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2020年の3大入居者トレンド「リモートワーク」「外国人入居者」「一人暮らし」

公開日: 2022.10.28

最終更新日: 2022.11.04

新型コロナウイルス感染症の拡大、いわゆる「コロナ禍」において、在宅勤務やリモートワークが注目されています。しかし、実はコロナ禍よりも前から、リモートワークを実施する企業が増えてきていたことをご存じでしょうか。本記事では、こうした2020年の最新トレンドを「リモートワーク」、「外国人入居者」、「一人暮らし世帯」の3つのテーマに分けてお伝えしていきます。

この記事のポイント
  • リモートワークにおける一人暮らし社会人が求める部屋の設備第1位は「Wi-Fi」で82%

  • 今後人口が減少する日本において外国人の方の入居対策はしておくべきことの一つ

  • リクルート発表による2020年トレンド予測は「職住融合」

リモートワーク需要拡大による職住融合

2020年の入居者トレンドにおいて外せないポイントとして、やはりコロナ禍によるリモートワーク需要拡大が挙げられるでしょう。

ここでは、リモートワークの需要が拡大することで起こりつつある変化にポイントを当てていきたいと思います。

リモートワーク実施者は年々増加傾向

コロナ禍によりリモートワークに注目が集まっていますが、実はコロナ禍以前よりリモートワークを実施する企業は年々増加傾向にありました。

「情報通信白書令和元年版」によると、企業のテレワーク(リモートワーク)導入率は2013年には9.3%でしたが、2018年は19.1%まで上がっています。

また、同データでは企業の規模別のテレワーク導入率も記載されており、これによると2,000人以上の従業員がいる企業では46.6%もの企業でテレワークが実施されていることが分かります。

参考:総務省「情報通信白書令和元年版」

もともとこうした下地があったところに、コロナ禍の影響を受けたことで、さらに多くの企業がリモートワークを導入していくと予想されます。

書斎プランの導入がブーム?

コロナ禍により、自宅で仕事をする人が増え、賃貸住宅であっても、自宅内の仕事環境を整えたいという声が聞かれるようになってきています。

こうした声に対して、室内に執務スペースを設けたり、共用部にワークスペースを設けたりすることで入居率をあげる工夫のされた賃貸物件も今後増えていくと考えられます。

リモートワーク需要が一過性のものである可能性もあるため、あまり大規模な工事は控えておきたいところですが、執務スペースを作る程度であれば、入居者自身でパーテーションを設けるなど比較的に低価格で対応することもできます。

空室がある場合、オーナーがあらかじめ改装などを行い、そういったニーズに応えられる対応をしておくことで、潜在的な入居者の需要を拾える可能性があるでしょう。

職場の近くに住む必要性が薄れる

また今後、さらにリモートワークの導入が推進されるようであれば、賃貸業界において新しい常識が生まれるかもしれません。

不動産の地価や賃貸物件の賃料は、主要駅からの徒歩距離が近いことや利便性が良いほど高くなる傾向にありますが、リモートワークが定着して通勤の必要性が薄れると、駅の近くに住む必要性も薄れ、郊外のアパートにも今まで以上のニーズが出てくる可能性があります。

リクルート住まいカンパニーが実施した「テレワーク×住まいの意識・実態調査」によると、テレワークをきっかけに引っ越しを実施したり、検討したり、希望したりしている人の割合は53%となっています。また、引っ越しにあたって通勤時間が延びてもよいとする人の割合は57%と、半数以上であることが分かります。

以上のような意識の変化が今後どのように推移するか、見守る必要はありますが、現状やトレンドを把握しておくことは大切でしょう。

参考:リクルート「テレワーク×住まいの意識・実態調査(2019年)」

外国人入居者受け入れで空室対策

次に、外国人の入居者受け入れについて詳しく見ていきましょう。

外国人留学生の推移

2019年時点では、東京2020オリンピックやアベノミクスによる円安効果もあり、外国人観光客が増加したのに加えて、外国人留学生の数も増加しました。

JASSOによる「2019(令和元)年度外国人留学生在籍状況調査」では、2010年には14万人程度だった外国人留学生の数は右肩上がりに上昇しており、2019年では約31万人と倍以上に増えています。

