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戦略インタビュー

戦略インタビュー

1.2019年度を振り返って 2.市場・事業環境に対する認識と方針、対応策 3.新型コロナウイルス感染症への対応 4.大東建託グループの強み 5.新5ヵ年計画と2020年度の戦略 6.新5ヵ年計画達成に向けて

1.2019年度を振り返って

2019年度の国内外の経済環境・事業環境は、めまぐるしく変化しました。国内経済は、企業業績や雇用情勢の改善が続き、緩やかな回復基調で推移していましたが、その一方で、米中通商問題や英国のEU離脱など、経済政策をめぐる不確実性の高まり、消費増税に伴う消費減退への懸念などにより、先行き不透明感が募る状況が続きました。
 住宅業界においては、2019年4月~2020年3月の新設住宅着工戸数が累計で88万3,687戸(前年度比7.3%減)、当社グループが主力とする賃貸住宅分野においても、金融機関の融資厳格化等の影響により、貸家着工戸数が前年度比14.2%減の33万4,509戸と、19ヵ月連続のマイナス成長となりました。一方で、利便性の高い、安心・快適 な賃貸住宅の需要は引き続き底堅く推移するものと見込まれ、今後は入居需要に基づく健全な賃貸経営支援、防災や環境配慮など多様化する入居者様ニーズに合わせた賃貸住宅の提供など、商品やサービスの質の向上が一層求めら れるようになると考えています。
 当社グループを取り巻く事業環境についても、消費増税、業界内での建築基準法違反や施工不良問題、融資基準の厳格化、働き方改革による労働時間の上限規制など、非常に目まぐるしく、これら環境変化への対応に終始した1年でした。管理・監督体制や社内体制を変更し、万全な体制で2020年度を迎えようとしていた矢先、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に拡大を見せ、当社グループにおいても現在進行形で対応に追われる日々を送っています。(2020年7月27日時点)
 このような事業環境の中、中期経営計画「新5ヵ年計画」(2019年度~2023年度)がスタートを切りました。この計画は、当社グループコア事業(賃貸住宅事業)の盤石な基盤を前提とした計画です。だからこそ私は、2019年4月に社長に就任した際、「12期連続の増収増益」と「建築営業の立て直し」をまず達成すべき目標と定めました。結果として、連結業績は、売上高1兆5,862億93百万円(前年度比0.3%減)、営業利益1,279億56百万円(前年度比0.7%増)、経常利益1,330億28百万円(前年度比0.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益903億80百万円(前年度比0.5%増)となり、12期連続の増益を達成することはできたものの、増収を達成することができませんでした。
 特に、当社グループが成長するために不可欠である建設事業については、完成工事高5,511億3百万円(前年度比9.6%減)、営業利益773億91百万円(前年度比19.2%減)となり、売上・利益ともに前年割れとなったことで、「建築営業の立て直し」という課題も積み残す結果となりました。しかしながら、新5ヵ年計画における賃貸住宅のストックシェアアップ戦略として、他社で建設・管理されている建物の建替需要に対応する「企画営業課」や、商業施設や事業用建物の提案を行う「特建営業課」を新設し、また、賃貸住宅に特化したリフォームサービスの試行を開始するなど、諸施策の展開を進める中で少しずつ手ごたえを感じ始めているところです。新型コロナウイルス感染症の影響下ではありますが、2020年度は、新たに構築した体制を以って目に見える成果を出すことに注力していきたいと考えています。
 不動産事業では、家賃の維持・向上と高入居率の両立、RevPAR※1の定着化促進、他社管理建物の仲介成約数の増加、不動産会社様による成約数の向上などにより、売上高9,736億94百万円(前年度比5.4%増)、営業利益565億14百万円(前年度比28.2%増)、入居者斡旋件数※2  334,854件(前年度比3.6%増)、賃貸住宅の家賃ベース入居率97.2%(前年度比0.2p減)、など、好調に推移しました。また1,165,772戸(前年度比3.8%増)の管理戸数を抱える管理業務に関しても、総合コールセンターの全社導入、AIを活用した家賃査定システムの試験導入など、体制の強化と効率化を図ることができました。
 その他事業については、ガスパルグループのLPガス供給戸数の増加や、介護・保育施設を運営するケアパートナー(株)の施設利用者数の増加などにより、売上高614億94百万円(前年度比7.3%増)、営業利益127億21百万円(前年度比4.3%増)となり、概ね計画通り推移しました。
※1 Revenue Per Available Roomの略。募集家賃×日数稼働率で算出する指標。
※2 大東建託リーシング(株)、大東建託パートナーズ(株)の合計件数(他社管理物件含む)

