ガバナンス

社外取締役インタビュー コーポレートガバナンスの概要 ガバナンス委員会 取締役の報酬制度 経営循環の仕組み 社外役員の選任 事業リスクの認識 コンプライアンス

Q1 社外取締役として佐々木取締役に求められている役割について、ご自身のご認識をお聞かせください。

 中長期的な企業価値の向上と株主の利益保護のため、独立した立場から経営の監督に最善を尽くすことだと考えています。また株主、従業員、顧客、地域社会等、全てのステークホルダーに対する利益のバランスに留意することも求められていると認識しています。

 大東建託(株)の株主構成を見てみると、57%が海外の機関投資家、25%が国内の機関投資家と、80%を超える株式を機関投資家が保有しています。私はグローバル展開をする米国を本拠地にした金融機関で仕事をしておりましたので、国内外の機関投資家の投資姿勢や判断に触れる機会が多くありました。こうした経験や理解をベースにした取締役会での発言や意見も期待されているであろうと自負しております。

 また、当社では初めての女性取締役ということから、「女性の活躍推進」の分野でのリーダーシップも期待されているでしょう。外資系金融機関で仕事をしてきた経験からは「ビジネス上の判断に男女の差異はない」という確信を持っています。一方で、伝統的な日本社会において女性が社会で活躍する機会を得ることの難しさや、子育てをしながら仕事をする苦労も体験しました。私自身の経験を背景とした、業務執行に関与しない範囲でのアドバイスも大いに期待されていると思います。

Q2 2017年度の当社経営について通信簿をつけるとしたら、どのような評価になりますか。(5段階評価)また、その理由をお聞かせください。

8つの項目について、評価とその理由をご説明いたします。

①中期経営計画の進捗

株主に対する重要なコミットメントである中期経営計画ですが、概ね目標達成に向けて順調に進んでおり、到達可能でないかと考えていますので、「4」と評価します。

②経営トップのリーダーシップ

2017年度から主要3社体制となりましたが、社内外で強いリーダーシップを発揮したが故に、10期連続の増収増益という成果をあげており、また主要3社体制が適正に運営されているように、担当取締役も各分野においてリーダーシップを発揮している状況ですので、「5」と評価します。

③ガバナンスの実効性評価

大東建託(株)は、独自のガバナンス委員会を設置し、体制面・運用面ともに適切に機能しています。

ガバナンスコードの改定や組織体制の変革への対応等、さらにレベルアップできるという期待を込めて、評価は「4」です。

④株主との建設的な対話

評価は「4」です。海外投資家に対しても、経営トップが定期的に訪問し、建設的な対話を行っています。今後もさまざまな株主・投資家との対話を通して企業価値の向上を図るべきと考えています。

⑤役員報酬制度

短期的な業績に偏らず、中長期的な企業価値向上への貢献意欲を高める株式報酬型ストックオプションを2011年度より導入しています。ただ、時代やステークホルダーの変化とリンクして今後アジャストする必要があると考えていますので、評価「4」です。

⑥働き方改革

大東建託(株)が近年最も力を入れている分野です。2017年度だけでも、勤務間インターバル、定年後再雇用の更新限度年齢の引き上げ、一部職種へのフレックスタイム制導入等、多岐にわたる施策を実施しています。併せて、業務フローの見直しやAI等の活用により、生産性の向上を図っています。こうした矢継ぎ早の対応や改善率は「4~5」と評価したいところですが、今後、制度の運用が定着し、結果として現れ、さらなる改善へとつながることを期待して、評価は「3」とします。

⑦女性の活躍推進

2015年に社外取締役に就任してから、さまざまな意見を述べさせていただきました。現在も女性の採用や女性の幹部登用に向けた環境整備のために、キャリアに応じた女性セミナーへの参加促進や現場で働く女性従業員への支援制度、育児と仕事の両立支援も充実させており、かなり改善が進んでいると感じています。しかし⑥働き方改革と同様、まだ始まったばかりと考えていますので、評価は「3」とします。

⑧社会・環境面への貢献・配慮

こちらはさらに取り組む余地があるだろうという期待と、現状の取組みのアピールが不足しているという意味で「3」と評価します。ZEH基準を満たす賃貸住宅を業界に先駆けて積極展開することで環境貢献をしていますし、介護・保育・エネルギー事業などを通じて社会課題にも対応しています。また、地元木材使用による地域の産業復興や、大東建託グループみらい基金による「地方創生」「災害復興」支援など、地域社会への貢献活動にも取り組んでいます。機関投資家の評価軸でもESGのウエイトが高まっています。今後、社会・環境に対するさらなる能動的・積極的な取り組みと、その情報開示に期待しています。

Q3 サステナビリティ(持続可能性)の観点から、当社がマテリアリティとして認識すべきことは何だとお考えですか。

ESG、あるいはサステナビリティといった分野は、個人的にも非常に興味のある分野です。

地球、世界、社会が継続できなければビジネスは成立しませんので、それらにコミットする事は企業として当然であり、能動的・積極的に取り組まなければならない重要課題だと考えていますが、ESGばかり重要視して目先の業績や株価が下がってしまっては、株主からの賛同は得られません。ESG投資が広がりをみせているのは、長期的にみて合理的な投資であるという確信に近いものがあるからだと考えています。業績とESGを両輪としてバランス良く経営していくことが今以上に必要であり、常にモニタリングしていくべきだと考えます。

Q4 これまでの議論を踏まえて2018年度特にどのような課題への対応が期待されていますか?

評価項目にもありました高業績の維持、働き方改革、女性の活躍推進、ESGへの積極的な取り組みとESG情報開示の充実について助言していくことはもちろんですが、2018年度後半の最も重要な課題は2019年3月に予想される経営トップ交代への対応です。当社では業務執行取締役の定年を60歳とし、退任後は顧問・相談役などいかなる役職にも就かないという規定が1989年からあります。取締役退任後に役職に就かないという規定は、ガバナンス上においては非常に有益です。しかし、高齢社会、労働人口減少による定年延長の潮流を鑑みると、取締役の60歳定年という規定は見直しのための検討も必要だと考えています。

経営トップが代わっても成長が維持できるのかといった懸念を、株主をはじめとするステークホルダーの皆様がいだかれることのないように、後継者育成計画をさらに充実させた上で、2019年度以降の経営トップ選任に尽力いたします。

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