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賃貸住宅の環境の未来を考える vol.1 地球環境の今

地球環境の今、そしてこれからを考える。

「21世紀は環境の世紀」と称されるように、さまざまな産業でサスティナビリティ=「持続可能な社会」や「低炭素社会」の構築が叫ばれ、「環境」に関する研究開発が進められてきました。しかし、既に15年が経過した現在も、CO2排出量は減らず増加しており、さらに今後も増加することが予想されています。

CO2排出による地球温暖化の懸念は変わらず、国連の機関(IPCC)の最新報告では、これまで1000年以上もの間、大幅な気温上昇が無かったにも関わらず、「今後100年で、最大6.4度の気温上昇」が予測されています。このまま気温が上昇を続けると、現在でも増加傾向にある「異常気象」、さらには「生態系への影響」「食糧危機」「洪水・干ばつ」等も懸念されています。

700~2100年までの気温変動(観測と予測)

出典)IPCC第4次評価報告書 全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より

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気候変動により観測された影響

出典)IPCC第5次評価報告書 全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より

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日本におけるエネルギー消費の現状と課題

「環境立国」を目指す日本。
世界をリードする環境技術を活かし、様々な施策が取られていますが、それでも国別CO2排出量は世界で5番目に多く(棒グラフ)、一人当たりの排出量で見ると4番目に多い国(人型のグラフ)となっています。

世界の二酸化炭素排出量に占める主要国の排出割合と各国の一人当たりの排出量の比較(2011年)

出典)EDMC/エネルギー・経済統計要覧2014年版 全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より

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日本国内では、2011年の実績で全エネルギーのうち、産業部門約43%、運輸部門23%、住宅・建築物部門約33%の消費割合となっています。1990年対比でみてみると、住宅・建築物部門は産業、運輸部門に比べて33%増加と、過去20年の増加が著しい部門となっています(最終エネルギー消費の推移参照)。さらにCO2排出量についても、他部門に比べて増加傾向が顕著になっています(CO2排出量の推移参照)。

最終エネルギー消費の推移

出典)平成23年度エネルギー需給実績(資源エネルギー庁)の数値を元に作図としています。

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CO<sub>2</sub>排出量の推移

出典)温室効果ガス排出・吸収目録(環境省)の数値を元に作図としています。

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現在、日本における賃貸住宅の割合は全住宅の30%以上、総世帯数の約1,000万のうち、借家は6割を占めており、住宅部門の中で賃貸住宅の果たすべき役割は大きいと言えます。視点を変えて言うならば、そのボリュームを活かし、賃貸住宅は住宅部門の環境の未来を作ることができるのかもしれません。賃貸住宅未来研究所では、こうした日本の環境を見据えて、ここで改めて賃貸住宅の「環境の未来」を考えます。