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地震からアパート・マンションを守ろう~耐震性能と耐震等級とは~

公開日: 2022.10.28

最終更新日: 2023.03.17

公開日:2018.07.23

阪神・淡路大震災を契機に「建築物の耐震改修の促進に関する法律」が1995年に制定されました。それにより、それまでにも進められていた建物の耐震化の動きが加速しました。そして2011年、東日本大震災が発生、2013年には同法が改正され、不特定多数の人が利用する建物などについて、耐震診断・報告の義務付等が新たに法律に盛り込まれました。
このような建物の耐震化の流れを受け、アパート・マンションオーナーとして今後大地震が発生した際、入居者の安全を守り、資産である建物を守るためには、どんな対策が必要かを考えてみたいと思います。

この記事のポイント
  • オーナーには入居者の安全を守るため、建物の安全性を保つ責任がある
  • 第三者に任せきりにせず、オーナー自身が耐震に関する知識をしっかりと持ち、適切な判断をすることが大切

耐震に対する体制と法律

耐震対策のための法律には、主に「建築基準法」、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、品確法)」の2つがあり、それぞれ「耐震基準」、「耐震等級」という基準で示されています。

建築基準法

「建築基準法」は建築に関する法律の根幹となり、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低限の基準を定めた法律で、すべての建築物が建築基準法に沿って建てられています。
現行の耐震基準(「新耐震基準」)は1981年6月1日に施行され、「『中規模地震(震度5強程度)』ではほとんど損傷せず、『大規模地震(震度6強~7)』でも人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害が生じない」ことを目指しています。それ以前の建築確認を経て建設された建物は、「旧耐震基準」と呼ばれ、「人命の確保を前提とし、中規模地震で損傷しない」ことを目標にしていました。


1995年に発生した阪神・淡路大震災では、住宅・建築物の倒壊による大きな被害が見られました。倒壊した建物を建設時期で見てみると、「旧耐震基準」で建設されたものは被害を免れた建物が3割程度しかなかった一方で、「新耐震基準」で建設されたものは7割以上が無被害またはほとんど被害がなかったという結果でした。つまり、大きな被害は旧耐震基準で建設された建物に集中していたことが分かっています。


住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)

「品確法」は、耐震性など住宅の性能に関する表示基準やそれに基づく評価の制度を設けることで、住宅トラブルにおける消費者保護を目的としています。

耐震性についての表示基準は、以下の通りです。


分かりやすく言えば、等級1が建築基準法による新耐震基準合致レベルであり、等級2、等級3はそれを超える耐震性能を備えている建物です。なお、「極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震」は震度6強から7程度、「稀に(数十年に一度)発生する地震」は震度5強程度と解釈されています。

賃貸住宅に求められる建物性能

過去の震災で、建物が倒壊し、多数の死傷者を出したマンションの所有者責任について、裁判所は、地震だけでなく、「建物の瑕疵」も寄与したと判断しています。

賃貸住宅についての耐震化の促進や耐震診断は法律で義務付けられていません。賃貸住宅の瑕疵によって入居者に被害が起きた場合、大きな地震によって建物が倒壊したとしても、責任は所有者にあります。アパート・マンションオーナーは、建物の品質や耐震性も含めてしっかりと確認し、入居者の命を守れる建物にしておくことが重要です。その際、耐震等級など国で定められた基準を参考に、自身の建てる建物に求められる耐震性能はどの程度必要なのか、検討すると良いでしょう。

また建物の耐震性能がどれだけ高い場合であっても、地盤が軟弱であれば、耐震対策は万全とはいえません。東日本大震災でも建物倒壊はしなかったが、液状化現象によって建物が傾き、利用が困難となったケースもありました。アパート・マンションを建築する際には、建物の耐震性能のみではなく、地盤の強度についても調査や対策を行っておく必要があります。

まとめ

アパート・マンションを建てる際には、その間取りや内装、外装のことだけを思い浮かべることが多いと思います。しかし、所有者には建物の安全性を保つ義務が法律によって課せられています。入居者にとって必要な耐震性能や機能を満たしているかしっかりと確認し、入居者が安心できる建物を建てることが大前提であることを忘れてはいけません。



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