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【2024年(令和6年)公示地価発表】 今年は全国的に全用途で上昇、要因や対策なども徹底解説!

公開日: 2024.03.29

最終更新日: 2024.03.30

 

2024年(令和6年)3月26日、ついに令和6年の公示地価が発表されました。

公示地価の変動は賃貸経営に大きな影響を及ぼすので、しっかり確認しておきましょう。

今回は、最新の公示地価の動向と、要因や対策などについて詳しくお伝えします。

 

1.2024年公示地価発表!


公示地価の詳しい内容については後述しますが、まずは自身が関係している、またはこれから関係しようとしている地域の動向を知っておきましょう。

1-1.今回は全国的に全用途で上昇!


今回、発表された最新の公示地価は以下の通りです(単位は%)。

公示地価の概要.png

出典:国土交通省 令和6年「公示地価の概要

 ※表示は前年と比べて、どの程度変わったかという変動率

 

この通り、全国的に住宅地、商業地のいずれも上昇しました。中でも三大都市圏の、特に商業地の上昇幅が大きい点が特徴的です。
また地方圏も、特に地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)の上昇幅が際立っています。

昨年まで唯一出遅れ感のあった地方圏(その他)も商業地も含めて上昇に転じました。

 

一つの見方ですが・・・三大都市圏では昨年に引き続き新型コロナからの回復が順調で、その流れを地方圏で中心市街地に広がりが続いているといえるでしょう。

 

1-2.高額地点、上昇率ランキング


三大都市圏の住宅地、並びに商業地の最高価格・最大上昇変動率については以下の通りです。

 

公示地価の概要2.png

出典:国土交通省 令和6年「公示地価の概要

 

全国の最高価格地点は昨年同様、住宅地では東京都港区赤坂1丁目、商業地では東京都中央区銀座4丁目となっています。

標準値価格と見比べても、いかに東京の地価が突出しているかが分かります。

 

全国の住宅地、並びに商業地の上昇率上位については以下の通りとなっています。

 

令和5年公示地価の概要.png

令和5年公示地価の概要2.png

出典:国土交通省 令和5年「公示地価の概要

 

上昇率については、昨年は北海道エリアで上昇地域が目立ちましたが、人やビジネスの流れに沿って変動しているようです。

 

例えば、住宅地3位の沖縄県宮古島市は、新しいテーマパークの「ジャングリア」や、それに伴うホテル建設ラッシュなどが背景かと思われます。

 

商業地で12位となった熊本県大津町・菊陽町は、世界的な半導体メーカーである「台湾積体電路製造(TSMC)」の進出が原因の様子です。
また商業地4位の長野県白馬村は、海外からのインバウンド需要がコロナからの回復を受けて再燃したことに加え、シンガポールの5つ星ホテル「バンヤンツリー」を筆頭に、高級ホテルの開発が進められている背景が影響していると思われます。


2.そもそも公示地価とは


公示地価とは、「国土交通省(国)が発表する全国的な土地価格」です。

全国に26000ヶ所ある「標準地」の11日時点での地価を毎年、3月中旬頃に発表しています。

毎年、決まった場所の現在価格が国から公的に発表されるので、その周辺の地価が「前年と比べて(どの程度)上がったのか、下がったのか」の把握が極めて簡単です。

 

公示地価も含め地価が変動する大きな要因は「人気≒有効需要」と「利便性の向上」です。
利便性が高く人気が高い土地ほど需要=ニーズが高くなり、価格も上昇します。逆に利便性が低く人気が低い土地ほど価格は下がるのが基本です。

 

公示地価の変動は、直接的な土地価格以外にも複数の影響が出てきます(詳しくは後述)から、賃貸オーナーとして、しっかり毎年、動向を把握しておきましょう。

 

2-1.公示地価は何のためにある?


公示地価には、「取引の指標」とともに、「税金徴収の際の金額の根拠」や「土地収用の際の金額の根拠」などの意味合いがあります。
土地収用の際には、そのまま公示地価を元に判断します。

 

つまり、公示地価が土地価格の目安の一つになります。

 

実際の売買価格を「実勢価格」といいますが、これはおおむね公示地価の1.11.2倍が一つの目安です。
ニーズが高くなれば公示価格より上振れしますし、逆にニーズが低ければ公示価格より下振れします。

ですから、ニーズが高い都市部などでは公示価格の1.11.2倍以上になることも多々あります。

 

税金徴収においては、相続や贈与の際に使われる「相続税路線価(公示地価の約80%)」と、固定資産税や不動産取得税などの計算の際に使われる「固定資産税評価額(公示地価の約70%)」に、それぞれ影響します。

 

これらを簡単にまとめると、以下の通りです。

 

名称

使われ方

価格目安

実勢価格

売買時の価格目安

公示地価の1.11.2

公示地価

土地収用時の価格目安

公示地価

相続税路線価

相続や贈与時の評価

公示地価の約80

固定資産税評価額

固定資産税等の基準

公示地価の約70

 

