イノベーションを起こせ!大東建託グループの挑戦者たち Vol.1
~File. 01 オーダーメイドDIYキット販売「CODD(コッド)」~事業活動
「ミライノベーター」はグループ全従業員を対象とした制度で、新規事業の提案者自らが事業オーナーとなり、実証期間を通して顧客課題の検証やテストマーケティングを行いながら、事業化を目指します。2019年の導入開始から4年、これまで提案された事業案は942件、最終審査を通過した事業案は15件となりました。
提案者は原体験を通して生まれたアイディアと熱い想いを原動力に、多くの失敗と成功体験を重ねながら、強い熱意をもって事業化に挑んでいます。彼らがどのようにして原体験を新規事業へと結び付けてきたのか、全4回に分けて4件の事業について提案者へインタビューを行い、事業案の着想から事業化に向けた取り組みの様子について紹介していきます。
2023年12月末日をもってサービスを終了いたします。
01.着想~新規事業提案まで / きっかけは「働くお母さん」同士の会話から
西山 CODD発案のきっかけは「働くお母さん(親)」としての池田さんの原体験にあります。親になると家庭のこともどこか頭の片隅におきながら仕事をしていて、常に「時間」と「心の余裕」がない。働く親同士の会話で上がったのが、「家事を減らすこと=時短」への切望だったんです。その中でも「収納」が部屋を片付ける上で大きな問題になっていることが見えてきました。
事業戦略部 西山 恭平さん
池田 新規事業を“オーダーメイドのDIYキット”にしようと思いついたのは、DIYが得意な友人が、私と子供のためにオーダーメイドで家具を作ってくれたことがきっかけなんです。引っ越した 後も家に合わせてリサイズしてくれて、長く大切に使いたいと考えていた私の想いにピッタリあてはまりました。同じように「家にフィットする家具が欲しい」という他のお母さん達の声を沢山聞いたことで、これを事業にしてみようと考えました。
事業戦略部 池田 真弓さん
ー 一度作った家具を組み立て直して別の場所で使うことができるのは、DIYならではの魅力ですね。収納する場所ができれば、お母さんの片付けの家事負担軽減にも繋がります。
西山 私達二人だけでなく、関係する協力業者の方、大東建託本社や大東建託パートナーズの営業所の方々など、当社のグループ力を活かしながら多くの方に相談することで、ようやく形にすることができました。
02.CODDのビジネスモデル / モノからコトへ、「空間から豊かな人生をデザインする」を目指して
成形合板では表現できない木目の美しい国産材
ー 最初の「物を長く大切にしてほしい」というCODDの着想に結び付いたというわけですね。私達消費者側にとっても、加工されていない無垢の木であれば国産材の魅力発見にもつながりますね。
CODDplusの家具「HiNGE(ヒンジ)」を前に
ー それぞれの想いをCODDが形にして、消費者に届けていけるのも魅力の1つですね。CODDを起点に、色々な出会いや発見につながり、そこからまた新たな価値を見出すことにも 結び付いていくんですね。
03.商品開発 /
出会いの連続から生まれる新たな価値共創のストーリー
西山 CODDの商品は、「組み立て易いシンプルな作り」「デザイン性」「使い勝手(機能性)」をキーワードに、お客様のご要望に合わせてオーダーメイドでプランニングする「カスタマイズ家具」と、若手アーティストとコラボして商品企画をする「CODD plus(コッド プラス)」の2つを軸に商品開発をしています。「カスタマイズ家具」では私たちが商品企画をしています。
池田 最初に商品化した棚は、出来上がった試作品のイメージを元に、まずは当社で取引のあるメーカーさんに声を掛けるところから始め、2人で意匠性なども考慮しながら仕入れ先を決めていきました。MVP(ミニマム・バイアブル・プロダクト=実用最小限の製品)と呼ばれる初期プロダクトを実装し、お客様から直接「こうしてほしい」「これが欲しい」などの声を聞きながら、それをもとに今も少しずつ商品改善も重ねています。
完成したMVP/ 顧客課題をもとに理想形の家具キットを製作。ここから顧客検証を行い、製品・サービスの課題抽出を実施
