LAB

家族のカタチラボ

vol.2 気持ちよく過ごせる「居場所」を求めて

「定住」に憧れますか?

「庭付き一戸建て」を人生の一大目標に据えて働いてきたという方、多いかと思います。35年ローンを組んで郊外に家を買い、一つ所に根を下ろして子供たちを育て上げ、老後は庭いじりをしながら悠々自適に…という将来像は、多くの人にとっての憧れとして描かれてきました。一方で、長引く不況、少子高齢化などの影響もあり、生涯賃貸という選択も大いにアリ、という人も多くなってきています。

しかし、最近はまた新しい住み方事情が見られます。戸建てやマンションを購入しないまでも、仲間や地域との結びつきを大切にしたい、賃貸での「定住」志向も増えているようです。

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住み<続ける>人、
増えてます

あるアンケートで、賃貸住宅に住むファミリーの動向を調べたところ、4年以上同じ部屋を借りている家族の割合が増え、2009年約60%だったのに対して、2013年の調査では75%以上となっています。賃貸住宅のメリットとして、自由に引っ越しできる手軽さや自由度が挙げられる一方で「より長く住む」という意向も生まれてきているようです。経済的な事情で引っ越しを避けがちなのは想像に難くありませんが、それ以外にも何か理由がありそうです。この5年ほどの間にどのような意識の変化があったのでしょうか。

賃貸で今の部屋に4年以上住んでいる【賃貸住宅における平均居住期間】[2009年] 60.4%、[2013年] 76.0%

公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会 調べ

※データは日本賃貸住宅管理協会が実施している賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』より抜粋。
2009年下期と2013年下期の情報を比較しています。

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つながり、地縁を
たいせつに

東京都内に住むAさん(35歳)は1歳になる男の子を持つ会社員。学生時代から利用している沿線に結婚後も住み続けています。ほぼ1年待ちでやっと息子を保育園に入園させることができ、現在は夫婦共働き。今後の学校などのことを考えると引っ越さずこのまま今のエリアにとどまりたいと考えています。

「気に入っている場所で、それなりに人との縁もできあがっているので、転勤でもない限り移動することは考えられない」と教育面以外の理由でも、定住を求めるAさん。ご近所との関係も良く、地域のコミュニティに積極的に参加しているとのこと。Aさんのように地に足がついた暮らしが気に入っていて、多少手狭になっても今の住まいで踏ん張りたいと思っている人も多いようです。

ミライのヒント

引っ越ししないに越したことはない?

家族のカタチラボの第1回では、「引っ越しを見据えて住むのが賃貸住宅?」というヒントを得ました。結婚、出産、子育てといったライフステージの変化といったのっぴきならない事情や趣味などのライフスタイルの変容に応じて引っ越しを頭に入れながら暮らしている。しかし、本当のところ、気に入った街で、気の合う仲間やご近所さんがいて、住み慣れてきた場所に長く住みたいという気持ちも大いにあります。賃貸派=定住しない派、自由に引っ越したい派、という図式は崩れ始めているのかもしれません。