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農地をビジネス活用する5つの方法│放置するリスクと2つの規制

公開日: 2023.04.07

最終更新日: 2024.03.15

公開日:2023.04.07

遺産相続で困ってしまうのが、農地を相続することとなったが、耕作することができない場合です。農地には農地法により売却・転用が制限されており、活用するためにはさまざまな手続きが必要となるケースがあります。

そこで今回は、農地のビジネス活用に関する基礎知識を徹底解説します。農地に関する法律や転用した場合の具体的な活用法まで、収益を上げるために必要となる知識をポイントごとにご紹介しますので、最後までぜひお読みください。


>>関連記事:「土地活用の方法16選|運用を行うメリットや実際の進め方

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目次

1. 農地のビジネス活用における基礎知識

1-1.そもそも農地とは?

1-2.農地の活用で知っておくべき規制

2. 農地を活用せずに放置するリスク

2-1.農業を行わなくても税負担がかかる

2-2.活用・転用が難しくなる

3. 農地を転用してビジネスにつなげる方法

3-1.アパート・マンション経営

3-2.月極駐車場・コインパーキング経営

3-3.トランクルーム経営

3-4.太陽光発電の設置

3-5.サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)経営

4. 農地をそのまま活用してビジネスを始める方法

4-1.市民農園にする

4-2.農地を第三者に貸し出す

4-3.営農型太陽光発電を運用する

5. 農地を活用してビジネスを始めよう

1.農地のビジネス活用における基礎知識

農林水産省が公表する2020年のデータによると、日本には遊休農地(農地だが現在は農業が行われず放置されている土地)が約96千ヘクタールもあり、有効活用が喫緊の課題となっています。

そこでまずは、農地を有効活用する上で必要となる基礎知識について見ていきましょう。

1-1.そもそも農地とは?

まず、農地の定義は農作物の耕作の目的に供される土地のことを指し、田んぼや畑が該当します。
家畜の飼料用に採草が行われている土地は「採草牧草地」に分類され、農地には分類されません。
農地は通常、「田」や「畑」の地目として、不動産登記簿に登記されています。高齢化の影響で、農作業を行わず遊休農地として放置されているものも多いのが現状です。

1-2.農地の活用で知っておくべき規制

・農地法

農地法とは農地の保護を目的に、転用や売買について規制する法律のことです。
農地を農業以外の用途に転用する場合は、この法律に基づき、都道府県や、市町村に置かれる農地事務を担う行政委員会である農業委員会からの許可を申請しなければなりません。


しかし、日本では食料自給率維持の観点から、転用できない農地というのが存在します。
原則として転用できない土地が、「農用地区域内用地」、「甲種農地」、「第1種農地」です。


農用地区域内用地は、市町村が定める計画に基づいて農用地区域と定められた農地を指します。転用にはこの地域からの除外を申請しなければなりませんが、条件を満たすのは難しい傾向にあります。甲種農地は、市街化調整区域において8年以内に土地改良事業が行われた農地を指します。第1種農地は、面積が100,000㎡以上の集団農地で、土地改良事業などの対象となった土地を指します。所有する農地がどの種類なのか、農業委員会へ問い合わせてみるといいでしょう。

 

農地転用許可制度について(農林水産省)

 

昭和二十七年法律第二百二十九号 農地法(e-Gov法令検索)

 

・都市計画法(市街化調整域)

都市計画法とは、都市の発展と整備を図ることを目的とした法律です。
この都市計画法に基づき、都道府県は都市として発展させていく「市街化区域」と、市街化を抑制する「市街化調整区域」をエリアごとに設定しています。
市街化区域内の農地は、農業委員会への届出を行えば原則転用することが可能です。第2種農地や第3種農地がこれにあたります。

一方、市街化調整区域の土地は、原則として住宅建設のための開発行為は許可されていないことから、農地転用の許可も下りません。

2.農地を活用せずに放置するリスク

農地を所有すると、固定資産税や都市計画税、管理費用といったコストが発生します。
活用しないリスクとして、これらのデメリットを詳しく説明します。

2-1.農業を行わなくても税負担がかかる

農業を行わずに放置している農地でも、固定資産税と都市計画税は発生します。
農地は宅地と比べて固定資産税・都市計画税が安い傾向にあります。所有している土地の評価額の合計が30万円未満の場合は、固定資産税が免税になることもあり、農地の税負担は軽い場合が多いです。しかし、軽いといっても支出は支出です。収益性を高める取り組みを行いたいところです。


また、農地を相続や贈与で受け取った人には相続税・贈与税の納税猶予の措置がありますが、これらはいずれも農業を継続することが条件となっています。農業
をやめた場合は、納税するための資金を稼ぐために有効活用に取り組んでおいたほうがよいでしょう。

2-2.活用・転用が難しくなる

農地の管理が行き届いていないと、虫や雑草が増加したり、廃棄物の不法投棄が行われたりする可能性があります。
日本には、こういった耕作放棄地が数多く存在しており、問題となっています。


放置すると近隣からの苦情やトラブルに発展する可能性があるため、手入れは必須です。
しかし、遠隔地の場合は自ら手間をかけるということも難しく、手入れのコストが膨らみやすい注意点があります。

