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生前贈与で相続対策

公開日: 2022.10.28

最終更新日: 2023.03.17

公開日:2017.01.11

平成27年1月施行の改正相続税法により相続税額の算出方法が見直されたことで、相続財産から差し引かれる基礎控除額が縮小されました。相続税の課税対象者になったり、あるいは課税額が増加した方が全国的に増えたことから、円満円滑な資産承継手法として、生前贈与が注目されています。

この記事のポイント
  • 円満円滑な資産承継を実現するために、「生前贈与」という手法が注目されている
  • 贈与税の暦年課税における基礎控除は110万円
  • 贈与税は相続税より高く設定されているが、制度を活用することで資産承継における納税額を軽減できる場合がある

生前贈与とは?

亡くなった人の財産を分配したり清算したりする遺産相続に対し、生きているうちに自らの財産を贈与する方法を「生前贈与」と言います。この生前贈与は、多くの場合、親族間で行われます。所有している財産の一部をあらかじめ贈与し相続財産を少なくすることで、相続税を減らすことが目的だからです。

確かに、生前贈与により、相続税の課税対象を減らすことはできますが、一方で、贈与税や登録免許税、不動産取得税の課税対象となる可能性が出てきます。将来の相続税を減らそうとしたためにその他の税金が増え、不利になってしまうということのないように、事前にシミュレーションをしておくといいでしょう。

贈与税とは?

相続税とともに紹介されることが多い贈与税。贈与税は個人から財産を贈与されたときに課せられる税金です。いずれも、他人の財産を受け取った場合に発生する税金ですが、同じ金額に対しては、贈与税のほうが高くなるように税率が設定されています。
贈与税は以下のような方法によって計算されます。

課税方式:原則として暦年課税(1月1日から12月31日までに受けた贈与財産の合計価額について課税する方法) が採用されています。

税率:贈与を行う者同士の関係性により2種類の税率が用意されています。

 ・一般贈与財産用:「特例贈与財産用」に該当しない場合の贈与税の計算に使用
  (例:兄弟間の贈与・夫婦間の贈与・親から子への贈与で子が未成年者の場合)
 ・特例贈与財産用:直系尊属から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)への贈与税の計算に使用
  (例:祖父から孫、父から子への贈与などに使用。夫の父からの贈与等には使用できません)
        

贈与税の速算表
一般贈与財産用
基礎控除後の課税価格

200万円

以下

300万円

以下

400万円

以下

600万円

以下

1000万円

以下

1500万円

以下

3000万円

以下

3000万円

税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円
特例贈与財産用
基礎控除後の課税価格

200万円

以下

400万円

以下

600万円

以下

1000万円

以下

1500万円

以下

3000万円

以下

4500万円

以下

4500万円

税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円
出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm

控除額:暦年課税における基礎控除は110万円です。

生前贈与に利用できる制度

相続税よりも高い税率が設定されているとは言え、上手く生前贈与を行うことで、実質的に相続税を減らすことは可能です。その一つの方法として、先述した110万円の基礎控除の範囲内で生前贈与を行うことが有効です。他にも以下のような方法で生前贈与をうまく活用することが可能です。

●贈与税の配偶者控除

夫婦は協力して家計を運営したり、財産を形成したりするものだという考え方から、配偶者間において居住用不動産またはその取得資金の贈与がなされた場合は贈与税を軽減することができます。基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。しかし、「婚姻期間が20年以上の配偶者」「居住目的の土地・家屋」「贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住していること」等の要件がありますので、この制度を利用したい場合は事前に細かく確認をしておく必要があります。

●直系尊属からの贈与

<直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税>

父母、祖父母から住宅取得等の資金贈与を受けた場合、一定金額が非課税となる特例があります。この制度は、単独で使うこともできますが、暦年課税の基礎控除110万円または、相続時精算課税制度との併用も可能です。通常、贈与者が贈与後3年以内に死亡した場合は、その贈与額が相続税の課税価格に加算されることになります。しかし、この特例により、非課税となった金額は相続税の課税価格に加算されません。「受贈者は20歳以上」、「贈与を受けた年の受贈者の合計所得が原則2000万円以下」、「取得した住宅の登記簿面積が50㎡以上240㎡以下」等の要件が設けられていますので、活用を考える際には要件を満たしているか確認をしておきましょう。

<直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税>

平成31年3月末までの期間であれば、30歳未満の者が一定の方法で父母・祖父母から受け取った教育資金について、1,500万円(学校等以外への支払いなら500万円)まで非課税になるという制度があります。学校の授業料以外にも、学用品の購入費用や、習い事に通うために必要な費用などについても教育費用として認められるため、幅広く活用できる制度です。

<直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税>

平成31年3月末までの期間には、20歳から49歳までの個人が結婚や子育て資金のために一定の方法で母・祖父母から金銭等を受け取ったときに1,000万円(結婚についての費用は300万円を限度)までの金額に相当する部分が非課税になるという制度もあります。結婚式や出産など直接的に必要な費用の他にも、引っ越しや子どもの医療費、保育料などの費用もこの制度の対象です。

●相続時精算課税制度

贈与税の課税方法として、暦年課税ではなく相続時精算課税制度を選択することもできます。この制度を選択すると、選択した年以後は、複数年にわたって適用可能な特別控除として最高2,500万円までの贈与が非課税となります。贈与を行った方が亡くなり相続が発生した際には、すでに贈与された分とその時点での相続分とが合算され、相続税として課税されます。相続税の税率が、贈与税の税率よりも低く設定してあるため、納税額を抑えることができます。
この制度を選択する場合には、事前の届け出が必要であり、一度選択すると、暦年課税に戻すことができません。贈与者が60歳以上の父母、祖父母であること、受贈者が20歳以上の推定相続人である子、または孫であること等、いくつか適用要件が設けられています。また非課税枠(2,500万円)を超える贈与を受ける際には一律20%の税率で課税されるなど、活用の際には注意しておきたいポイントもありますので、熟慮した上で制度の活用を行いましょう。

まとめ

このように、生前贈与は相続税対策を行う有効な手段です。しかし、先述したように贈与後3年以内に死亡した際には相続税の課税対象となったり、一度選択したら元に戻すことができない制度があったりと、細かく制度設計がなされています。そのため、適切な時期に適切な制度を選択しなければ、十分な相続税対策ができず、むしろ税金が増えてしまう可能性もあります。
生前贈与に明るい専門家の意見も参考にしながら、全体的かつ長期的な視点をもって生前贈与を行うことで、効果的な相続税対策が可能になります。

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