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技術者が働き続けられる企業を目指して

建設業従事者の減少と高齢化が深刻化する建設業界において、性別や国籍などを問わず、すべての技術者が長く働くことができる環境を整えることは、業界全体の重要課題です。そのような背景と社会的な女性活躍推進が相まって、近年、建設業における女性技術者の比率は上昇傾向にあります。一方、高所作業や運搬作業が多い施工管理の仕事は、妊娠中や出産を経て子育てをしながら働く女性にとって容易な仕事ではなく、ライフイベントを機に施工管理職から離れてしまう女性も少なくありません。

ライフイベントを理由に、彼女たちの培ってきた知識や技術を無駄にしてほしくない・・・そんな思いから大東建託では、ライフイベントを迎えた女性の施工管理職が、安心して長く働くことができる新制度『女性施工管理職向け職種転換制度』を新設しました。

今回はその新制度をご紹介するとともに、当社で施工管理職として働いた経験がある女性社員のお二人に「施工管理職とライフイベント」について聞いてみました!
施工管理職とは?
建築工事の現場技術者を指揮監督し、安全・品質・工程・原価などの現場管理を行う、一般的には「現場監督」と呼ばれる職種です。

ざっくり説明!『女性施工管理職向け職種転換制度』

制度の概要
施工管理職に従事する女性社員が、ライフイベントに合わせて、一定期間別の職種で勤務を継続できる制度

○妊娠判明後:
危険を伴う現場業務から離れ、知識やスキルを活かし、施工管理業務をサポートする事務職で勤務を継続することができます。

○育児休業後:
復職から子どもが8歳になるまでの期間、「施工管理職」に加え、「設計職※」「積算職」の3つの職種から、希望の職種を選択できます。適用期間後、施工管理職に復職、設計課・積算課は空き状況により継続も可能です。
※設計課は二級建築士資格保有者が対象


制度のポイント!
      
  • ライフイベントと仕事の両立に対する不安を軽減
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  • 女性社員の長期的なキャリア形成を支援
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  • 復職のステップを踏むことで、育児と仕事の両立をサポート
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制度の活用イメージ

なぜ「ライフイベント」と「施工管理」?
本制度を検討するにあたり、当社では2022年7月、施工管理職に従事する女性社員全員を対象としたアンケートを実施しました。

その結果、施工管理の仕事を続けるうえで「ライフイベントと仕事の両立に対する不安がある」と答えた社員は65%にのぼり、また、79%の女性社員が、妊娠や出産後の施工管理職への復職に不安を感じていることがわかりました。

新制度について、施工管理職経験者のお二人に聞いてみました!

左:徳本さん、右:杉野さん 左:徳本さん(現役の施工管理職として活躍中) 右:杉野さん(施工管理職の経験有り、現在は本社部門で活躍中)

女性が施工管理職として働きながらライフイベントを迎えることについて、どのような不安や課題があるのでしょう
徳本さん:
当社に限らず、施工管理という職種で女性が活躍し始めたこと自体が最近なので、ライフイベントと仕事を両立して活躍しているロールモデルがほとんどありません。なので、施工管理職として自分が長く働いている姿がなかなかイメージできないところに不安を感じます。

また、施工管理職は担当する建物の着工から完成まで責任を持つという職種であるため、いざ休みを取るとなった時には、オーナー様や同僚など、周りの方の負担を増やしご迷惑を掛けてしまうという不安も感じます。


杉野さん:
地域や時期にもよりますが、当社の場合は、一人で複数の現場を担当することが多いですね。私の地域では昨年からチーム制になったとはいえ、一人が抜けてしまうと、他の社員の担当現場が増えることになるので・・・負荷を与えてしまうという不安や申し訳なさはあります。

また施工管理職って、朝が早いことが多いんです。復帰した後も、変わらず業務開始時刻が早いとなれば、例えば「出勤時間に、まだ保育園が空いてないのでは?」といった不安もあります。


ポイント!
      
