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土地が広くなくてもアパートは建てられるの?事例から目安を考える

公開日: 2024.02.21

最終更新日: 2024.03.15

アパートを建てるうえで重要な要素の一つが、土地の広さです。このコラムではアパートの建築事例をもとに必要な土地の広さの目安を考えていきます。また、後半ではアパート建築に重要なその他の要素や、アパート建築を成功させる要素についても解説します。

最後までぜひチェックしてください。

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1.【過去事例から見る】アパート建築に必要な土地の広さ

 

アパートを建設するには、いったいどれくらいの面積の土地が必要になるのでしょうか。

土地や周囲の環境、用途地域、道路付け、住環境建材などによって答えが変わるため結論は1つに絞れませんが、過去の事例からおおよその目安を把握することはできます。

今回は過去に建築されたとあるアパートを例に挙げ、どれくらいの広さがある土地にアパートを建てたのかを見ていきましょう。

 

ここでは、具体的な建築事例を3つご紹介します。

*事例1

 

場所

神奈川県

用途地域

第一種住居地域

構造・階数

木造3階建てアパート

住戸数

6戸

間取り

1DK

敷地面積

181.81㎡

施工床面積

295.50㎡

 

敷地面積は200㎡以下ですが、3階建てにすることで部屋数を増やし、収益性を確保することに成功しています。

また、周囲の競合物件との差別化を図るべく、ペットがのびのびと暮らせる「ペット共生型」の間取りにしています。
居室ドアにペット用の出入り口を設けたり、壁面にキャットウォールにもなる棚を設置したりしています。

 

 

 

*事例2

 

場所

東京都

用途地域

第一種低層住居専用地域

構造・階数

鉄筋コンクリート造2階建てアパート

住戸数

6戸

間取り

1LDKと2LDK

敷地面積

518.81㎡

施工床面積

360.31㎡


この物件では、周囲の競合物件との差別化を図るべく、建築家とのコラボを特徴にしています。
またバルコニーから近隣の公園の桜並木を見ることができるように配置したり工夫がされています。

こういった差別化は、建築費用は多少上がるというデメリットがある一方、長期的に家賃収入を維持・向上させてくれるメリットがあります
競合の多い都市部エリアで特に有効な施策と言えるでしょう。

 

*事例3

 

場所

愛知県

用途地域

第一種中高層専用住居

構造・階数

木造2階建てアパート

住戸数

8戸

間取り

1LDK

敷地面積

591.43㎡

施工床面積

390.61㎡


この物件は元々畑だったところを有効活用し、アパートへ転換したものです。
次世代で畑を引き継ぐ方がいないことから悩んでいたそうです。

外壁の色目を区画ごとに使い分けることで、外観のデザイン性を向上させています。
このように、利用する用途のない田畑でも、賃貸住宅へ転用することで収益化できるでしょう。

 

2.土地が広くなくてもアパートは建てられる?

ここまで過去の事例からアパートに必要な土地の広さの目安を見てきました。
しかしこれらはあくまで一例で、この広さの範囲に収まらない土地でもアパート建築が可能です。

アパートは土地面積の大きさや形に応じて、部屋の間取りや広さを柔軟に変えて建設することができます。
そのため、およそ100㎡程度の狭小敷地や、不整形地と呼ばれるような土地でも、1Kやワンルームのアパート  なら建築可能なケースがあります。 

 

そのため、一見建築が難しそうな広さの土地でも条件さえ揃っていれば1Kやワンルームのアパートが建てられるケースもあります。

単身者の入居ニーズがあることが前提になりますが、都市圏の住宅街なら十分に需要が見込めるため、売却や戸建て賃貸経営以外の選択肢として、アパート経営も活用法として視野に入れるとよいでしょう。

もしご自身が持つ土地にアパートが建てられるかどうかを知りたいのでしたら、不動産会社や建築会社、ハウスメーカーなどに相談してみてください。



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3.土地の広さ以外にも影響するアパート建築の要素

アパート経営をプランニングする上で影響する要素は、広さ以外にも複数存在します。

ここでは、用途地域や建ぺい率・容積率、接道義務などの、知っておきたい注意点を詳しく解説します。

 

3-1.用途地域


用途地域とは、都市部(市街化区域)内の各地域の特性や街作りの目的に合わせ、建物の用途に規制をかける地域のことで、都市計画法で定められています。

用途地域は13種類あり、そのうち、工業専用地域は工場のための地域ということもあり、アパートの建築が原則認められません。

また、第一種低層住居専用地域は、主に戸建住宅の良好な住環境を守るための地域であるということから、建物の高さが10m(もしくは12m)に制限されています。

 

