今回は、vol.3で発表したユーザーアンケートと並行しておこなっていたSOYOCAの測定結果についてお届けします。SOYOCAの建物や敷地全体に施したパッシブデザインの効果を定量的に評価するため、実際の建物と外構で測定やシミュレーションをおこないました。目に見えない風や温度を“見える化”し、技術的に検証・確認しています。
リビングダイニングを含む各部屋に温湿度・風速センサーを設置し、通風あり・なしで部屋の温度を測定。通風スリット窓とエコシャフトの効果を検証しました。
温湿度計・日射量計によるルーパー日射遮蔽効果測定中
温湿度・風速計測中
通風スリット窓 (1Fリビング温度比較)
断熱性能が高いため、家電や人など熱を発するものがなくても、日射しだけで屋外より部屋の温度が高くなります。しかし、通風スリット窓を開放すれば、1~2℃低下させることが可能です。
エコシャフト (2Fリビング温度比較)
実験時には室内で使用する機器や人体からの発熱を再現するため、600Wのヒーターを入れました。高断熱仕様のため、窓を閉め切ると室外の気温より高い状態(34℃以上)になってしまいますが、エコシャフトを開けることで、3℃程度室温を下げる効果を確認できました。
【測定概要・条件】
- ●計測期間:
- 7/21~7/24
- ●対象物件:
- 愛知県刈谷市施工物件
102号室=通風あり 103号室=通風なし 202号室=通風あり(600W 発熱ヒーター設置※)
203号室=通風なし(600W 発熱ヒーター設置※)※家電機器や人の発熱を模擬
エコシャフト開放時の温度・風の流れをでの実測値をもとにシミュレーションし、見える化しました。
※シミュレーション方法:CFD解析 ※CFD解析:流体力学にもとづく解析・視覚化
外部に風がない日のシミュレーション結果※
※計測期間中の「風がない日」のエコシャフト開放時の実測換気量(1.0回/h)をもとにシミュレーションを実施。
※換気回数は外部風況により推定
【室内温度分布】
部屋を上から見たイメージ(平面、床から1.1m部分を測定)
【風の流れの可視化】
部屋を横から見たイメージ(断面)
熱い空気は上昇し、冷たい空気は下降する
高低差(温度差)の性質を利用したエコシャフト。
外部に風がなくても空気の流れをつくりだし、
涼しく快適な環境が実現できます。
外部に風がある日のシミュレーション結果※
※計測期間中の「風がある日」のエコシャフト開放時の実測換気量(5.2回/h)をもとにシミュレーションを実施。
※換気回数は外部風況により推定
【室内温度分布】
部屋を上から見たイメージ(平面、床から1.1m部分を測定)
【風の流れの可視化】
部屋を横から見たイメージ(断面)
風が強く、外の気温が低い場合は、
エコシャフトから風が取り込まれ、
部屋全体の温度が下がります。
【測定概要・条件】
- ●計測期間:
- 7/21~7/24
- ●対象物件:
- 愛知県刈谷市施工物件
202号室=通風あり(600W 発熱ヒーター設置※)
203号室=通風なし(600W 発熱ヒーター設置※)※家電機器や人の発熱を模擬
通風を行った場合のシミュレーションから、エコシャフトの電力削減効果を試算しました。
日中に通風をおこない、夜間は空調を
使用した場合の電力削減効果(6~9月計)
【シミュレーション・条件】
- ●気象条件:
- アメダス東京標準気象データによる
- ●家族構成:
- 3人(夫:会社員、妻:会社員、子:中学生)
- ●在宅時間:
- 夫21時~8時、妻19時~8時、子19時~8時
- ●室内負荷:
- 500Wと仮定
- ●断熱性能:
- 断熱等性能等級4、Low-Eペアガラス
- ●通風条件:
- エコシャフトと洋室2の窓の開閉による比較
- ●エコシャフト
開放時の換気量: - 5.2回/h
(実測値に基づく) - ●エアコン稼動
条件: - 27℃かつ湿度60%を
維持 - ●エアコン能力:
- LDK 3.6kW 洋室1・2 2.2kW
- ●空調する部屋:
- LDK、洋室1、洋室2
- ●試算時の電気料金単価:
- 25.91円/kWh