
2.不動産投資のメリット・デメリット
不動産投資の特徴を理解していただくために、まずはメリット・デメリットについて、主なものをご説明しましょう。
2-1. 不動産投資のメリット
① レバレッジ効果がある
投資物件の購入の際、借入金と自己資金を組み合わせることにより、全額自己資金で投資するよりも自己資金に対する利回りが向上する効果のことをレバレッジ効果と言います。
実質的な投資利回りより借入金利が低い場合に効果が得られます。
② 安定収入の確保が期待できる
長く住んでくれる入居者がいたり、空室が生じてもすぐに埋まれば、安定的な賃料収入が期待できます。
安定した賃貸経営ができれば、老後の私的年金としても活用できます。
③ 節税効果がある
個人が行う主な不動産投資の対象として一棟アパートやマンション、一戸建て、区分マンションがあります。
これらの建物は減価償却費により所得税の節税効果が期待できます。
また、相続の際は評価減により相続税の節税効果も期待できます。
④ リスク分散効果がある
不動産は現金に比べてインフレに強いという、インフレヘッジ効果(リスクを避ける効果)が期待できます。
2-2.不動産投資のデメリット
① 流動性が低い
お金に戻す際に時間がかかります。
例えば、土地や建物を売ってすぐに換金したいと思っても、金額が高額なためなかなか購入(希望)者を見つけることができず、予定通り現金化することができない場合があります。
ニーズやタイミングが合わない等の理由で売却できなければ、保有し続けなければいけなくなります。
② 維持費がかかる
維持費として、修繕費や管理費、固定資産税等の保有コストがかかります。
また、売却時には仲介手数料や印紙税、譲渡所得税等の譲渡コストがかかります。
③ 投資が長期にわたる
不動産投資は長期保有が前提なので、投資期間中に様々なことが発生します。必然的にさまざまなリスク=不確定要素があります。
代表的なリスクは以下の表の通りとなります。
<不動産投資の代表的な6つのリスク>
1 |
空室・家賃滞納リスク |
空室や家賃の滞納が増えてしまうことによる、収入の減少 |
2 |
家賃下落リスク |
需給関係から家賃自体が下がってしまうことによる、収入の減少 |
3 |
維持コスト増加リスク |
設備費や工事費の値上がりや、老朽化や頻繁な入退去による修繕・原状回復コスト等、支出の増加 |
4 |
金利上昇リスク |
借入金の金利上昇による、支出の増加 |
5 |
入居者トラブルリスク |
入居者のトラブルによる家賃収入の減少と対応にかかる、費用の増加 |
6 |
災害リスク |
火事や水害・地震等自然災害損傷対応費用による、支出の増加 |
上記リスクは一般的には判断が難しいため、投資物件を実際に扱っている専門家(事業者)などに相談すると良いでしょう。
さて、以上が不動産投資の主なメリットとデメリット、リスクについてでしたが、これらのメリット・デメリットやリスクを極力低く抑える方法はあるのでしょうか?
また、どのようにすれば投資が成功するのでしょうか。
3.不動産投資成功のポイント
ここでは不動産投資の特性を理解したうえで、どのようにすれば投資を成功させることができるのか、ポイントをご紹介したいと思います。
3-1.不動産投資の特性
不動産は「財産の3分法(現預金・有価証券・不動産)」と呼ばれているリスク分散対象3つのうちの1つで、不動産投資自体に保有財産のリスクを軽減する効果があります。
前述のインフレヘッジ効果が期待できるのです。
また、投資の3つの基準「収益性」「安全性」「流動性」の観点からは以下の特性があります。
まず、「収益性」の面では安定した賃料収入(インカムゲイン)を得ることができます。不動産価格が下落すれば売却益(キャピタルゲイン)が少なくなるものの、賃料収入を得ながら、タイミングを見計らって売却することができます。
次に、「安全性」の面ですが、不動産・・・特に土地に関してはそれ自体に実物資産として一定の資産価値があることから、比較的安全性が高い資産と言われています。
最後に、「流動性」の面ですが、前述のとおり、現金化するスピードが遅く流動性が低いと言えます。
不動産投資をする際には、これらの特性を理解した上、臨まれると良いでしょう。
ある意味、この流動性の欠如というデメリットを解消するために、投資手法も発展してきました。3つの手法について、ご説明しましょう。
3-2.不動産投資の3つの手法
不動産投資には、不動産所有者が多額の費用を使い、直接投資を行う従来からの「現物投資」の他に、対象となる現物(物件)に間接的に投資する「小口化投資」やJ-REITなど金融商品として投資する「証券化投資」があります。
間接投資の手法を用いることで、投資額の少額化や流動性の向上が実現できるようになりました。
以下は、3つの手法の特徴です。
