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再建築不可物件は建て替えできる?抱えるリスクとよくある誤解

公開日: 2022.10.28

最終更新日: 2022.11.08

最終更新日:2022年8月3

再建築不可物件とは、現在建てられている物件を解体して新たな建築が認められていない土地のことです。

建築当時は問題なかったものの、建築基準法が改められ、現在の基準では条件を満たせていない物件が該当します。

具体的には接道義務を満たしていない物件のことで下記、3つのケースがあげられます。

    • 道路に面していない
    • 道路に接している建築物の敷地(間口)が2m未満である
    • 接している道路が幅員4m未満の道路か私道である


再建築不可物件は建て替えや増築ができず、土地活用の選択肢が限定されるため、購入をためらう方が多いでしょう。

しかし、再建築不可物件を建て替え可能にする方法もあるので、購入を検討する場合は、建て替え可能にできるかどうか把握したうえで判断することをおすすめします。

1.再建築不可物件が建て替え可能になる方法

再建築不可物件に設定される理由としては、建築基準法で定められた道路(幅員4m以上)に建築物の敷地が2m以上接していないことがあげられます。

したがって、建築基準法の条件を満たせば新しい建物が建築可能となります。
条件を満たす方法を3つ紹介します。

1-1.隣地を購入する

所有する土地が建築基準法を満たしていない場合、隣地(隣接している土地のこと)を購入することで解消する方法があります。

この場合、道路に面していない土地や、道路に接している建築物の敷地が2m未満であるために再建築不可となっている土地が該当します。

前者は土地の範囲を広げて接道義務を果たす、後者は間口を調整して2m以上にすることによって建築基準法の基準を満たすことが可能となります。

しかし、隣地の所有者との売買交渉は簡単ではないので、安易に考えないことが大切です。

交渉に時間がかかりやすいうえ、隣人に売却する意思がなければ、相場より高い価格での取引が必要になる可能性が高く、費用対効果のことも考えなければなりません。

隣地の所有者が土地を手放したいと思っていれば買い取れるケースはあるものの、あくまで実現可能なケースの一つとして考えるべきでしょう。

1-2.物件をセットバックして接道義務を満たす

セットバックとは建物の敷地を後退させ、土地の一部を道路として確保することをいいます。

セットバックが可能な広さがある物件の場合、接している道路の幅を広くすることで、建て替え可能な条件を満たせることがあります。

例えば接している道路が幅員4m未満であるために、再建築不可になっている物件の場合、セットバックを行い建物が接している部分の道路を4m以上に調整することで、建て替えが可能となります。

なお、セットバックを行うことで幅員が4m以上となり、建築基準法上の条件を満たした道路のことを「42条2項道路」または「みなし道路」といいます。

道路の条件

再建築の可否

幅4m以上の道路に接していない

不可

セットバックで幅4m以上の道路

可能

1-3.43条但し書き道路の認可を受ける

そのほか、特殊な事例として「43条但し書き道路」の認可を受ける方法があります。

43条但し書き道路とは、建築審査会の許可を受けた特別な道路のことであり、この道路に接していれば、建築基準法上の接道義務を満たさない物件でも、特例として住宅の再建築が認められます。

43条但し書き道路は実際の建築基準法の条文によると、以下のように規定されています。

建築基準法第43条

「その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの」

なお、43条但し書き道路として認められるためには、建築審査の申請が必要です。

もちろん、申請をすれば必ず許可されるわけではなく、周囲に公園や緑地、広場など広い空地があるなどの理由がなければ通りにくいことを理解しておきましょう。

【引用】建築基準法第43条第2項第2号

2.再建築不可物件が抱えるリスク

再建築不可物件はいくつかのリスクを抱えています。
以下に主なリスクとして2点を紹介します。

2-1.出口戦略が少ない

再建築不可物件は新たに建物を建築できないため、活用方法が限られてしまいます。

一般的な土地活用の場合は「物件を売却する」「更地にして売却する」など複数の出口戦略が考えられることから、再建築不可物件は一般的な物件よりも流動性が低くなりがちです。