この通り、公示地価は複数の金額の基点となるものであり、その変動もそのまま影響を及ぼすことになります。
不動産に絡む大局的な相場観を把握しておくために、常に公示地価は情報収集しておきましょう。

 

3.公示地価の影響について


公示地価の金額の変動について「どちらが得か損か」は、当人の立ち位置や思惑によって変わってきます。
まずは冷静に、自身が関係する土地の公示価格を調べておきましょう。

 

以下、賃貸オーナーに関係する代表的な事例について、お伝えします。

 

3-1.所有不動産の資産価値が変動する


公示地価が上昇すると、自然と所有不動産(賃貸物件そのもの)の資産価値が上昇することになります。
このため、所有不動産を売却予定ならプラスに働く一方で、これから新規物件を購入予定なら物件価格が上昇する可能性がありますから、マイナスに働くのが基本です。

 

3-2.相続税や固定資産税の評価額の変動に影響する


公示地価が上昇すると、その影響で相続税や固定資産税の評価額も上昇することになります。
このため、今後も賃貸経営を続けるつもりならマイナスに働く一方で、既存物件を売却する予定なら、必要経費の上昇を避けられるという点から、プラスに働くのが基本です。

 

ただ先ほども触れた通り、そもそも公示地価の上昇は「その土地の需要(人気)が上がっているから」起こっています。
これはひいては、「(新規の)入居者の増加」にも繋がることも考えられます。固定資産税などの税負担の増加以上に、新規入居者の募集がしやすくなったり、家賃を上げやすくなったりなどの恩恵を受けることも、けして珍しくありません。

 

逆に公示地価が下落の場合は、その土地の人気が下がっていることになりますから、今後の新規入居者の募集が今までより厳しいものになる可能性があります。公示地価の増減という傾向を意識しながら、今後の経営方針を考えていきましょう。


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4.今後の傾向について

 

国土交通省の令和62月のプレスリリースによると、近年の不動産価格(指数)は、以下のように推移しています。

令和6年不動産価格指数.png

出典:国土交通省 令和6年「不動産価格指数」

 

建物と比べると緩やかではありますが、それでも土地(住宅地)についても、2020年頃を境に上昇基調になっているのが伺えます。
また区分所有のマンションを筆頭にですが、建物は2013年頃から上昇を続けている状況です。

 

ひとまず今後も当面は、令和6年の公示地価傾向と同じく、この上昇傾向が続くのではないか...というのが一つの見立てといえます。

 

ただし2024319日、日銀が「今までのマイナス金利を解除する」と発表しました。
これによって今後、金利が高まる可能性が出てきています。

この動向は当然に住宅ローンやアパートローンなどの金利にも派生するため、この点が気がかりです。
もしかしたら今後、不動産取引が全般的に、少し勢いを失うかもしれません。

 

もっとも、マイナス金利の解除とはいっても、今回はあくまでマイナス金利からゼロ金利にするだけなので、当面の影響は限定的と思われます。
しかし今後のさらなる金利上昇も考えられるため、土地を含めた不動産動向の注視が必要というのも一つの見立てです。

 

5.公示地価の変動に向けての備え


賃貸経営には大金が絡むうえ、経営は長期に渡るのが基本です。
このため、公示地価の変動によって固定資産税などが少し変わるだけでも、その影響は小さくないことが珍しくありません。
大幅な変動があった場所なら尚更です。

 

変動があった際には、以下のことを視野に入れつつ、経営戦略の見直しを図ると良いでしょう。

 

・所有不動産の評価をし直す

・(必要があれば)相続税などの税金を計算し直す

・(必要があれば)活用方法を見直す

 

賃貸オーナーにとって公示地価の変動は、今後の経営方針を左右しかねないほど影響度の高い指標になります。
事実、どんなに現状維持を望んでいたとしても公示地価など経済状況は常に変化します。
相対的に、みなさんの置かれた状況や事情も変化し、有利にも不利にも働くでしょう。ですから常に頼れる不動産業者などに相談できるような環境作りをしておきましょう。

 

 

6.まとめ


2024
年の公示地価は、総じて上昇基調でした。
この上昇がどのように影響するかは賃貸オーナーの意向によりますが、影響自体は避けて通れないはずです。
まずは自身の建物賃貸事業経営に関係する所在地がどうなのかをしっかり調べ、頼れる不動産業者にも相談しながら、今後の対策や経営方針を考えていきましょう。

 



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■監修者プロフィール

株式会社優益FPオフィス 代表取締役
佐藤 益弘

マイアドバイザー®
Yahoo!Japanなど主要webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供や、主にライフプランに基づいた相談を顧客サイドに立った立場で実行サポートするライフプランFP®として活動している。
NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などTVへの出演も行い、産業能率大学兼任講師、日本FP協会評議員も務める。
【保有資格】CFP®/FP技能士(1級)/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)