2.市場・事業環境に対する認識と方針、対応策

前述した通り、当社グループを取り巻く市場・事業環境の変化は目まぐるしく、株主・投資家のみなさまが不安に思われることも多いかと思います。当社グループでは、経営計画書を通して従業員に対し「課題を解決していくことが経営そのものである」と伝え続けています。2019年度においても、環境の変化を成長や改善の機会と捉え、対応を進めました。

アパートローン融資について

融資環境に関しては、賃貸住宅市場全体の好況やゼロ金利政策を背景として、これまでが緩和されていたのであり、現在の環境が正常と認識しています。そのため、2019年度は、金融機関との密な情報交換によって事前の状況把握や内容確認を充分に行い、確実に融資が可能な案件の契約に注力するという堅実な営業に取り組みました。金融機関の融資姿勢もほぼ固まってきた印象ですので、2020年度は適応できた状態で契約することができると考えています。

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(サブリース規制法)

本法律案は、昨今のサブリース運営会社とオーナー様とのトラブル頻発を背景に、運営会社に対し、勧誘時や契約締結時の適切な説明や書面の交付などを求める法律で、2020年12月より順次施行されます。当社グループにおいては、従前より、業務担当部署による契約後再確認、各種営業資料への借上賃料固定期間の明記、グループ会社である大東建託パートナーズ(株)からの説明などの対応を行っていますので、大きな影響はないと考えています。ただし、営業活動の中でオーナー様が誤解しかねない説明をしてしまうなどのリスクはありますので、従業員教育や現場管理を含め、法制化に基づいた対応を徹底していこうと考えています。

施工品質管理について

施工品質管理に対する注目の高まりは、賃貸住宅業界での建築基準法違反や施工不良問題が相次いで発覚したことに端を発しています。当社グループでは、資材の調達から設おります。2019年5月に国土交通省がアパート建設大手17社を対象に行った実態調査においても、当社グループの建物品質、現場管理体制、施工記録システム、並びに検査運用については問題がないことが確認されました。これらを契機として、商品開発の段階から施工品質管理まで、改めて社内体制の確認ができたことは、当社グループにとっても良い機会であったと考えています。

コンプライアンスについて

グループ全体のガバナンス体制の強化は重要な経営課題のひとつとであると認識し、コンプライアンスの徹底、実効的な内部統制の構築などを継続して推進しています。現在進行形で協議・検討を重ねているのが「3線ディフェンスライン」の導入です。1線目がリスクコントロールを行う執行部門、2線目がリスクを監視する管理部門、3線目がリスク管理を行う内部監査と、役割を分離・配分化することで、効果的なリスクコントロール体制の構築を目指していきます。またガバナンスに関しても、ガバナンス委員会での協議を軸とし、社外取締役1/3以上の確保、取締役会の実効性の向上、グループガバナンスの強化など、より一層の強化・向上を図りたいと考えています。

3.新型コロナウイルス感染症への対応

2020年は、新型コロナウイルス感染症拡大によって波乱の幕開けとなりました。目に見えぬウイルスとの戦いは長期戦になると予想され、当社グループにおいても、この未曽有の事態に適応できる新たな仕組みづくりに早急に取り組んでいかなければなりません。
 喫緊の課題は、営業スタイルの改革です。当社グループでは、取り扱う商品が大変高額であることから、これまでダイレクトセールス、フェイス・トゥ・フェイスの営業を基本としてきました。ところが、今般のコロナ禍に伴い、「訪問面談による営業活動自体ができない」という初めての事態に直面しました。特に新規のお客様に対し、訪問面談をせずにいかにして信頼関係を築いていくか、そこでどのように事業の優位性を訴求していくかといったベースを作らない限りは、この非常事態を乗り越えられないと考えています。
 しかしながら、ある意味これはチャンスでもあるのです。従来の環境下では気づけなかった私たちの脆弱性を発見できたことは、発想を変えてみれば幸運であり、それを克服することで、企業力を一段階高めることができます。リモート営業を組み込んだ新しい営業スタイルが確立できれば、効率化にもつながり、今までにない可能性が開けてくるはずです。実際に、商業施設や事業用建物などの法人向け営業活動においてはリモートでのアプローチが成立しており、このような事例をヒントに、新しい営業スタイルの構築を進めていく方針です。またコロナ禍において、各種事業や投資が不安定化する中、建物賃貸事業は、一括借上による家賃の安定支払いを背景に大きな損失を被っていないというポジティブな実態もあります。新型コロナウイルス感染症によって明らかになった強みも、営業活動の後ろ盾になると考えています。
 パンデミックは必ず終息します。しかし、コロナショックを経験した今後は、「withコロナ」を前提とした事業展開を組み立てていくことが不可欠です。新しい生活様式を受けて、その環境下でお客様とのインターフェイスをどう構築し、どう優位性を発揮していくのか。一刻も早く道筋をつけるとともに、「今までできなかったことに挑戦する好機」とポジティブに捉え、幅広くビジネスチャンスを探っていきたいと考えています。