  • 女性活躍創成期の施工管理職には「ロールモデル」がいない…
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  • 着工から完成までの責任を負う施工管理職だからこそ「休む」ことで空く穴が心配…
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  • 朝が早い日が多く、生活パターンが変わった時の影響が心配…
  •   
この制度、率直にどうでしょう?どんな不安が解消されると思いますか?
徳本さん:
会社が従業員に寄り添ってくれているなと感じます。すぐに制度を使用する予定はないのですが、ライフイベントが起こっても相談できるという安心感はありますね。とはいえ、まだ制度ができたばかりなので、実際にこの制度を使用するとなった時の周りの反応や、周囲の方にかかる負荷に対する不安は拭えません。

制度の有無にかかわらず、周りの方の協力は不可欠だと思うので、制度の推進ももちろんですが、制度利用者をサポートしてくれる施工管理担当者の負荷軽減も検討していってもらえると嬉しいです。


杉野さん:
現場への復職って、例えば施工管理のシステムだったり、検査項目や記録写真を撮影する箇所だったり、たった数カ月でも結構変わることが多いんです。建物に関わる重要事項の場合も多いので、ならし期間が必要だと感じていました。なのでこの新制度を活用することで、いきなり現場に戻るのではなく、事務職を選択して変化を知る期間があることはとても良いことだと思います。

またこの慣らし期間は、仕事と育児の両立にも良い期間だと思います。例えば、どれくらいの頻度で子どもが熱を出すだろうとか、子どもの成長過程で状況に応じて自身の仕事とのバランスを見ながらその後の働き方を検討していく機会にもできると思います。子育てしながら施工管理職を続けるという選択肢があることは、率直にありがたいです!


ポイント!
      
  • システムや検査項目等の変更を把握する「慣らし期間」にできてうれしい!
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  • 子どもの成長状況と自身の仕事と、バランスを見ながら働き方が検討できる
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  • 制度の利用のしやすさや同僚への業務負荷はやっぱり心配…制度利用者もそうでないそれをサポートする人も働きやすい環境になってほしい
  •   
長く技術者として働くために、会社に期待することは何ですか?
徳本さん:
仕事のやりがいに私たちが純粋にやりがいを感じられるよう寄り添ってほしいですね。技術者として、建物が完成したときはやっぱりうれしいですし、やりがいを感じます。そのやりがいを感じるためには、プライベートに不安がない状態で働けるということが不可欠だと思います。
今回の制度同様、可能な限り不安なく、やりがいを感じられる環境を整えていってほしいです。


杉野さん:
今回は女性を対象にした制度でしたが、男女関係なく、すべての施工管理職が働きやすい職場環境を目指してほしいです。たとえ制度を利用して施工管理職に復職しても、現場全体が無理をしている状態、いっぱいいっぱいの状態だとしたら、「子どものお迎えがある」「子どもが熱を出してしまった」など、イレギュラーな相談は言い出しにくいと思います。
誰もが余裕をもって、いきいきと働ける現場を目指していってほしいですね。


ポイント!
      
  • 技術者が「やりがい」を感じられるよう、仕事以外の不安を払拭してほしい!
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  • 女性だけでなく、すべての施工管理職がいきいきと働ける環境を目指してほしい!
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すべての技術者が、長く安心して働くことができる環境を

新制度によって、ライフイベントを迎えることに対する不安はもちろん、技術職が復職するために必要な「慣らし期間」にもなるなど、仕事とプライベート双方の不安の払拭に繋がる制度であることが分かりました。とは言え、まだまだできたばかりの制度。使用に際しての不安や復職後の働き方など、「働きやすい現場」に向けて、まだまだ伸びしろはあります!

労働人口も建設業従事者も減少するなかで、技術者に選ばれる、技術者が長く働ける環境を整備することは、将来的な当社グループと社会の成長にも繋がります。大東建託グループは、今後も現場従業員の意見を取り入れながら、技術者が性別を問わず、安心して長く働くことができる環境を目指します!

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