未来の住宅を見つめたアプローチが原寸大で体験できると国内はもとより海外からも大きな注目を集めたHOUSE VISION2 2016 TOKYO EXHIBITION。『新建築』『日経アーキテクチュア』『pen』『Casa BRUTUS』などの雑誌にも取り上げられ、「賃貸空間タワー」も写真とともに紹介。また来場者がSNSや自身のブログ等で話題にするなど、「賃貸住宅の再定義」というテーマは大きな反響と賛同をいただきました。
今回は、大東建託が行ったアンケートをもとに、皆様のお声をご紹介するとともに、藤本壮介氏による賃貸住宅の未来への思いを綴ったメッセージをお届けします。
大東建託では、HOUSE VISION2に100名の学生の方々をご招待、アンケートを実施しました。未来の建築界を担う学生の方々に、「賃貸住宅の再定義」というテーマはどう響いたのか、「賃貸空間タワー」はどう映ったのか。集計結果と、寄せられた「生の声」の抜粋をご紹介します。
「賃貸住宅の再定義」に関しては、学生の方々の間でも前向きに捉えていただいた方が多く、「シェアすることで新しいライフスタイルを生み出せる」「『定義を見直す』ことで大きな変化・進化が得られる場合がある」「昔は公衆空間に対して閉鎖的だったが、現代は外にどう開いていくのかというのが問われてきているように思う」といった声が。また地域社会との関係性も「地域で多様な世代の交流の住空間となる」という意見も寄せられました。
「プライベートな空間を最小化し、共有空間を広々とする」というコンセプトに共感する人が半数を超え、「共有空間を拡大することで周りの人への配慮を大事にできると考える」「何かあった時に必要なのは近隣とのコミュニケーション」など、人とのつながりを重視する声も多く寄せられました。反面、「キッチンや浴場を共有することに抵抗がある」など、トークイベントでも話題に上ったプライバシーを気にする声もありました。
第1位の庭になる廊下や階段は、まさにいまの賃貸住宅にはないアプローチだけに、驚かれた方も多かったようです。また、他に、こんな共有空間が欲しいというものはという問いには、次のような空間がリクエストされました。
〈こんな空間が欲しい〉
・シアタールーム・ウォークインクローゼット・中庭・体が動かせるところ・写真館・囲炉裏・作業部屋・サウナ/プール・アトリエ/スタジオ/陶芸ルーム
テーマやコンセプトへの共感も多かったのですが、実際に1/1(原寸大)で空間を体験することで住んでみたいと感じられた方も多く、「気持ちよさそうな空間で時の流れをゆっくり感じたい」「実際に入ってみてとても楽しそうだった」という声がありました。 かたや、やはりプライベート性が気になるという意見も強く、個と公の関係性が大きなポイントになりそうです。
その他にも「賃貸でもあんなに面白い形のものができるんだと感じた」「賃貸住宅もまだまだ考える余地があると感じた」など、賃貸住宅への期待感を挙げる声も多くいただきました。また「これがどれだけ未来につながるか楽しみです」「可能性にワクワクした」という声もあり、あらためて賃貸住宅の未来を担う企業としての使命も感じました。
デザイン性や高級感、居心地の良さといった空間設計に関する期待もありましたが、いただいたコメントの中で多かったのが、個を重視する/公を大切にするという違いはあるものの、人との関係をテーマにしたものでした。「賃貸住宅タワー」のテーマ、「共有空間の最大化/占有空間の最小化」はまさにそこを出発点にしたものでもありました。今後とも、より多くの方々の期待にお応えできる賃貸住宅の実現をめざし、鋭意取り組んでいきたいと思います。
賃貸住宅タワーは、夏の東京、臨海部に悠然と建ち現れました。
この未来の賃貸住宅は、お年寄りの方から子供連れの若い夫婦、単身赴任の会社員、勉強に勤しむ学生など、さまざまな世代のさまざまな暮らしが互いに関係し合う“きっかけ”に満ち溢れています。
小さな街のようでもあり、大きなリビングのようでもある共用空間は、人と人との新しい関係性をつくる、今までにない居場所になるのではないでしょうか。
LDKを前提としてきた賃貸住宅を、もう一度ゼロから見つめ直すことで、未来の暮らしが少しずつ変わり始めるのかもしれません。
今後の発展にご期待ください。
藤本 壮介
今回の試みと皆様からの声をもとに、大東建託と藤本壮介氏は、これから求められる賃貸住宅の在り方を模索していきます。HOUSE VISION2 2016 TOKYO EXHIBITIONは終了しましたが、私たちはこれからもそのコンセプト、新しい「住まいのかたち」を探り続けていきます。