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4.大東建託グループの強み

当社グループの強みとしてまず挙げられるのは、お客様第一のビジネスモデルです。賃貸事業において、「オーナー様の賃貸事業の長期安心・安全・安定経営実現のため、オーナー様や入居者様に対して質の高い賃貸住宅と事業を提供する」という方針を最優先した経営を根幹としていることが特長であり、それが競争優位性として活かされていると考えています。
 オーナー様視点に立ち、良い建物を建てて提供するだけでなく、事業の安定経営をまず大前提とした仕組みをしっかりと考え作り上げた賃貸経営受託システム(35年一括借上)は、その最たる事例です。賃貸事業の企画から、設計・施工、入居者斡旋、管理・運営までのすべてをお引き受けし、修繕費までカバーするプランや35年という長期にわたる借上期間など、オーナー様が抱える様々なリスクを安心に変えるシステムだからこそ、信頼・評価につながり、受注におけるリピート率の高さにもあらわれているのだと思います。あわせて、このようなシステムをワンチーム・ワンストップで遂行できる組織力、企画力、仲介力、管理力、技術力など、多様な力を高いレベルで備えていることは他社にはない強みであり、当社グループの成長の源泉となっています。
 こうした「力」の大もとになっているのは人材力であり、人材は、当社グループにおける最大の経営資源であると考えています。従業員には中途入社組も多く、さまざまな経験や専門性を持った人材が集まっていることから多様性に富み、既成概念に捉われない発想が生まれる土壌があります。また派閥もなく、年功序列ではないフラットな社風により、成果次第で短期間での昇進も可能ですし、営業職であれば、自分の判断で自由に新規開拓ができ、自分の力で成果報酬を得ることができるため、目標に対して高い達成意欲をもって仕事に取り組む組織文化が醸成されています。そうした独特の環境が個々の活躍を後押しし、これまで会社の成長を支えてきました。だからこそ、「夢や将来を託せる企業、誇れる企業」を目指すことで、従業員に成長実感を持ってもらう機会を創出することが、私の責務であると考えています。

