ぼ・く・ラボ Vol.2

助けて、助けられて、気遣う大切さ

COCO(ココ)
賃貸未来研究所 所員
ぼ・く・ラボ代表
COCO(ココ)

私には、高校1年生の息子がいます。東日本大震災の時は、私は仕事で外出中。息子は小学校2年生で、ちょうど学校から塾に移動している最中でした。東京でも大きく揺れたのを記憶しています。私も夫も働いているため、息子は揺れた後そのまま家に帰り、余震が続く中、一人で待っていました。

その頃は「災害時は動かない」という認識がなく、私は帰宅困難者として夜通し歩き、一人で待つ息子のため必死に家に帰ろうと無我夢中でした。
3人が再開したのは次の日の夜でした。

無事を喜びながら、「自分の命は自分で守る。なんとかする!」ということを家族で話したことをよく覚えています。自分が元気でいることで、家族や友人・隣人を助けに行くことができる。また、会うことができる…いわゆる「自助」と「共助」の基本的な考えですが、当時はそんなことを知る由もないながら、家族が心からそう実感しました。

自然災害は防ぐことはできません。でも、その被害を減らすことはできるのではないか、そのために普段から備えることはいろいろあるのではないかと思います。そんな気持ちをもっと多くの人が持ち、実践していければ、すごく頼もしい力になるんじゃないかと…。一方、一人暮らしの多い賃貸住宅に携わる者として、あの日、家の中に一人でいる息子を想ったときの気持ちを忘れずに、私たちだからこそできることをもっと追求する責任があると考え、この防災&暮らしの研究室【ぼ・く・ラボ】を立ち上げました。

ぼ・く・ラ・ボ(防災&暮らし研究室)ロゴマーク。

分譲住宅や戸建て住宅と違い、20代~30代の入居者様が多い賃貸住宅においては、「防災」という意識が薄いように思われます。日々の生活が一番で、非常食や家具の転倒防止策などは二の次になってしまう…でもまずは、自分を守って、それからみんなで助けあうことが大事なのだと思います。実際、下記の阪神・淡路大震災における救助の主体と救出者数の円グラフをみると、一番多いのは、国や自治体による支援=「公助」より、身近な人たちの間で助け合う「共助」であることがわかります。

阪神・淡路大震災における
救助の主体と救出者数

推計:河田恵昭(1997)「大規模地震災害による人的被害の予測」自然科学第16巻第1号参照。ただし、割合は内閣府追記。

防災は、ちょっとした気遣いで
はじめられます

実際に「防災への備え」を考えるのはハードルが高く感じる方も多いのではないでしょうか?実はそんなことはなく、普段の生活の中で、ちょっと気遣うだけで「自助」のスキルが磨ける、それが「共助」にレベルアップできる、そういう気持ちからはじめられます。まずは簡単な心がけでできる「防災豆知識」をご紹介しますので、ご自宅や会社で実践してみてください。

家族で、一人でできる”自助”スキルUP!

自助スキル1 家族で防災について
自らできること

自分の命を自分で守ることによって家族や周りの人を守ることができます。もしものときに備えて、今できることを確認しておきましょう。

① コミュニケーション
という備え
地震発生を想定して家族や友人、会社の人と「防災」について話し合いをしましょう。また、普段からご近所同士と防災のネットワークを構築しましょう。
② 「安否確認」の手段を
増やす
災害時に何よりも気になるのが、離れている家族の安否です。電話による通話以外に、なるべく多くの手段を身につけておきましょう。
「安否確認」手段の例
  • ○災害伝言ダイヤル(171)
  • ○携帯電話各社の災害用伝言板
  • ○災害用音声お届けサービス
  • ○メールやSNSなど
③ 物の備え
電気・ガス・水道などのライフライン被害や物資不足を想定して、自宅で生活する上で必要な物を日頃から備えておきましょう。
持ち出し用に備えたいもの
  • 懐中電灯
  • 携帯ラジオ
  • 予備電池
  • 予備の常用薬
  • ヘルメット
  • 防災頭巾
  • 簡易トイレ
  • 非常用飲料水
  • 非常用食品 など
④ 避難場所や
避難ルートを確認する
自治会や町会などで指定されている避難場所や集合場所を確認し、家族で被災時にどこに集まるか、集合場所を決めておきましょう。さらに、休日などを利用し、実際に避難場所までの避難ルートを歩いて下見しておくと、危険な場所などの発見に役立ちます。

自助スキル2 帰宅支援ステーションを
チェック!

会社や学校の近く、帰宅経路などで「災害時帰宅支援ステーション」を確認しておきましょう。

災害時帰宅支援
ステーションとは

災害発生時には、徒歩帰宅者を支援するため、公共施設のほか、郵便局、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、ファミリーレストランなどが「災害時帰宅支援ステーション」として、水道水の提供、トイレの使用、地図・ラジオなどによる情報の提供などをします。

以下のステッカーが目印です!
協定するコンビニなどにはられている「災害時帰宅支援ステーション」のステッカー

自助スキル3 非常時の通信方法を
覚えよう

いざというときに、家族や知人との安否確認ができるよう、非常時の連絡方法を覚えておきましょう。

携帯電話の災害用伝言版

災害時(震度6弱以上の地震など)に携帯電話サービス会社各社は、「災害用伝言板」を開設します。被災地の人の安否情報を伝言板に登録でき、登録された伝言は、同じ会社の携帯電話だけではなく他社の携帯番号・PHS、パソコンからも見ることができます。

携帯電話の災害用伝言版 使い方図
※サービスの詳細はお持ちの携帯電話サービス会社にお問い合わせください。

固定電話の災害用伝言ダイヤル

災害時(震度6弱以上の地震など)はNTTの災害用伝言ダイヤル「171」が稼働します。家族や知人の安否の確認に活用しましょう。

固定電話の災害用伝言ダイヤル 使い方図
※自分が被災地の人である場合は自宅の電話番号を、被災地以外の人の場合は被災地の人の電話番号を入れてください。
大東建託「みんなの防災ガイドブック」より