また、土地が持つ制約が多いので、売却価格は低くなり、買い手も見つかりにくい傾向にあります。

2-2.リフォームの費用がかかりやすい

再建築不可物件を活用する場合、リフォームがほぼ必須です。

建築基準法が制定される前に建てられた築古物件が多く、老朽化が進行している可能性が高いためです。

また、再建築不可物件をリフォームすれば、内外装を新しくすることはできますが、その他に多数の修繕が必要になる場合があります。

もし構造躯体の劣化が進行していると、地震が発生した場合に倒壊する恐れがあるため、耐震性を強化する工事が必要なケースが考えられます。

建物の構造躯体に関わる工事は、費用が高額になりやすいので、資金調達の負担が大きくなることが予想されます。

ただし、再建築不可物件の場合、建築確認申請が必要となる大規模リフォームは工事が認められません。
建築確認申請が必要なケースとは「主要構造部1/2以上の修繕、模様替え」であるため、再建築不可物件をリフォームする場合は、この基準以下の工事の規模に抑える必要があります。

3.再建築不可物件に関する誤解

再建築不可物件は「価格が安価」「資産価値を上げられる」などのメリットもあります。

しかし、こうしたメリットの裏にはさまざまなリスクが含まれていることも事実です。

以下に再建築不可物件の注意点や誤解されやすい特徴をまとめます。

3-1.購入に必要な初期費用を抑えられる

さまざまな制約がある関係上、再建築不可物件は安価であることが多くなっています。

そのため、買主が初期費用を抑える手段としては、有効な選択といえるでしょう。

しかし、新築や築浅の中古物件と違い、メンテナンス費用やリフォーム費用の負担が大きいので、トータルのコストは高額になることが予想されます。

また、再建築不可物件は施工上の条件が悪いことから、一般的な中古住宅より工事費が割高になる傾向にあります。

例えば再建築不可物件は物件に接する道路が狭いケースがありますが、こうした状況の場合、工事用の資材の運搬や工事車両の出し入れが難しく、作業がスムーズに進まないため、工程が長引き費用を増加させる要因になります。

3-2.購入後に資産価値を上げられる

リフォームやリノベーションを実施して、資産価値を上げること前提で再建築不可物件を購入する方もいるでしょう。

しかし、購入後に資産価値を上げる方法はかなり限定されています。

仮にリフォームによって物件の状態が改善され建物の価値が上がっても、立地は変わらないことから、土地の価値は原則として上昇しません。

立地条件にもよりますが、不動産は土地の価格に左右される割合が大きいため、大幅な改善にはつながらない可能性が高いといえます。

また、隣地の購入、セットバックといった方法で建築基準法の条件を満たし、再建築可能とする方法はありますが、隣地の購入は隣地の所有者次第な一面もあり、難易度が高いのが事実です。

3-3.更地にして活用できる

再建築不可物件を解体して、更地にしてから土地活用する選択肢もあります。

建物の建築はできませんが、更地で活用するのは法律上、問題がないためです。

しかし、再建築不可物件は土地の条件が悪いため、更地による活用をしても、十分な収益を上げられない可能性があります。

例えば更地にした後、土地を駐車場に変えようとしても、狭い道路に面している場所では需要は見込めないでしょう。

また、そもそも更地の活用はアパートやマンションといった賃貸物件などと比較して、収益性が低いという欠点があります。
それに加えて土地の条件が悪ければ、集客は見込めず、最悪の場合、赤字経営に陥るリスクも考えられます。

4.再建築不可物件はリスクの把握が重要

再建築不可物件は安価に購入できる反面、建て替えができず、活用方法が限られるデメリットがあります。

建て替え可能にする方法はいくつかあるものの、土地の場所や隣地の所有者の考えに左右されるため、簡単にはできないのが現実です。

もし不動産投資を目的に再建築不可物件を購入する場合は、リスクを十分に把握して慎重に検討する必要があるでしょう。

また、再建築不可物件に限らず、不動産投資を成功させるには適切な物件や立地選びが重要であるため、自分の知識だけに頼らず、実績が豊富な専門家や不動産業者に相談するのがおすすめです。

大東建託では土地活用や賃貸経営の相談やサポートを無料で受け付けています。

土地活用のノウハウや物件情報に関して疑問点があれば、不動産の専門家が対応しますので、ぜひお気軽にご相談ください。



監修者プロフィール
伊野 文明

宅地建物取引士・FP2級の知識を活かし、不動産専門ライターとして活動。賃貸経営・土地活用に関する記事執筆・監修を多数手掛けている。ビル管理会社で長期の勤務経験があるため、建物の設備・清掃に関する知識も豊富。

【保有資格】
・宅地建物取引士
・FP2級
・建築物環境衛生管理技術者

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