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3.農地を転用してビジネスにつなげる方法

農地から宅地への転用を行えば、建物を建築した土地活用が可能になります。
活用事例としてメジャーなものを紹介します。

3-1.アパート・マンション経営

最もメジャーな土地活用が、マンションやアパートといった賃貸物件を建築し、家賃収入を得る方法です。

賃貸住宅は景気の変動に影響されづらく、安定して家賃収入を得ることができます。

利便性が高い立地ほど入居者が集まりやすいため、活用する農地が市街地に近い場合は特におすすめです。

3-2.月極駐車場・コインパーキング経営

初期費用を抑えたいのであれば、駐車場運営がおすすめです。
月極駐車場は利用者との契約により月額利用料を収受する方法です。コインパーキングのような設備を必要とせず、初期費用を抑えることができます。

コインパーキングには、土地を更地のまま業者に賃貸する方法と、専門業者から機械を購入するとともに管理を任せ、利用料を収受する方法とがあります。住宅街であれば月極駐車場、人が集まる店舗や施設などの周辺であれば、コインパーキングのニーズがあります。
立地に応じて、最適な手法を選びましょう。

3-3.トランクルーム経営

トランクルーム経営も、初期費用を抑えた活用法です。
郊外型のトランクルームは土地の上にコンテナを設置するだけで、建物を建てる場合と比べ費用は大幅に抑えることができます。トランクルームの事業者に土地を賃貸して賃料を得る方式もあれば、そういった事業者とフランチャイズ契約を結び、自ら事業者として利用者から利用料を得ることも可能です。

3-4.太陽光発電の設置

太陽光発電は、過疎地域においても行うことができる土地活用です。
ソーラーパネルで発電した電気を売ることにより、収入を得ます。太陽光発電のメリットは、賃貸事業のような空室による収入減少リスクがないことです。

また、10kW以上の発電規模なら20年間、10kW未満であれば10年間、固定価格で買い取ってもらえる制度があることから、収入見通しが立てやすいことも挙げられます。しかし、太陽光発電設備を導入するためにコストが掛かります。自然災害により発電設備がダメージを受けると初期投資を回収できなくなる可能性もあります。そういったリスクを踏まえて実施しましょう。

3-5.サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)経営

サービス付き高齢者向け住宅とは、要介護度が低い、比較的自立した高齢者が入居できる賃貸マンションのことです。高齢者向けのバリアフリー設計になっており、生活の見守りや相談サービスを提供することで、サ高住として認定されます。サ高住はバリアフリー設計のため建築費は高い傾向にありますが、国からの補助金制度を活用することができます。日本は高齢化が進んでいることから、サ高住のような賃貸住宅は安定した需要が期待できるでしょう。

 

その他の活用方法については、以下のコラムで詳しく解説しています。

4.農地をそのまま活用してビジネスを始める方法

農地の転用ができない場合や、初期投資するだけの原資がない場合でも、収益化することは可能です。ここでは農地をそのまま用いて利益を上げる事例を紹介します。

4-1.市民農園にする

市民農園とは、周辺住民が趣味や農業体験として野菜や花などの栽培ができる貸し農園のことを指します。農園そのものを貸すことで、元手がかからず利用料を収受することができます。

借り手となるのは、「農家ではないけれど農業に興味がある人の農業体験をしたい」と考えているその地域の高齢者やファミリー世帯です。その他、生徒・児童の体験農園などの目的で利用されることもあります。市民農園には、利用者に農地を貸す貸付方式と、園主の指導のもと利用者が継続的に農作業を行う(貸さない)農園利用方式があります。農園利用方式は農地法等の手続きは必要ありません。しかし、貸付方式の場合は特定農地貸付法に基づいた手続きが必要となるため、農業委員会へ問い合わせましょう。

 

【出典】「市民農園をはじめよう!!」(農林水産省)

4-2.農地を第三者に貸し出す

周辺の農業経営者に対して、農地を一括して貸し出すというのも手です。
農地の借主を見つける際に利用したいのが、農地中間管理機構です。この機構は耕作できない農地の有効活用を目的として、農地の貸し手から農地を借り受け、借り手へと貸しています。

公的な機関が農地を預かってくれるため、貸し手からすると安心感があります。各都道府県に設置されているため、一度相談してみるのがおすすめです。

4-3.営農型太陽光発電を運用する

営農型太陽光発電とは、農地に柱を建てて、上の空間に太陽光発電設備を設置する方法です。
下は田んぼ・上は太陽光発電と、太陽の光を農業生産と発電でシェアすることから、「ソーラーシェアリング」とも呼ばれます。ソーラーシェアリングのメリットは作物の販売収入にくわえて、売電収入もあることです。

ただし、太陽光パネルを設置するための初期投資が必要です。また、柱があることから、重機での作業はしづらく感じる場合があります。農業しながら副収入を得たい場合は検討してみると良いでしょう。

5.農地を活用してビジネスを始めよう

今回は、農地を転用するためのポイントを説明しました。

農業経営を行わない場合でも、農地を第三者へ貸すことで賃料収入を得ることができます。
土地活用の種類は複数ありますが、農地には転用できるものと難しいものがあり、自分で判断することは難しいことがほとんどです。土地の活用方法に精通した不動産会社に相談することをおすすめします。

大東建託では、土地活用に関するご相談を無料で受け付けています。賃貸マンションや駐車場経営、相続税対策としての土地活用も含め、所有する土地に合わせたプランを幅広くご提案します。ぜひお気軽にご相談ください。

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■監修者プロフィール

有限会社アローフィールド代表取締役社長
矢野 翔一

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。

【保有資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者