建築家・藤本壮介氏と繰り広げられたミーティングでは、まさに微に入り細にわたって熱いやりとりが展開されました。そしてコラボ建築、その名も「賃貸空間タワー」の仕様が決定。いよいよ着工となりました。
今回は、そのミーティングで磨かれた「賃貸空間タワー」のコンセプトと構想の一端をご紹介するとともに、ついに始まった工事の様子をレポートします。
「集まって住む」ということを最大限に活かしながら、さまざまな世代や状況の人たちがお互いを支え合って暮らしていく「小さなまちのような賃貸住宅」です。核家族化や少子高齢化が進み、ライフスタイルも多様化する中で、LDKで構成される既存の形式にとらわれるのではなく、新しい快適さを求めて、賃貸住宅の再構築を試みました。より豊かな集合住宅のかたちを、賃貸と街の関係から問い直します。
従来のように占有空間を最大化するのでなく、共用空間を最大化し、占有空間を最小化させます。それぞれ細切れに占有されていたあまり大きくないバルコニーや単に機能的だった廊下、階段を共用空間として一体化させることで、大きなテラスや縁側といった、豊かな場所がつくられます。
まちにあふれている様々な用途、大きさ、タイムスパンの賃貸空間を取り入れ、解放することで、まちに開かれた集合住宅になります。
公と私が明確に分けられた従来の賃貸住宅に対し、家具スケールの身体的な空間をインターフェイスとすることで、公と私の空間を緩やかにつなげます。
もしもプライベートな空間を最小化し、キッチンや浴場、シアタールームや庭などを広々とした共有空間にしてみるとどうでしょうか。贅沢なキッチンで料理を堪能し、広々とした浴槽で身体を伸ばし、ゆったりしたライブラリーで気分を変えて読書ができるのです。自分の部屋に続く居間的な空間を他者と共有するシェアリング・ハウスとも異なり、プライベートと共有部分を鮮明に区分けし、それらを新たに結合し直すことで、気持ちのいい賃貸住宅の形が見えてきました。
「賃貸空間タワー」全貌イメージ
時間に余裕のあるお年寄りや、庭いじりの得手な人が共有部の庭を管理してくれれば、それを全員が楽しむ事が出来ます。
会場では「賃貸空間タワー」の建設が、いよいよスタート。スタッフの声とあわせて、その工事の様子をご報告します。
HOUSE VISION会場は臨海副都心J地区。新交通ゆりかもめ青海(あおみ)駅をおり、眺めのいい埠頭の緑地を歩いてすぐ。
この日は着工5日目。現場では、建設地に工事の基準となる線をしるす、いわゆる「墨出し作業」の真っ最中。
まだまだ更地な印象ですが、会場の規模の大きさと、ここに建つ12の「家」の姿を想像するとわくわくしてきます。
進行状況を定点撮影していく予定。完成時のタワーの高さをイメージして広大な空にフレームを合わせています。
「本当にこれが建つのか」と言われながら、様々な難関を乗り越えて、ついに「賃貸空間タワー」の建設がスタートしました。現場で工事が進んでいくのを見ていると、改めてすごい大きさと迫力なのが分かります。ここから1ヶ月で一気に見たこともない空間が建ちあがっていきます。