参考:日本学生支援機構「2019(令和元)年度外国人留学生在籍状況調査」

外国人留学生を入居者として迎える対策も、空室対策として有効な手段となりえるでしょう。

急な失踪は保証会社利用でカバーできる

外国人を入居者として迎える際のリスクとしては、家賃を数カ月滞納された後に、家賃や退去費用も受け取れないまま帰国されてしまうことが挙げられます。

この問題に関しては、入居時に、外国人入居者も対応している家賃保証会社と契約することを義務付ければ、有効な対策となるでしょう。

多言語対応が可能な管理会社への委託を検討しよう

外国人入居者を受け入れる際に課題となるのは言語です。外国人入居者を入居者として迎え入れた場合、入居時の手続きだけでなく、居住後の連絡などで意思疎通がうまく図れず、トラブルを引き起こしてしまう場合があります。この問題を解決するために重要になるのが管理会社です。現在は、多言語対応が可能な管理会社も複数あり、こうした管理会社に委託する事で、以後のトラブルを未然に防ぐリスクヘッジとなりますので、選択肢としてぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

コロナ禍収束後の受け入れ態勢準備を

2020年現在は、コロナ禍のため来日する外国人の数が減っています。しかし、労働人口が減少し、外国人労働者の需要が高まる可能性のある日本において、外国人に対応できる体制を整えておくことは、賃貸経営にプラスとなるでしょう。

言語の違いなどといった課題について、早くに対策を取ることで他の賃貸物件との差別化につなげることができるでしょう。

一人暮らし用居住物件の需要増、求められる間取りや設備は?

最後は、今後想定される一人暮らし居住用物件の需要増加と、その対策についてご紹介します。

2025年にはすべての都道府県で単身世帯が最多

国立社会保障・人口問題研究所によると、2015年時点での生涯未婚率は男性23.37%、女性14.06%となり、過去最高を更新し続けています。

日本全国の単身世帯が増加傾向にあり、2025年には、全ての都道府県で単身世帯が最多になることが予想されています。

参考:国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)(2019年推計)」

以上の結果は賃貸物件の需要においても影響があると推測され、トレンドを踏まえた対策が求められるでしょう。

一人暮らしの方が求める間取り

生活用品の製造販売を行うアイリスオーヤマが2017年に実施した一人暮らしに関するアンケート では、一人暮らしの間取りの傾向について10年前と比較すると、1Rが減り、2K以上が増えていることが分かります。

一人暮らしをターゲットにした賃貸経営を行う際には、参考にしてみるとよいでしょう。

リモートワーク化で居住空間に必要と思う設備第1位は「Wi-Fi」

上でも述べたように、リモートワークが増えていく現在、一人暮らしをする人にとってもリモートワークに適した物件かどうかは賃貸住宅を選ぶ際に重要なポイントになっています。

不動産売買や不動産サービス事業を行うS-FITのグループ会社による、2535歳のリモートワークを行う社会人を対象とした調査では、リモートワーク下において必要だと思う設備としてネットワーク環境(Wi-Fiなど)が82.0%という圧倒的な数値で1位になっています。

また、現在の住まいでリモートワークをするにあたって、インターネット回線が遅いなどネット環境にストレスを感じると回答した方が64.9%と多数を占めており、現在の設備では不十分と感じている方が多いことが分かります。

参考:株式会社S-FIT「一人暮らしの社会人、物件に求める条件1位「ネットワーク環境」2位「テレワーク用デスク・椅子」 約7割がテレワークにより住居選択軸が変化と回答」

こちらも、特にコロナ禍において一人暮らしをターゲットにした賃貸経営の参考になるのではないでしょうか。

まとめ

アパートを経営されている方、アパート経営を考えている方に向けて「リモートワーク」、「外国人居住者」、「一人暮らし世帯」の3つをテーマに、2020年の入居者トレンドをご紹介しました。

コロナ禍により今後、賃貸市場は大きく変わっていく可能性があります。すでにアパート経営している方も最新動向に気を配り、入居者のニーズに合った物件になっているか、本記事の内容を参考に考えてみてはいかがでしょうか。

監修者プロフィール
中村裕介(宅地建物取引士、保育士)

商社、保育園、福祉施設での勤務を経た後、現在は不動産記事を中心としたライター業と、店舗・住宅を提供する不動産経営者としても活動中。

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