認知症をお持ちの方の介護施設からの離設を検知するサービス事業化に向け、実証実験スタート!

~ 認知症の方の安心を守り、ご家族と介護スタッフの負担を軽減します ~

技術・サービス

大東建託グループでは、認知症の方の安心を守り、介護施設やご家族の負担を軽減することを目的に、認知症の方が目的なく歩き回る事象を検知する介護補助サービスの事業化に向けた実証実験を2024年8月より開始しました。

介護、保育事業全般を運営する大東建託グループのケアパートナー株式会社と、紛失防止タグを活用しさまざまなサービスを展開しているMAMORIO株式会社(※1)と共同で、介護施設内から施設外へ離設(※2)した認知症の方を即時に検知し、事故を未然防止するサービスの事業化を目指しています。

※1 MAMORIO株式会社:「なくすをなくす」をテーマに世界最小クラスの紛失防止タグ「MAMORIO」をはじめとしたさまざまな製品・サービスを提供 
URL:https://mamorio.jp/
※2 介護施設や老人ホームなどで利用者が無断で施設から出て行ってしまうこと

事業化構想の背景

【超高齢化社会に伴い、認知症の方が増加傾向に】
 日本では、高齢人口(65歳以上)の割合が21%を超え、2017年に超高齢化社会になりました。今後も高齢化率は高くなり、2025年は約30%、2060年には約40%に達すると予測されています。

 それに伴い、認知症の方も年々増えており、2060年には1,100万人を超え、65歳以上の5.4人に1人が認知症を発症すると予測されています。

出典:内閣府「平成29年度版高齢社会白書」

【認知症の方の現状】
 2022年の認知症に関わる行方不明者数は、年間18,709人と10年前の約2倍と年々増加傾向にあります。認知症やその疑いがあり、中には自分の名前や住所が言えず、自宅に帰れなくなってしまう人がいます。警察への届け出も増えており、9割以上の方は見つかって保護されていますが、毎年のように100人を超える方が行方不明のままで、死亡して見つかる人は2022年、1年間で491人に上っています。

 また、徘徊から発見までに要する時間をみると「3時間未満」約10%、「3~6時間未満」が約25%、「6~9時間未満」が約15%と、9時間未満に半数の方が発見されています。徘徊から9時間以上経過した場合、発見率が下がります。

出典:警視庁調べ nipponn.com「認知症行方不明者の推移」

出典:NHKクローズアップ現代「認知症行方不明者 1万8,000人の衝撃」

【他サービスの発想転換から生まれた】 
 認知症を発症する方の数は今後も増加し、目的の無い歩き回りによる行方不明者の数も増加すると推測されています。徘徊から9時間を経過すると発見率が下がり、死亡事故等のリスクが高まります。このことから、周囲の人がご本人の意図のない行動を一早く検知し、その後の通報や捜索などの初動を早くすることで発見率を上げ、最悪の事態を防げるのではないかと考えました。

また、認知症の方と共に生活するご家族や、デイサービス等の介護施設で働くスタッフの不安や負担を少しでも軽くできないか?そこで思い浮かんだのが、当社の新規事業としてまもなく運用開始予定の「盗難自転車探索サービス」(※3)の仕組みを利用し、離設検知にも活かすサービスの構築に取り組み始めました。

※3 盗難自転車探索サービス

離設検知サービスとは

介護施設から離れたことを検知し、介護スタッフへアラートを発報する。 介護施設から離れたことを検知し、介護スタッフへアラートを発報する。

【複雑な設定が不要、必要最低限のICT設備で構築可能】
 介護施設内ではタグを装着した衣服や靴等を認知症の方に身に付けていただき、施設内に複数箇所設置したタグの電波受信機との通信で離設を検知します。
タグの電波受信が一定時間遮断している場合、アラートを発報し同時に指定した電話番号へ発信(複数登録可)して離設を知らせます。

実証実験

ケアパートナー株式会社のデイサービス2拠点、グループホーム1拠点で下記3点の検証を行っています。

【現場の様子】
 8月上旬に実施したケアパートナー馬橋での検証の様子です。当日は施設の間取りを確認し、施設内の出入り口や窓等、離設の危険がありそうな場所に受信機を設置した後、3つの検証項目の現場実証を行いました。

 施設の間取りを確認し(写真①)、受信機を出入り口や窓の近く等、適切な場所に設置します。(写真②③)

タグを持った認知症の方役のスタッフ(以下、離設者役)が施設外に出るとアラートが発報されます。
同時に離設検知設定を登録したスマホにも連携し、離設を知らせるガイダンスが流れます。

3回の検証で、結果3回とも離設を検知し、離設者役を見つけることができました。(離設者役のスタッフは、70歳の健康な男性の歩行スピード1.4m/秒を意識して移動しました)
※厚生労働省 年齢別体力基準より


今後の展望

 現在までの検証結果として、3つのクリアすべき検証項目については特に大きな問題が無く、他の施設でも順調に検証が進んでいます。しかし、検証で発生した誤検知の防止および、施設の規模に合わせたタグ受信機の設置場所や設置個数を確定させることで検知精度の向上を目指し、サービス化実現に向けて取り組んでいきます。

まとめ

 大東建託グループは、皆さまの「くらし」そのものを支える企業へと成長・変革することを目指しています。
今回ご紹介した『認知症患者様離設検知サービス』は、私たちの身の周りで起きている社会課題に目を向け、当社グループの強み、デジタルテクノロジー、社員自らの発想力を掛け合わせることで、社会課題解決に挑戦した一例となります。

 今後も大東建託グループが新たな提供価値を生み出せるよう、チャレンジを続けていきます!

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