5.新5ヵ年計画と2020年度の戦略

賃貸住宅専業会社として平成の時代に成長を果たした当社グループは、住宅分野にとどまらない、総合賃貸業を核とした地域密着型の生活総合支援企業を目指し、2023年度を最終年度とする中期経営計画「新5ヵ年計画」を策定しました。1年目となる2019年度は、コア事業の強化を第一としつつ、新規事業においては将来に向けた「種探しの年」と位置づけ、新たな価値創出に向けて、賃貸事業周辺の未開拓分野へ積極的にトライしました。2年目である2020年度は、コア事業のさらなる強化、深化、および賃貸市場におけるシェア拡大を目指すとともに、見つけてきた種を撒く「種撒きの年」と位置づけ、当社グループがこれまでに蓄え、成熟させてきた賃貸事業のリソースを活用し、コア事業を柱として同心円状に事業領域を拡大していく成長戦略を描いています。
 コア事業である賃貸住宅事業の強化については、先にもお話した通り、建築営業の立て直しが最重要課題であり、特に、着工シェア・ストックシェアともに伸び悩む首都圏エリアを重点エリアと考えています。前述した当社グループの強みであるお客様第一のビジネスモデル、設計から建物維持・管理まで一貫した施工管理体制などを活かし、2019年度に構築した営業組織体制を以って建築営業の強化を図っていきます。同時に、取引先様からの紹介による受注機会の増強、2019年度よりスタートさせたリフォーム事業「DKSELECTReform」の推進、戸建賃貸住宅をはじめとした商品力の強化など、多様な施策を推し進め、収益回復を図っていきます。不動産事業については、もともと無人化・自動化・リモート化を進めていたこともあり、このコロナ禍にあっても好調を維持しています。引き続き、家賃向上や業務効率化に努めるとともに、2019年度より始めた不動産売買仲介やAIを活用した家賃査定システム運用の促進、ストックビジネスの検討を進めていきます。
 総合賃貸業においては、2019年度、ドラックストアやコンビニエンスストアなど、非住宅分野へのアプローチを強化し、想定していた以上の手ごたえを感じることができました。出店企業様とオーナー様とのマッチングも含めて、2020年度も継続強化していきたいと考えています。また、2019年11月に戦略的提携を締結したアジア最大手のフレキシブル・ワーキングスペース事業会社「JustCo Holdings Pte. Ltd.(ジャストコホールディングス社)」との協業によるフレキシブル・ワーキングスペース事業も、新型コロナウイルス感染症の影響で開始時期が流動的ではありますが、2020年度中の稼働開始に向けて注力していきたいと考えています。
 生活支援サービス業について、2019年度は、(株)ガスパルによるメガソーラーの取得、引っ越し不用品の買取りや買い物代行、宅配型収納、カーシェアリングなどの暮らしサービスの試行・拡充、スタートアップ企業との協業を目的としたアクセラレータープログラムの実施など、さまざまな施策をスタートさせることができたと考えています。来期も引き続き、業務提携やM&Aなどを活用しながら、より幅広く、地域の暮らしを豊かにするサービスの提供・拡大に努めます。
 新5ヵ年計画において意識しているのは、“スモール&スピード”スタートです。このような新しい取り組みは、組織を固め、人を集めて大々的に始めるよりも、ミニマムな体制でスピーディかつフレキシブルに動いて突破口を開いていくやり方が適していると考えています。リフォーム事業のように、当社グループのリソースで進めた方が早い事業と、買い物代行や宅配型収納のような当社グループ事業とのシナジー性が高い企業との提携で進めた方が早い事業と、様々な観点から判断をしつつ、よりスピード感を持って新しい事業にチャレンジしていきたいと考えています。

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6.新5ヵ年計画達成に向けて

新5ヵ年計画は、「ステークホルダーのみなさまが夢や将来を託すことができ、その中で継続して成長することができる企業を目指したい」という強い思いを礎に策定したものです。賃貸住宅専業会社であった当社グループが、そのカテゴリーから、住まいや暮らし、ひいてはライフスタイルにまで領域を広げて、さまざまな暮らしのニーズにワンストップで応えることで、地域社会に快適な暮らしや新しい価値を提供し続けている、それが私の思い描いている当社グループの5年後の姿です。
 生活総合支援企業という概念は、どこまででも範囲が広げられるものです。ですから、見つけた「種」は、まずは撒いてみることが肝要です。種を撒き、水をやり、育てて、刈り取るところまで、1年でたどり着けるものもあれば、3年、4年とかかるものあり、一方で、途中で撤退するケースも出てくると思います。また、種を撒くこと自体も毎年継続し続けなければなりません。しかし、情熱と勇気を持ってチャレンジを続け、必要が生じれば改善や方向転換も行い、この取り組みを「毎年実りがある戦略的システム」として定着させることができれば、当社グループが持続的成長力のある生活総合支援企業へと進化を遂げることができると確信できますし、それこそが、私が社長として当社グループの将来のためにやらなければならない責務だと考えています。
 私は、2019年4月1日に大東建託株式会社の代表取締役社長に就任し、この1年、新たに策定した新5ヵ年計画に取り組み、次の成長に向けた基盤づくりと事業領域の拡大に向けてまい進してきました。事業環境の変化の荒波、また、新型コロナウイルス感染症拡大という非常事態も加わった中で、想定通りに進んだこともあれば、進まなかったことも多くありました。率直なところ、現状に満足しているとは言えません。しかし、社外はもちろん、社内に対しても、新しい方向性と挑戦する姿勢を示せたことで、現場における意識改革は確実に進んでいると感じています。引き続き、新5ヵ年計画の達成を目指し、グループ一丸となって取り組みを推進していく考えです。ステークホルダーのみなさまには変わらぬご支援を賜りたく、重ねてお願い申し上げます。

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