3-2.建ぺい率・容積率


建蔽率(建ぺい率)とは、周囲の建物同士が接近しすぎないために、敷地面積のうち建物の建築面積が占める割合の上限を定めているものです。
建築面積は建物を真上から見た際、外周で求める面積のことを指します。

例えば、敷地面積が100㎡の場合、建ぺい率50%なら建築面積が50㎡までの建物しか建てることができません。

 

一方、容積率とは、高い建物の乱立を防ぐために、敷地面積のうち建物の延べ床面積が閉める割合の上限を定めているものです。
延べ床面積は、建物各階の床面積を合計したものす。(施工床面積は、施工したすべての床面積の合計で延べ床面積とは異なります)

例えば、敷地面積が100㎡の場合、容積率200%なら延床面積が200㎡までの建物しか建てることができません。

 

つまり、敷地面積が100㎡で建ぺい率50%・容積率200%の土地があった場合、そこで建てることができる建物の上限は1階あたり50㎡の4階建てのアパート(延べ床面積200㎡)となります。(規制条件が建ぺい率と容積率だけで考えた場合。実際には高さや斜線制限などさまざまな規制があります)

 

>>関連記事:建物の広さや高さを決める建ぺい率・容積率とは?計算方法と緩和条件

3-3.接道義務


接道義務とは、緊急車両が滞りなく通行できるよう、建築物の敷地が前面道路に2メートル以上接していなければならないとする義務のことを指します。
接道義務を満たしていないと建築基準法違反となり、原則建物を建てることができません。

接道義務を満たすためには、建築基準法上の「道路」に2メートル以上接している必要があります。

また、道路については、以下の要素を満たす必要があります。

・幅員が4メートル以上(特定行政庁が指定した区域内6メートル以上が必要になることも)

・常時通行できる道路

もし、前面道路の幅員が4メートル未満であった場合、次に建築する建物については道路が4メートル以上になるよう、セットバック(後退)しなければなりません。

これらの要素についても、確認しておくとよいでしょう。

 

4.アパート建築が成功しやすい土地の特徴

アパート経営により長期的に安定した賃料を得るためには、立地条件も大切です。
ここでは、空室が出にくい、需要のある土地の特徴を説明します。

4-1.交通の便が良い


入居者にとって、鉄道やバスにすぐ乗れる場所であることは重要です。
通勤・通学を行う必要にある入居者にとって、「駅徒歩〇分」という表示は最初にチェックする項目です。特に、都心部や、快速・特急列車が止まる駅や乗換駅は、駅周辺に商業集積もあり、生活の利便性が高く、ワンルームタイプ・1LDKなど間取り問わず賃貸住宅としての需要がより高い傾向にあります。

 

4-2.周辺施設が充実している


生活圏内に利用できる必要な施設が多く集まっている場所は賃貸物件としての需要が多い傾向にあります。
例えば、商業施設やスーパーマーケット、コンビニエンスストア、病院、飲食店、その他サービス業態の店舗は、いずれも住まい選びに重要な要素として一般的に選ばれる施設です。また、こういった周辺施設に勤められている従業員の方々が最寄りの住まいとして選ばれることもあります。

 

4-3.住環境が優れている


健康的かつ快適に暮らせる環境も、入居者からニーズが高い要素の一つです。
具体的には、日当たりが良い、周囲に公園があって自然を感じられる、治安が良く安心して生活できるなどの特徴が挙げられます。

前述した愛知県のアパートは前面に公園の桜並木があるということから、バルコニーを公園側に設けました。
このように、優れた立地条件にある土地に建物を建てる場合には、なるべくその長所が活かせるようなレイアウトにすることがすすめられます。

 

5.土地活用方法を比較検討しよう

今回は、アパート経営に必要な土地の広さについて説明しました。

アパートに絞って説明しましたが、土地活用のプランは他にも賃貸マンション経営、戸建賃貸経営、賃貸併用住宅経営、オフィスビル経営、店舗経営、トランクルーム・駐車場経営、太陽光発電などさまざま存在します。

検討する際に重要なのは、その土地で建てられる延べ床面積です。
用途地域や建ぺい率、容積率、斜線制限、高さ制限、接道関係などの敷地条件から、所有する土地でどの程度の坪数の建物を建築できるかおおむね把握することをおすすめします。



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■監修者プロフィール

有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者