大東建託

環境への取り組み

主要なリスク・機会と
対応状況について

当社グループは、TCFDの方針に沿って、気候変動が事業(建設業、不動産事業)に与える「リスク」と「機会」の把握に努めています。
気候変動におけるリスクと機会を評価するため、気候変動シナリオ(1.5℃シナリオ、2℃未満シナリオ、4℃シナリオ)に基づき、短期・中期・長期の事業への影響を評価・分析しています。

移行リスク

政策・法的
炭素税導入に伴う操業コスト増加(スコープ1+2)
当社の事業活動による温室効果ガス排出量(Scope1、2)に対し、炭素税導入による課税をコストとして想定し、「削減取り組みを何もしなかったときのコスト」と、「SBTに取り組むことで削減できるコスト」を算定しました。
対応

SBTの削減目標に沿った削減への取り組みを進めています。

炭素税導入による材料コスト増加と販売価格上昇、それに伴う需要低下による売上減少
炭素税導入により建築コスト(材料・エネルギーに係る炭素税コスト)が増加した場合、オーナー様の購買意欲低下による売上減少額とSBTに取り組むことで削減できる売上減抑制額の算定しました。
また、炭素税が導入された場合の、建設資材等(材料・エネルギー)(Scope3)に対する課税をコストとして想定し、「販売価格が上昇することによるオーナー様の購買意欲低下による売上減少」と、「SBTに取り組むことで販売価格上昇を抑えられる分」を算定しました。
対応

CLTの開発・販売促進(「持続可能な社会に向けて(建築)」「持続可能な社会に向けて(暮らし)」参照)など、温室効果ガス排出量の少ない工法への切り替えを積極的に推進しています。また、SBTの削減目標に沿った削減への取り組み、RE100(「脱炭素に向けたイニシアティブへの参加」参照)に沿った工事現場への再生可能エネルギーの導入を進めています。

技術
EV化の普及促進により、充電スタンド設置増加に伴うコスト増加
社有車のEV化に伴い、全国の支店への充電スタンドの設置を想定し、設置費用やメンテナンス費用によるコストを算出しました。
対応

社有車のEV化に向けた取り組みを推進しており、2019年度に7基、2020年に11基の充電スタンドを支店に設置しました。今後も、段階的なEV車への切り替えと、充電スタンドの設置を進めていきます。

再生可能エネルギー証書購入によるコスト増加と太陽光パネル導入・維持に伴うコスト増加
RE100の達成に向けて、再生可能エネルギーの購入必要性を想定し、再生可能エネルギー購入価格(グリーン購入証書の購入等)によるコストと、太陽光発電設備(パネル、パワコン)の廃棄・購入費用を算出しました。
対応

太陽光発電事業を通して、再生可能エネルギー電源の自社保有を進めることで、将来的な再生可能エネルギーの購入価格の変動への対応を進めています。

市場
LCCM住宅の販売拡大により、販売価格上昇と、それに伴う需要低下による売上減少
LCCM・ZEH対応コストが販売価格に転嫁された場合の住宅需要の減少額を算出しました。
対応

ZEH基準を満たす賃貸集合住宅の開発、販売(「持続可能な社会に向けて(暮らし)」参照)を推進しています。

評価
【定性】気候変動への対応の遅れによるステークホルダーからの信用失墜、ブランド力低下
対応

当社グループの海外投資家の株式シェアが49.34%であることから、ESG投資の潮流を踏まえ、気候変動への対応が遅れた場合の、資本・資金調達の面への影響を分析しました。(定量的な評価見送り)

物理的リスク

急性
工事中の風水害の増加によるコスト増加
風水害の増加に伴う建設中の工事保険料増加額をリスクとして算定しました。
対応

近年の洪水や風災の増加に伴い、それらのリスクも踏まえた工事計画を推進しています。

風水害による太陽光発電設備の損害増加
風水害の増加に伴う太陽光発電設置時の保険料の増加額をリスクとして算定しました。
対応

近年の洪水や風災の増加に伴い、それらのリスクも踏まえた太陽光設置計画を推進しています。

風水害によるオーナー様のコスト増による需要減少
風水害の増加による保険料の増加に伴う建設需要の低下および建設事業の売上減少額をリスクとして算定しました。
対応

近年の洪水や風災の増加に伴い、それらのリスクも踏まえた販売計画を推進しています。

慢性
気温上昇の影響による、工事現場における労働効率性の低下と工期延長、それに伴う人件費増加
気候変動の影響による気温上昇などにより、夏場の工事作業時間の制限が必要となった場合の、1棟あたりの工事日数の増加、それに伴う工事費用の増加によるコストへの影響を分析しました。
対応

近年の気温上昇に伴い、夏場の作業時間の制限など、安全を最重視した工事計画を推進しています。

気温上昇による空調費用の増加
気温上昇による空調使用の増加に伴う、電気代の増加額をコストとして算定しました。
対応

近年の気温上昇に伴い、夏場のクールビスや在宅勤務などを推進しています。

木材価格高騰によるコスト増加と販売価格上昇、それに伴う需要低下による売上減
木材価格の上昇に伴う販売価格の高騰により、建物需要の低下と、それに伴う建設事業の売上減少額をコストとして算定しました。
対応

木材調達先の多角化を推進し、調達価格の増加への対応を進めています。

機会

資源の効率性
【定性】再生可能資源である木材の活用による、資源の効率性と安定した建物供給の実現
再生可能エネルギー導入
自社所有の再生可能エネルギー発電設備において発電した電力を自家利用することによる、再生可能エネルギー購入(再エネ証書購入)コスト削減
RE100の達成に向けて、再生可能エネルギーの購入必要性を想定し、FIT切れ太陽光発電を自家利用する場合の購入コスト削減分を、利益として算出しました。
卒FIT電力の余剰分を売却することによる利益創出
RE100の達成に向けて、再生可能エネルギーの購入必要性を想定し、FIT切れ余剰分の電力を売却した際の利益を算出しました。
製品・サービス
省エネ効果の高いZEH・LCCM商品の供給拡大による売上増加
省エネ効果の高いZEH・LCCM商品の需要増加を想定し、需要に沿った提供を行うことによる売上増加を、利益として算出しました。
市場
【定性】ZEH・LCCM商品の積極的な供給による、環境対応リーディングカンパニーとしての企業イメージの向上
【定性】ZEH標準化に取り組むことで、2030年のZEH義務化時点で事業の継続が実現できると共に、市場シェア拡大の機会獲得
強靭性
【定性】災害時に強い住宅の供給により、被害を抑制した建物を起点とする、地域復興の迅速化を担う機会獲得
【定性】災害対策商品の開発による、災害に強い住宅供給企業としての市場シェア拡大の機会獲得
【定性】EVへの切り替え促進による、気候変動への対策実施企業としての企業イメージと信頼性の向上

気候変動リスク・機会における財務的影響
(単位:百万円)

気候変動リスク・機会における財務的影響

【前提条件】

  • 実施時期:2023年1月~3月(1.5℃シナリオを新たに採用)
  • 対象期間:2023年~2050年(短期:2025年、中期:2030年、長期:2050年)
  • 対象範囲:大東建託グループにおける建築・不動産事業
  • 算定要件:気候変動シナリオ(STEPS、NZE、RCP等)に基づき分析項目別に対象期間内に想定される利益影響額を算定リスクは事象が発生した際の影響額で算定