カスタマイズ事例(棚:NOSEU 机:DESUKU)/ お客様の要望に合わせてぴったりなサイズで 家具をプランニング。組み立て時の困り事も 遠隔でサポート可能
福岡県の博多阪急イベントスペース 「ユトリエ」に出店
CODDの家具「HASHIRA」に絵を描き、アートで自分らしさを表現する面白さを伝えるワークショップを開催
Good Design Award 2022を受賞した 可変性家具「HiNGE」
西山 今のメインターゲットは私達と同世代の「働くお母さん(親)」ですが、今後CODDが成長していくにあたって、次世代の考え方も商品開発に取り入れていく必要があります。年代によって考え方や理想とする暮らし方が変わってくるのであれば、未来の住宅のあるべき姿も変わってくるのではないかと考えました。この産学連携の取り組みは、お客様となる若い人たちの考え方を聞くために、知人の勤める九州産業大学へ話を持って行ったことが縁でスタートしました。
学生による試作1号機の組み立て実演から 利用者としてのリアルな声を集めていく
ソロワークスペース内の環境調査(防音検査)を実施
福岡県内にある福岡三越でポップアップストアを開催
福岡県庁でのHASHIRA Artist MODEL展示 会期中には芸術学部生とのワークショップも開催
04.CODDの将来ビジョン / 「物を長く大切に扱う気持ち」と「楽しむ時間」をお客様へ
池田 私は、CODDを通じて働くお母さんに「時間のゆとり」が生まれるよう、お客様の声に耳を傾けながら、「時短」という観点でCODDの商品やサービスをどんどんブラッシュアップしていきたいと考えています。大東建託グループのリソースを活かし、まずは賃貸住宅にお住まいの入居者様へ使っていただけるよう、CODDの魅力をこれからどう伝えていくかが課題です。それには他部門やグループ会社の社員との協力も必要になってくると考えています。私達の事業を広く社内へ伝えるために、CODDで実現したいことを、大東建託の目指す企業像に繋げて伝えていこうと日々取り組んでいます。
西山 物には使い終わりがあって、ある意味「使い捨て」の感覚になっている現代において、お客様に「買ってよかった」と感じていただくことは実はすごく難しいと感じています。CODDサービス・商品を通してお客様の生の声を聞けること、「自分で選んだものは良かったんだ」と感じていただけていることが、私達の喜びになっています。今後は、喜んでもらった経験をどう次のお客様に繋げていくか、ということを課題に考えています。
ー 最後に、新規事業の魅力、CODDへの想いや今後の展望について教えてください。
西山 CODD立ち上げ時の一番初めに描いていた姿と、今ある姿は全く違っています。新規事業は自分たちが事業オーナーなので、毎日が決断です。「後には引けないけど、やらないといけない」という気持ちで日々やれることが楽しいし、この機会をもらえて会社に対して感謝しています。出会ったお客様からの声やこれまでの経験を忘れずに、一人ひとりのお客様を大切にしながら、これからもどんどん広げていきたいと思っています。
池田 直接お客様の「生の声」を聞けることが、新規事業としてCODDに取り組む楽しさだと感じています。大きな話になってしまいますが、「世界を笑顔にしたい」という想いでやっています。お母さんが笑顔になることが家族みんなの笑顔につながり、そうすることで社会にも好循環が生まれると考えています。CODDを通じて、これからも色々な挑戦をしてきたいですね。
■ ミライノベーターってどんな制度なの?
~第5回ミライノベーターの応募が始まる!~
<第5回ミライノベーター審査スケジュール>
<竹内社長からのメッセージ>
事業化を考えるとハードルが高くなりますが、アイディアベースでは色々と社員のみなさんは持っていると思います。そのアイデアを形にするために、ミライノベーターでは、本社スタッフがエントリーシートの作成から実証実験までをサポートしながら、社員のみなさんを応援していきます。 必要なのは、チャレンジしてみようという熱意だと思います。アイデアのある社員には、是非このチャンスを掴み取り、自身のアイデアを実行レベルに移してほしいと考えています。
社長室にあるテントからビデオメッセージを送る竹内社長。リラックスできる空間で、社員との意見交換の場にもなっている