① 現物投資
1棟の賃貸マンションや商業ビル、戸建て住宅や区分所有マンションの1室など、現物の不動産を保有する投資手法です。
その結果、所得税や相続税の節税効果を得ることができます。
② 小口化投資
不動産特定共同事業法による投資方法です。
1つの不動産を複数の投資家が出資して組合員となり、不動産に投資する手法です。
元々1980年代のバブル経済期に土地を中心に不動産価格が高騰したために出来た投資手法ですが、バブル崩壊後に多くの投資モデルが破綻し、損害が膨らみました。
その反省から不良債権処理の過程で不動産特定共同事業法が誕生し、整理された投資手法です。
③ 証券化投資
J-REITに代表される証券化投資は、不動産を担保にした有価証券等を発行することにより、投資金額の少額化と流動性を備えた投資方法です。
前述の小口化投資では流動性の欠如は完全には解消されなかったため、実際に市場で時価で売買できるようにした手法です。ここまで来ると不動産投資というよりは金融商品に投資している形になります。
以下は3つの手法のメリットとデメリットです。
<手法区分によるメリット・デメリット>
手法 |
メリット |
デメリット |
現物投資 |
比較的安定した投資利回りが期待できる。 建物は減価償却で節税ができる。 老後の年金や、相続税対策として活用できる。 |
投資額が多額である。 流動性が低い。 建物の維持管理、入居者対応など、管理業務が煩雑である。 |
小口化投資 |
投資額が比較的少額である。 少額商品のため、複数の契約によりリスク分散が可能である。 老後の年金として活用できる。 クラウドファンディング型商品もある。 |
流動性が比較的低い。 建物の維持・管理の手間がない。 不動産を担保とした融資が受けられない。
|
証券化投資(REIT)
|
投資額が比較的少額である。 複数の不動産に投資することによるリスク分散が可能である。 流動性が高い。 |
日々、価格が変動する。 分配金が減額する場合がある。 |
※同じ手法であっても、商品によって特性が異なる場合があります。
以上、不動産投資の手法を組み合わせることにより、また同じ手法であっても複数の建物に投資することにより、リスク分散できることが分かっていただけたと思います。
3-3.成功のポイント
例えば、家賃滞納リスクや入居者トラブルリスクは入居者の選定に注意を払えば回避できます。また、災害に備えて保険に入れば災害リスクをカバーすることができます。
煩雑な建物の管理や入居者対応等のデメリットも、不動産管理会社に委託するなどして解消することができます。
このように不動産投成功のポイントは、不動産投資が持つメリットを最大限に活かし、デメリットやリスクを最小限に抑えることにあると言えます。
また、そのためにも、経験を積んだ専門家や事業者に検討段階から相談するようにしましょう。
4.まとめ
今回は不動産投資の基礎的知識の一部、メリット・デメリットや成功のポイントについてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
興味を持たれたら、まずは不動産投資のセミナーに参加したり、事業会社からパンフレットをもらうなどして、情報収集を始めましょう。
不動産を取り巻く環境は変化していきますので、情報のアップデートも大切です。
信頼できる事業者が見つかれば、ご自身に合った投資のスタイルや、投資のタイミングなども相談にのってくれるでしょう。
<執筆者プロフィール>
越原市美
マイアドバイザー®
NTTドコモに長年勤務。ファイナンシャルプランナーの資格を在職中に取得し、退職後2023年より独立系ファイナンシャルプランナーとして開業。ドコモ時代は社内ベンチャーで両立支援情報提供会社「株式会社ダブルスクエア」を設立。現在は地元でシニア向けペーパークラフトボランティアも企画・運営。
【保有資格】
CFP®認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
<監修者プロフィール>
マイアドバイザー®
Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFP®/マイアドバイザー®として活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。
【保有資格】
・CFP®・FP技能士(1級)・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
・住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)
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