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相続・資産承継 相続税の基本の「き」 ~計算方法から基礎控除まで~

平成27年から相続税法が改正になり、基礎控除の縮小や最高税率の引き上げが行われました。相続税は「一握りの資産家だけにかかる税金」ではなくなり、また、多くの資産を持つ方とっては一層、負担が重くなったことになります。相続税は、一括で現金納付するのが原則です。相続発生後10ヵ月以内という納期限があるので、短期間に多額の現金を用意しなければならないことになります。納税資金を捻出するために、大切な土地を売らなければならないケースも出てきます。あらかじめ対策を立てておくことが重要ですが、「どのくらい相
続税がかかるのか」によって、とるべき対策も変わってきます。まずは、相続税の計算方法
を知り、おおよその税額を事前に見積もっておく必要があります。

相続税計算の第一歩は財産総額の把握

相続税を計算するには、まず「財産が全部でいくらになるのか」を把握しなければなりません。預貯金や株式などの金融資産はもちろん、不動産も金銭で評価します。土地は「路線価」がベースとなり、建物は固定資産税評価額を基に評価します。借入金や葬儀費用といった「マイナスの財産」は控除します。

なお、不動産は利用形態によって評価額が変わります。マンションのような賃貸用建物が建っている土地の場合、
自用地としての評価額×(1-その土地の借地権割合×借家権割合)

で評価されます。借地権割合は、都市部の場合60%か70%のことが多く、借家権割合は30%が一般的です。借地権割合が70%、借家権割合が30%とすると、土地の評価額は

自用地としての評価額×(1-70%×30%) = 自用地としての評価額×79%

になります。自宅や駐車場として使っている場合に比べ、21%評価が下がるわけです。
建物も、賃貸用であれば30%の評価減があります。自宅の建物の場合、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になりますが、賃貸用建物の場合は「固定資産税評価額×70%」で評価されます。

また、「相続人の今後の生活に必要な土地」に対しては「小規模宅地等の特例」が適用され、相続税計算上の評価額を大きく下げることができます。自宅の場合、最大330㎡まで80%の減額となり、駐車場や賃貸マンション敷地の場合は最大200㎡まで50%減額となります。

このような不動産の評価減も踏まえ、財産総額を算定することになります。

平成27年改正で縮小された基礎控除

相続税は、純資産がそのまま課税対象となるわけではなく、純資産から「基礎控除」を差し引きます。この「基礎控除」が、平成27年改正で大きく引下げされました。
平成26年までは...

5,000万円+法定相続人数×1,000万円

でした。
妻と2人の子供が相続人の場合、法定相続人数が3人なので、財産総額が8,000万円までは相続税がかからなかったわけです。

それが平成27年改正で...
3 ,000万円+法定相続人数×600万円

になりました。法定相続人数が3人であれば、基礎控除額は4,800万円です。都市部に不動産を所有していたら、基礎控除額を上回る水準です。

基礎控除を差し引いた額を「法定相続割合で分けた」と仮定する

財産総額が1億2,000万円で、相続人が妻と子供2人である場合、基礎控除4,800万円を差し引くと7,200万円です。この7,200万円を、「法定相続割合で分けた」と仮定します。妻3,600万円(1/2)、子供がそれぞれ1,800万円ずつ(1/4ずつ)取得したとします。この金額に基づいて、税額を計算します。

相続税は累進課税です。1,000万円までは10%、1,000万円から3,000万円までに対しては15%、3,000万円を超えた分(5,000万円までの部分)に対しては20%です。
これをわかりやすく表したのが相続税の速算表で、妻の3,600万円に対応する税額は、

3,600万円×20%-200万円(控除額)=520万円

となります。
同様に、子供の1,800万円に対する税額は、

1,800万円×15%-50万円=220万円

です。3人合わせると、

520万円+220万円+220万円=960万円

となります。これが「相続税の総額」となります。(基礎控除以外の税額控除は考慮していません)

「3人合わせて、960万円を納めてください」ということです。実際の納税額は、「実際に取得した財産の割合」に応じて按分されます。たとえば、子供のうち1人が4,800万円(財産総額の4割)を相続する場合、納める相続税額は、

960万円×0.4=384万円

になります。
なお、平成27年改正では、「最高税率の引き上げ」も行なわれました。平成26年までは、最高税率が50%でしたが、それが55%に引き上げられました。

配偶者の税額は大幅に軽減される

上記の例において、妻が7,000万円の財産を相続したとします。妻が納めるべき税額は、本来であれば 960万円×(7,000万円/1億2,000万円)=560万円 となりますが、実際は「ゼロ」で済みます。配偶者に対しては、相続する額が「法定相続分まで」または「1億6,000万円まで」であれば相続税がかからないことになっています。極端な話、財産総額が1億6,000万円以下なのであれば、「全財産を配偶者が相続」とすれば相続税はかからないことになります。

ただし、配偶者に多額の財産を相続させると、その後、配偶者が亡くなった際(二次相続)の相続税が重くなりますので、注意が必要です。

専門家の診断も有効に使う

このように、相続税の額はいくつものプロセスを経て算定されます。相続人の数や、不動産の利用形態によっても税額は大きく変わります。「今のままだと、どのくらいの相続税額になるのか」「対策を講じることによって、どのくらいの節税効果があるのか」を、専門家の診断などを活用しつつ、把握しておくことが重要です。


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